「湘南」の発端
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/14 09:27 UTC 版)
国内文献における「湘南」の初出は『倭名類聚抄』で、かつて中国に存在した長沙国湘南県である。中世中国の湘南では禅宗が発展し、その中心地であった。現在の日本では「湘南」とは主に神奈川県相模湾沿岸を指すが、うち禅宗を保護した鎌倉幕府があった鎌倉は、現在も禅宗臨済宗建長寺派および臨済宗円覚寺派の大本山である建長寺や円覚寺の所在地であり、鎌倉時代には夢窓疎石らにより日本の禅宗の中心地ともなった、禅宗と非常に密接な関係を有する土地でもある。 鎌倉の市街地や内陸部には鎌倉時代に起源を持つこうした古刹が残るが、現在において湘南という呼称が喚起するのは、太陽が降り注ぐ相模湾沿岸の浜辺や、そこで盛んなサーフィンの聖地というイメージである。それらが形成されたのは太平洋戦争後の1961年(昭和36年)7月、鵠沼海岸でサーフィンを楽しんでいた厚木基地所属の在日米軍パイロットが地元の青年らに教えたことで全国的な普及のきっかけとなり、「日本のサーフィン発祥の地」と呼ばれるようになったことが大きい。1978年にはサザンオールスターズが、江の島や茅ヶ崎といった湘南の地名を謳い込んだ『勝手にシンドバッド』でデビューし、現在に続く湘南のイメージを広げた。 平成期に神奈川県は、海をレジャーやスポーツの場として活用する「かながわシープロジェクト」を展開した。これにより湘南の定義は、神奈川県の市町村単位ではなく沿岸地区地方を指す名称となり、新湘南・湘東と西湘からなる。 上記のように鎌倉や江の島、茅ヶ崎などはネームバリューや観光資源が豊富で観光集客力が高く、昭和期のマスコミによる形成されたイメージが残る。明治期に遡れば山と川が織りなす相模川西の景観が主眼だったが、昭和期は「海」「太陽」「若者」などが連想されるようになっていった。
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