「冷たい雨」のプロセス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/08 19:58 UTC 版)
微小水滴がさらに集まっていき、数mmオーダーの雨粒や雪片に成長していく過程を併合過程(へいごうかてい, coalescence process)という。雨や雪を降らせない雲は、併合過程が十分に進んでいない雲である。凝結過程を経た高度の高い雲の中には過冷却の微小水滴が高密度で浮遊している。この環境下で土壌由来の結晶性の粘土鉱物などがあると比較的高い温度で凍結して氷晶核となり、氷晶のまわりは飽和水蒸気圧が低くなる関係で、周囲の過飽和水滴が蒸発して氷晶表面に昇華することで急速に氷晶が成長する。大きくなった氷晶は落下しながら周囲の氷晶とくっついて数mm~数cmオーダーの雪片となる。 こうして雪片のまま降ると雪として観測される。また、雪片が気温0℃以上の大気層に突入すると融解が始まるが、融解した水が気化する際に気化熱を奪うため融解し始めてからしばらくの間は雪の形をとどめる。一般的に融解し始めてから200~300mくらいで完全に融解する。そのため、気温が0℃以上でも6℃程度までは雪が観測される。なお、この境界温度は湿度と相関があり、湿度が高いと気化が遅く速く融けるため境界温度が低くなる。気温が0℃以上で雪が降っている場合、雪と雨が混在する場合があり、これを霙という。これより高い気温では完全に融解して雨となる。 上昇気流はふつう1~数m・s-1の速度である。数µmのオーダーでは重量が軽いため上昇気流に支えられて浮遊しているが、数百µm~数mmのオーダーでは重量が大きくなり落下を始める。上昇気流が強いほどより大きな水滴を支えられるので、上昇気流が強いほど大きな雨粒が降りやすい。ただし、約8mmを超えると雨粒は落下中に分解してしまい、それより大きな雨粒は存在しない。 上記のように氷晶を経て成長する降水の過程を冷たい雨(cold rain)のプロセスという。これに対して氷晶を経ないで水滴のまま成長する降水もあり、これを暖かい雨(warm rain)のプロセスという。
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