『医学論』
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/03/20 10:07 UTC 版)
「アウルス・コルネリウス・ケルスス」の記事における「『医学論』」の解説
『医学論』は全8巻から成る。 序文では既存の医学理論の妥当性に関する議論や、動物実験と人体実験の是非についての議論がなされている。 病気の治療に関するケルススの手法の原則は、健常な身体の働きをよく観察し、患者の身体がそこから外れていれば矯正するというものである。彼は発熱を、病的な何かを体外に追い出そうとする自然の作用であると認識しており、それを闇雲に止めようとすることは却って健康に害があると考えていた。ただしケルススは瀉血と瀉下薬の使用(今日的な観点からすれば正しくない)を詳細な説明と共に推薦しているほか、彼の処方は多くの点で19世紀以降の医学とは隔たりがある。ケルススは阿片を用いた調薬についても詳細に述べている。さらに、彼は1世紀のローマにおける様々な外科治療について書き残している。例えば白内障の除去、結石の処置、骨折の治療などである。 ヒポクラテスは悪性の腫瘍を"carcinos"(カニないしザリガニを意味するギリシア語)と呼んだが、それを"cancer"(カニを意味するラテン語)と訳したのはケルススである。 ケルススの著作が最初に印刷されたのは1478年のことである。彼の文体は、アウグストゥス時代が産んだ最上の作家による清澄さと優雅さの体現であるとされ、ながらく尊重されている。
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