出願審査請求
特許の出願に際して、特許庁に出願審査を進めるように請求すること。および、そのための一連の手続きのこと。
日本では特許の出願と審査は異なる段階に分かれている。出願した後に審査請求を行い、審査を受け、特許が認められて初めて特許権を得ることができる。
特許出願から出願審査請求を行う間には一定の猶予期間(出願審査請求期間)が設けられている。この期間を過ぎると出願は取り下げられたものとみなされる。2001年に制度が改定されており、2001年以前は出願審査請求期間は出願日から7年となっていたが、2001年の改定により出願日から3年に短縮されている。
出願審査請求を行うためには、所定の様式に沿った書類を用意して特許庁長官宛に提出する必要がある。この書類は「出願審査請求書」と呼ばれる。また、請求するにあたり所定の費用を支払う必要もあり、この費用は「出願審査請求料」と呼ばれる。
2011年8月に、特許審査の効率化の実現を背景とした出願審査請求料の引き下げが実施され、従来の料金に比べて25パーセントほど料金が引き下げられた。通常の特許出願の事例であれば、従来は「16万8600円に加えて4000円(請求項数の分だけ必要)」であったが、2011年の出願審査請求料改定により「11万8000円に加えて4000円(請求項数の分だけ必要)」と、5万円ほど安くなっている。
関連サイト:
出願審査請求書の様式は? - 特許庁
産業財産権関係料金一覧(2012年4月1日以降) - 特許庁
出願審査請求料改正のお知らせ - 特許庁 2011年7月
出願審査請求期間の改正のお知らせ - 特許庁 2001年8月
出願審査請求(しゅつがんしんさせいきゅう)Request for Substantive Examination
”出願審査請求”とは、特許出願について、審査に着手してほしい旨を特許庁に請求する行為である。出願審査請求書を提出することにより行う。
日本の特許法は、出願と審査とを分離した出願審査請求制度を採用している。したがって、出願を行っただけでは審査は開始されず、審査を受けるためには出願審査請求を行う必要がある(特許法第48条の2)。
出願審査請求は、出願の日から3年以内(2001年9月30日以前の出願は7年以内)にすることができる。この期間内に、出願審査請求がされない場合には、その特許出願は取り下げたものとみなされ、権利を取得することはできない。
出願審査請求制度は、権利取得の必要が無くなった出願について、出願人のそれ以上の経済的負担(出願審査請求料を支払わなくともよい)を少なくするメリットがあり、審査対象が少なくなって特許庁における審査促進を図ることができるというメリットもある。なお、ベンチャー・中小企業は、審査請求の印紙代が1/3に減額される。
出願審査請求は、出願人本人だけでなく、第三者が行ってもよい(特許法第48条の3)。他人の出願が特許されるかどうかについて、興味を持つ第三者が存在する可能性があるからである。
「審査請求」といった場合、行政不服審査法に基づく審査請求(たとえば、審判官による期間延長申請の不許可処分に対して特許庁長官に不服を申し立てる等)を指す。これと区別するため、出願審査請求とするのが正しい呼び方である。ただし、特許実務では、出願審査請求を単に審査請求と呼ぶことが多い。
なお、ヨーロッパ特許庁は、日本と同じように出願審査請求制度を採用している。なお、ヨーロッパ特許庁では、出願をすると自動的に先行技術調査のための審査が行われる。その後、実質的な審査を受けるためには、審査請求を行わねばならない。これを、実体審査請求と呼んでいる。
米国は審査請求制度を採用せず、出願されたものを全て審査する制度を採用している。
参考動画コンテンツ「出願から登録まで」 (執筆:弁理士 古谷栄男)
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