『汐汲』と「男舞」とは? わかりやすく解説

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『汐汲』と「男舞」

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/03 05:55 UTC 版)

汐汲」の記事における「『汐汲』と「男舞」」の解説

松風・村雨伝説をもとにしたというこの『汐汲』には、不思議なところがある。それは松風格好についてである。 松風登場したとき、頭には烏帽子被り、身には狩衣長絹)を着ているが、その下の扮装というと、髪は花櫛のついた島田髷、それに縫いのある赤地振袖に黒の帯を振り下げに結ぶというどこかのお姫様のような格好で、いかに芝居事とはいえ海女の姿には見えない。しかしこれは、この『汐汲』に「男舞」(おとこまい)の趣向取り入れているからである。 男舞とは、本来は烏帽子水干着て舞う白拍子の舞のことである。この白拍子の舞はのちに歌舞伎にも所作事として取り入れられたが、これは烏帽子水干という姿だけを取り入れて男舞称した。それは実際にはこの『汐汲』のように振袖の娘姿で、その上に烏帽子被り長絹などの広袖装束着て扇を持ち舞うというものであった。つまりこの『汐汲』は松風村雨題材にしてはいるものの、行平形見烏帽子狩衣事寄せて男舞趣向見せるという踊りのである。『汐汲』の内容をまとめると、 男舞烏帽子狩衣長絹〉に振袖の娘姿、中啓の舞) 松風村雨伝説(汐を汲む所作クドキ三蓋傘の所作 ということになり、じつは男舞を舞う中で松風村雨の話を踊ってみせ、さらに三蓋傘の所作男舞松風村雨とは関わりない景物として見せるというものになっている。これはのちに三代目三津五郎演じた七変化舞踊月雪花名残文台』(つきゆきはななごりのぶんだい)のなかに、小鼓持って舟に乗るという白拍子所作事(『浅妻船』)があるが、これも烏帽子長絹の下は『汐汲』と同様の姿となっており、歌舞伎舞踊における男舞趣向残しているといえる。 なお『汐汲初演の時は、関羽の霊が女三の宮梶原源太汐汲猿廻し願人坊主老女それぞれ化けて現れるという設定であった関羽の霊が男舞の女姿に化け、それがさらに松風村雨所作見せるという、複雑な趣向だったのがわかる。現在そういった設定伝わっていないが、三代目三津五郎再演した時には筑波山がこの『汐汲』を含む五変化踊って見せるという設定があり、それが今でも花道すっぽんから現れる演出振付け残されている。

※この「『汐汲』と「男舞」」の解説は、「汐汲」の解説の一部です。
「『汐汲』と「男舞」」を含む「汐汲」の記事については、「汐汲」の概要を参照ください。

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