”われわれが思考するごとく”
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/08 05:00 UTC 版)
「デジタルメディア」の記事における「”われわれが思考するごとく”」の解説
デジタルメディアは1950年代初期に一般的に使われるようになったが、デジタルメディアの「概念的」な基盤は科学者兼技術者のヴァネヴァー・ブッシュと『アトランティック・マンスリー』に1945年に出版された"われわれが思考するごとく" に遡る。 ブッシュは、科学者や医者、歴史家やその他の人が、情報を保存、分析、伝達する際の助けとなるような装置の仕組みを構想していた。この、当時想像上のものであった装置をメメックスと呼び、ブッシュはこう書いている。 メメックスの持ち主が、弓矢の起源とその性質に関心があったとしてみよう。なぜ十字軍の小ぜり合いで、短いトルコ式の弓のほうが英国式の長い弓よりも優れていたかを研究していると しよう。彼は、関連する書籍や論文などをメメックスに何冊も保存している。まず、百科事典を取り出して全体をながめ、興味深いがおおまかな記述を見つけ出して画面に映し出しておく。次に歴史のなかから関連のある項目を見つけ出し、上のものと結び付ける。このようにして、多数の項目の間のつながりをつくっていく。時に彼は、本文に繋げる、またはある項目からの脇道に加えることで自身の発言を残している。利用可能なもので、弾性が弓と大いに関係があると明らかになると、彼は、自分に弾性についての教本や、物理定数の表に導いてくれる支線に分け入る。彼は、自身の分析を手書きしたページを挿入している。このようにして、彼は自分が利用できる資料の迷宮を通って、自身の興味の道をつくったのである。 ブッシュは、このメメックスの制作が第二次世界大戦後の科学者らの業になることを願っていた。"われわれが思考するごとく(英語版)"はデジタルコンピュータよりも数年先であったが、そのエッセーはデジタルメディアの潜在的な社会的、知的な利益を予期し、またデジタル・スカラーシップ(英語版)やWorld Wide Web、wiki、そしてソーシャルメディアにわたる概念的枠組みをもたらした。それは、出版された時でさえ、重大な所業と考えられた。
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