『ラランデ暦書管見』
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「ラランデ暦書」の記事における「『ラランデ暦書管見』」の解説
現存しているのは8巻8冊までであるが、『新巧暦書』の序文には、「訳述西暦管見十三巻 表八巻」と、13巻まで存在したように記述されている。一方で、渋川景佑の蔵書目録に「西暦管見 十一」とあり、さらに伊能忠敬の研究書を出した大谷亮吉も、本書は元々11冊であったと記しており、差異が見られる。これに関して、渋川家の目録には管見のほかに「刺蘭迭暦表目録 刺蘭迭天文書目次和解 合巻一」「西暦管見目録 一」という記述が見られる。『新巧暦書』の13という数字は、この2冊を数に入れたものと考えられている。 また、現存していない9巻から11巻については、渋川景佑が著書の中で引用していることなどから、かつては存在していたと推定される。しかしその詳しい内容や、現存していない理由は定かではない。この3冊についてはまだ原稿が草稿段階であり、整理された状態ではなかったので現存していないのではないかという説がある。 現存している8巻までは3種類あり、羽間文庫、伊能忠敬記念館、学士院でそれぞれ所蔵されている。いずれも至時の直筆本ではなく、写本である。このうちの学士院本は、大谷亮吉が研究資料として使用するために伊能本を全文書き写させたものなので、内容は伊能本とほぼ同一である。伊能本と羽間本の違いとしては、羽間本では欄外に注釈として書き込まれている文章が伊能本では本文に組み込まれていたり、羽間本で抹消されている部分が伊能本では元から書かれていなかったりといった点が挙げられる。このことから、羽間本のほうがより至時の原本に近い形であり、伊能本は羽間本を整理した形で写されていることが分かる。
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