「エンタープライズ」の解釈の変遷
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/02 19:45 UTC 版)
「RICO法」の記事における「「エンタープライズ」の解釈の変遷」の解説
RICO法の制定当時である1970年代は、主に、マフィアや違法薬物取引などの組織犯罪に対する適用を前提としていた。そのため、同法に規定されている「エンタープライズ」は、マフィアなどの犯罪組織によって「浸透」される、被害の客体として想定されていた。しかし、同法は、「ラケッティア活動の反復」によって「エンタープライズ」を運営する行為を犯罪として構成していたため、個人、団体、企業を意味する「エンタープライズ」と、「ラケッティア活動の反復」という犯罪活動の結合によって、「エンタープライズ」自体によって行われる組織的犯罪、「エンタープライズ犯罪 (enterprise criminality) 」という概念が生まれた。 「エンタープライズ」は個人および法律上、事実上の団体を含有する語句であり、その中には、合法的な企業、団体のほか、マフィアやギャングなどの犯罪組織を含む。そのため、犯罪組織が合法的な企業や労働組合を運営することを禁じるだけではなく、マフィアやギャング、人工妊娠中絶反対運動、環境保護団体、テロリスト、過激派、政府機関による組織的犯罪を包括するものとなった。 「エンタープライズ犯罪」の概念の構築によって、「エンタープライズ」の解釈もまた、判例によって変更されるようになった。1994年、アメリカ合衆国最高裁判所は、被告の人工妊娠中絶禁止を主張する個人および団体は、RICO法第1962条(c)項の「州際通商または外国通商に影響を与えるエンタープライズの行為 (the activities of which affect, interstate or foreign commerce) 」の解釈から導き出される「経済的目的 (economic purpose) 」を有するか否かという争点に対し、州際通商または外国通商に与える「影響 (affect) 」の意味は、「有害な影響 (detrimental influence) 」を有することであり、その解釈において、「経済的目的」を必ずしも要件として設ける必要はないと判示した。
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