『移民の運命』
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/13 22:57 UTC 版)
「エマニュエル・トッド」の記事における「『移民の運命』」の解説
1994年、トッドは『移民の運命』 (Le Destin des immigrés) において、西欧の四大国であるアメリカ、イギリス、フランス、ドイツにおける移民の状況を調べ、家族型が移民問題に決定的な影響を与えていることを示した。この中でトッドが活用したのが外婚率である。すなわち、移民が受け入れ民族と結婚する比率を用いることで、移民の隔離状況を定量化した。特に、女性の外婚率が重要である。男性の外婚率は高いことがあるが、これは受け入れ民族の女性が移民社会に入るのも含まれ、必ずしも統合を意味していないからである。 移民の受け入れに最も影響を与えるのは、社会の家族型が普遍主義か差異主義かということである。平等主義核家族と外婚制および内婚制の共同体家族は普遍主義であり、移民を本質的に異なる人間とは見なさない。一方、絶対核家族、直系家族、非対称共同体家族は差異主義であり、移民を異なる民族と見なす。普遍主義が混血を許容することは、アテネに対するローマ帝国、アングロアメリカに対するラテンアメリカ、香港に対するマカオで明瞭に見て取れる。
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