“ピーマンのような香り”
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/07 23:31 UTC 版)
「カベルネ・ソーヴィニヨン」の記事における「“ピーマンのような香り”」の解説
カベルネ・ソーヴィニヨンに特有とされる香りは、栽培方法や気候と密接に関係している。カベルネ・ソーヴィニヨンの特徴として最も広く認識されているのは、ハーブやピーマンのような香りである。これはピラジンという物質によるもので、ブドウが未熟なときに豊富に存在する。ピラジンは全てのカベルネ・ソーヴィニヨン種のブドウ中に存在するが、熟す過程で日光の影響で徐々に分解していく。この物質は、ワイン中の濃度が1リットルあたりわずか2ナノグラムでも味覚で感じ取ることができる。ブドウが熟し始める段階では、ピラジンは30 ng/l程度含まれている。冷涼な気候では、ピラジンが感じられなくなるまでブドウが熟すことはあまりない。そうして生まれた“ピーマンのような”香りがあっても、決してワイン醸造において失敗であるとはみなされないが、人によっては好みに合わないこともある。例えば、20世紀末頃、カリフォルニアのモントレーで作られるカベルネ・ソーヴィニヨンは明確なピーマンの香りを持つ植物的なワインとなり、 "Monterey veggies"(モントレーの野菜、の意)と揶揄された。これは、モントレーが冷涼な気候であることに加え、強い風の影響でブドウの完熟が阻害されるためである。 その他のカベルネ・ソーヴィニヨンの香りとしては、ミントやユーカリが知られている。ミントの香りは、ピラジンが少なくなるくらいには温暖であるが、それほど熱くはない地域で栽培したときに生まれると言われている。例えば、オーストラリアのクワナラやワシントン州の一部である。土壌も影響すると考えられており、ポイヤックのワインにはミントの香りが現れることがあるが、ほぼ同じ気候のマルゴー産ではあまりミントの香りはしない。樹脂のようなユーカリの香りは、実際にユーカリの木が生えているような地域、例えばカリフォルニアのナパやソノマ、オーストラリアの一部で作られたワインに多い。もっとも、近くにユーカリが生えていることと、ワインにユーカリの香りが生まれることに関係があるという証拠は得られていない。
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