「民族社会主義ドイツ労働者党」とする主張とその理由
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「国民社会主義ドイツ労働者党」の記事における「「民族社会主義ドイツ労働者党」とする主張とその理由」の解説
田村栄一郎は「国家を民族の生存のための単なる手段とみなしている点では、これを『民族』社会主義として差支えなかろう。しかしこの場合も、ある人はこれを『国家』社会主義、他の人はこれを『国民』社会主義と訳している―大きな困難を伴うことが予想される。」と述べた。 伊集院立がエバーハルト・イェッケル(ドイツ語版)の『ヒトラー 全記録 1905-1924 (シュツットガルト、1980年)』に基づいて、ナチ党の名称はヒトラーの考えでは『国民社会主義ドイツ労働者党』ではなく『民族社会主義ドイツ労働者党』であったと主張した際、西川正雄との間に緊張が生じたといい、西川は「できれば国民社会主義にしてはどうだろうか」と述べたという。 山本秀行は「教科書などでは『国民』の訳が定着しているが、1935年以降については『民族』とした方が、ぴったりくるようにも思われる。」と述べた。 経済学者の瀬戸岡紘は、「ファシズムにとって『階級』ならぬ『民族』を意識させ『民族』意識をテコとすることは決定的に重要だった」との理由から、「国家- 」ではなく「民族- 」の訳語を用いている。 マルクス経済学研究者の岩田弘は、ナチスの民族主義や優生思想に即している「民族社会主義」の訳語が適切と主張している。 飯島滋明は「民族社会主義ドイツ労働者党」と訳し、「ヒトラー・ナチスが目指したのは優秀かつ健康な『アーリア人』による国づくりである。ユダヤ人などが含まれた『国民』『国家』を目指すものではない。そうである以上、『国家社会主義ドイツ労働者党』『国民社会主義ドイツ労働者党』と訳すのはナチスの意図をあいまいにし、適切でないように思われる。」と述べた。 山本孝二・大木毅はリチャード・J・エヴァンズ(英語版)の『第三帝国の歴史』において「『ナチズム』の原語であるNationalsozialismusは『国民社会主義』、『民族社会主義』など、様々に訳し得る。体制期に展開された、いわゆるゲルマン系の他国民に対する政策などに鑑み、『民族社会主義』もしくは『ナチズム』とした。」と記し、大木は『戦車将軍グデーリアン』において「民族社会主義ドイツ労働者党 (NSDAP) 」と訳した。
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