『被造物の驚異と万物の珍奇』
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/29 21:10 UTC 版)
「ザカリーヤー・カズウィーニー」の記事における「『被造物の驚異と万物の珍奇』」の解説
『被造物の驚異と万物の珍奇』は、12世紀にアフマド・トゥースィーによって著された同名の書があり、カズウィーニーの書も共通の枠組みを用い、多くの引用を行うなど、トゥースィーの書から大きな影響を受けているが、カズウィーニーの書の方が知識の体系化や網羅性が徹底しており、より幅広い読者に浸透したことで、『被造物の驚異と万物の珍奇』といえばまずカズウィーニーの書が思い浮かべられることが多い。 『被造物の驚異と万物の珍奇』は、カズウィーニーの知識の蒐集と学問の習得の帰結だが、これを編纂した動機は主に信仰心であり、あらゆる自然現象、森羅万象は称うべき神の御業であるとする世界観を表明し、読者の注意をそこへ向けようとしている。 カズウィーニーの『被造物の驚異と万物の珍奇』は、一部の専門家向けではなく、より広範な読者層に向けて著された書であり、カズウィーニーは編纂者として、諸文献の記述をそのまま盛り込むのではなく、取捨選択し整理して矛盾や破綻を排し、議論が複雑化しないように努めている。同じ意図で、カズウィーニーの書には豊富な挿絵が挿入されており、多くの写本が作られ、広く流布した。原典はアラビア語で著されたが、ペルシア語、トルコ語への翻訳も行われている。 伝統的なイスラームの宇宙観とオスマン帝国風の地図が入り混じった世界図。16世紀イスタンブールにおける写本。米議会図書館所蔵 世界地図。16世紀の西インドにおける写本とみられる。 フリーア美術館所蔵の15世紀の写本にみられる大天使 ウォルターズ美術館所蔵の写本 (W.659) における「象」の頁 ウォルターズ美術館所蔵の写本 (W.659) における「七面鳥とAbu Haruzなる鳥」の頁 伝説の怪鳥シームルグ。16世紀の西インドにおける写本とみられる。 ウォルターズ美術館所蔵の写本 (W.659) における「ゴグとマゴグの怪物」の頁
※この「『被造物の驚異と万物の珍奇』」の解説は、「ザカリーヤー・カズウィーニー」の解説の一部です。
「『被造物の驚異と万物の珍奇』」を含む「ザカリーヤー・カズウィーニー」の記事については、「ザカリーヤー・カズウィーニー」の概要を参照ください。
- 『被造物の驚異と万物の珍奇』のページへのリンク