『国家』におけるギュゲスの指輪とは? わかりやすく解説

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『国家』におけるギュゲスの指輪

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/30 13:59 UTC 版)

ギュゲースの指輪」の記事における「『国家』におけるギュゲスの指輪」の解説

『国家』の中でギュゲスの指輪の話を紹介したのは、プラトンの兄グラウコン英語版)である。グラウコンは、誰にも知られず不正を行なうことができる場合に、ギュゲスのように不正を行なって栄華を極める人と、正義貫いて何も得ない人と、どちらが良い人生を送ったと言えるのかとソクラテス質問した正義勧めるときに、世の人々は良い評判利益につながることを理由として挙げるが、それは、人に知られず不正を働き良い評判得たまま利益おさめられればよいという考えつながらないかという疑問である。 グラウコン主張次ののであるさて、かりにこのような指輪二つあったとして、その一つ正しい人が、他の一つ不正な人が、はめるとしてみましょうそれでもなお正義のうちにとどまって、あくまで他人のものに手をつけずに控えているほど、鋼鉄のように志操堅固な者など、ひとりもいまいと思われましょう市場から何でも好きなものを、何おそれることもなく取ってくることもできるし、家に入りこんで、誰とでも好きな者と交わることもできるし、これと思う人々を殺したり縛めから解放したりすることもできるし、その他何ごとにつけても、人間たちのなかで神さまのように振る舞えるというのに! ――こういう行為にかけては、正しい人のすることは、不正な人のすることと何ら異なるところがなく、両者とも同じ事柄赴くことでしょう。 ひとは言うでしょう、このことこそは、何びとも自発的に正し人間である者はなく、強制されやむをえずうなっているのだということの、動かぬ証拠ではないか。つまり、〈正義〉とは当人にとって個人的に善いものではない、と考えられているのだ。げんに誰しも自分不正をはたらくことができると思った場合には、きっと不正をはたらくのだから、と。これすなわち、すべての人間は、〈不正〉のほうが個人的には〈正義〉よりもずっと得になると考えているからにはならないが、この考え正しいのだと、この説の提唱者は主張するわけです。事実、もし誰かが先のような何でもしたい放題の自由を掌中収めていながら、何ひとつ悪事をなす気にならず、他人のものに手をつけることもしいとしたら、そこに気づいている人たちから彼は、世にもあわれなやつ、大ばか者と思われることでしょうただそういう人たちは、お互い面前では彼のことを賞讃するでしょうが、それは、自分が不正をはたらかれるのがこわさに、お互い欺き合っているだけなのです。 — プラトン、『国家〈上〉』岩波書店1979年4月16日、109-110頁。 ソクラテスの(あるいはプラトンの)答えは、正義はこの社会的構造から派生してきたものではないと主張し不正に身を委ねるのは、自らを精神の中の醜く汚れた部分奴隷にすることであり、外的な状況がどうあろうとその状態はみじめだというものであったギュゲスの指輪の力を乱用した人物実際自身の持つ食欲奴隷になったが、一方で指輪使用しないことを選択した男性は、合理的に自分自身コントロールしているため、幸せであるという。

※この「『国家』におけるギュゲスの指輪」の解説は、「ギュゲースの指輪」の解説の一部です。
「『国家』におけるギュゲスの指輪」を含む「ギュゲースの指輪」の記事については、「ギュゲースの指輪」の概要を参照ください。

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