『砂の荷物』(1962)
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「アンナ・ラングフュス」の記事における「『砂の荷物』(1962)」の解説
書名「砂の荷物」は、アンドレ・ブルトンの詩集『白髪の拳銃』の冒頭の詩「薔薇色の死」の最後の一節によるものである。 この辺鄙な浜辺に、おまえはただひとり辿りつくだろうすると、おまえの砂の荷物のうえに、星がひとつ降りてくるだろう。 本作品は『塩と硫黄』の続編であり、主人公マリアは戦後、人生を立て直すために故国ポーランドからフランスに移住する。だが、「戦争病」に苦しみ、生きる力、闘う力を見出すことができないまま、愛する人々の亡霊に取り憑かれ、現実と非現実のあわいに生き、外界に対して無関心になっていく。南仏で出会った子どもたちに束の間の安らぎを見出すが、嫌われていた少女が自殺したことで、生死を選ぶことのできない自分の臆病さに気づき、再び「希望と絶望の狭間の無人地帯」をさまよい続ける。 同年のゴンクール賞を受賞したこの作品は、マックス=ポル・フーシェ(フランス語版)、クロード・ロワ、ジョゼ・カバニス(フランス語版)、ルイ・ギユー(フランス語版)、クララ・マルロー(フランス語版)をはじめとして多くの作家・評論家から書評が寄せられた。
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