「○界説」と藻類
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/30 04:43 UTC 版)
かつては生物を「植物」と「動物」の2グループに大別していたが、研究の発展にともない、このような二分法は生物の真実の系統関係から大きく乖離していることが分かってきた。ホイタッカー(Robert H. Whittaker)の5界説(1959)以降、界レベルの分類体系を再検討した様々な「○界説」が提唱されてきたが、藻類は植物界や原生生物界にその都度割り振られ、確たる場所を与えられてきたわけではなかった(→生物の分類)。下記はAdl et al.(2005)に従った区分の例。 アーケプラスチダ(Archaeplastida) 藍藻の一次共生に由来する葉緑体を持つグループ。一次植物とも呼ばれる。緑藻、紅藻、灰色藻が含まれる。 クロムアルベオラータ(Chromalveolata) 紅藻の共生(二次共生)に由来する黄色の葉緑体を持つクロミスタと、単細胞生物としては細胞構造の最も複雑なグループであるアルベオラータをまとめた群。クロミスタにクリプト藻、ハプト藻、不等毛植物(褐藻や珪藻など)、アルベオラータに渦鞭毛藻が含まれる。渦鞭毛藻の葉緑体は複雑で、紅藻由来に加えてハプト藻やクリプト藻を取り込んだ三次共生由来のもの、未だ由来の不明なものもある。 リザリア(Rhizaria) 分子情報を根拠として定義された群。糸状や網状の仮足を持つ生物が多い。緑藻の二次共生に由来する葉緑体を持つクロララクニオン植物が含まれる。 エクスカバータ(Excavata) 複数本の鞭毛を持ち、腹側に微小管で裏打ちされた細胞口を持つグループ。この中のユーグレノゾアに、ミドリムシで有名なユーグレナ植物が含まれる。葉緑体は緑藻の二次共生由来。 なお、このような経過から、混乱が生じている例もある。2010年、オーランチオキトリウムという生物が石油を生産するとして話題となった。その際、マスコミではこの生物は藻類の一つとして紹介された。そのために、光合成をするという誤解を生じた部分がある。ところが、この生物は腐食性なのである。実のところ、これの属するラビリンチュラ類は、かつては菌類に分類されていたもので、後にクロムアルベオラータに含まれるものであると判明した。したがって、生活の形態から言えば、菌類と言うべきなのだが、その系統の主要な構成員部分が藻類であるため、藻類扱いされてしまったものである。
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