きょうせい‐しゅうよう〔キヤウセイシウヨウ〕【強制収用】
強制収用(きょうせいしゅうよう)
国や地方自治体は、土地の所有者に正当な補償をしたうえで、公共事業の実施などに必要な土地の所有権を取得することができる。公共の利益のために、財産権が制限される例のひとつだ。
道路、ダム、空港の建設など公共の利益となる事業(公共事業)は、国や地方自治体が事業主体となって実施される。このとき、事業の用地を確保し、事業の円滑な進行を図るため、土地収用法に定められた手続きに沿って、必要な措置を取ることができる。
強制収用の対象となるのは、土地だけでなく、漁業や工業、温泉の利用などの権利も含まれる。土地や権利の収用と引き換えに、もとの権利者には国や地方自治体から補償金が支払われる。
土地の買収は、国や地方自治体が土地所有者と直接交渉し、互いの同意を得て任意契約するのが原則。この交渉が決裂した場合、土地収用法の出番となる。認定を受けた事業について、国や地方自治体の申請に基づき、収用委員会で補償額の正当性などが審理される。収用委員会の裁決で強制収用が正式に決定する。
しかし、収用手続きは、事業の公益性を前提としているため、強制収用に反対する権利者の一部で、事業に公益性がないとして事業認定の取り消しを求める訴訟にまで発展したケースもある。公共事業そのものに対する風当たりが強くなるなか、行政側の説明責任が問われている。
2001年の通常国会で土地収用法が改正され、収用手続きのさい、事前説明会や公聴会を開催したり、事業の認定理由を公表したりすることが義務づけられた。住民による行政のチェックも欠かせない。
(2001.12.20更新)
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