その他の理性主義
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/20 01:30 UTC 版)
これに対置されるのが、ジョン・ロックをはじめとする「イギリス経験論」だが、既述の通り、この区別はあくまでも「認識の端緒・発端をどこに求めるか」による大まかな区別に過ぎず、「イギリス経験論」に括られる者であっても、「理性」を軽視したり否定したりしているわけではない点に注意が必要である。それどころか、ジョン・ロックは、トマス・ホッブズらと共に、「理性」の反映である「自然法」に基づく社会契約論を主張するなど、「理性」の働きを信頼・重視しており、西洋哲学全体の「理性主義」の文脈に属する「広義の理性主義者」であると言える。(真に経験のみに依拠すると、ヒュームのように懐疑論に陥ることになる。) イマヌエル・カントは、『純粋理性批判』に始まる、「理性」自体を吟味・仕分けする批判哲学(先験哲学・超越論哲学)によって、「イギリス経験論」と「大陸合理論」を総合・統合したと評価されるが、「理性」の存在・機能・能力自体を自明のものとして前提とする点では、やはり「理性主義」の一種である。 ヘーゲルは、ドイツ観念論(ドイツ理想主義)の1人として括られ、人間の意識・主観の弁証法的展開を理論体系としてまとめた人物として知られるが、『精神現象学』の過程や、『法の哲学』序文の「理性的なものは現実的であり、 現実的なものは理性的である」という有名な一節からも分かるように、彼もまた「理性」の機能を信頼し、そこに依拠する広義の「理性主義者」の1人だと言える。
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