港湾
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/22 22:47 UTC 版)
分類
主要な分類
港湾は機能・用途・運営主体・規模・法令などによって分類することができる。代表的な分類としては、用途による分類がある。港湾の用途に応じた分類であるが、出入港する船舶種類に応じた分類であるとも言える。用途による分類の概略を以下に示す。
種類 | 内容 | 主な入港船舶 |
---|---|---|
商港 | 外国貿易・内国貿易による貨物取扱いを主とする港湾 | 貨物船、コンテナ船など |
工業港 | 工業地域に接し原料や工業製品の取扱いを主とする港湾 | タンカー、原料輸送船など |
漁港 | 水産物の取扱いを主とする港湾 | 漁船など |
フェリー港 | 車両・旅客を運送するフェリーが出入港する港湾 | フェリー |
マリーナ | 趣味・娯楽・観光目的の船舶が停泊・発着する港湾 | ヨット、プレジャーボート、遊覧船など |
軍港 | 軍事的な性格を持った港湾 | 軍艦など |
避難港 | 小型船舶が強い風浪から避難するための港湾 | 小型船舶など |
また、港湾の立地・地形に着目した分類もある。港湾の多くは海洋に面している海港・沿岸港であるが、河口や河川・湖に建設された港湾も少なくない。概略は以下のとおり。
種類 | 内容 | 港の例 |
---|---|---|
海港・沿岸港 | 海洋に面した港湾 | 多数 |
河口港 | 河口に位置する港湾 | ルアーブル港、水島港、新潟港 |
河川港・河港 | 河川に面した港湾 | ロッテルダム港、ロンドン港、旧伏見港、上海港、ハンブルク港、デュースブルク港、ベオグラード港、モントリオール港、ニューヨーク港、ニューオーリンズ港、ブエノスアイレス港 |
湖港 | 湖に面した港湾 | シカゴ港、ジュネーヴ港、バクー港、大津港、土浦港、米子港、長浜港、ダルース港 |
多くの河川が航行に利用され、運河も発達している欧米では、海を航行する船が直接入港する港を港(海港)、河川や運河を航行する船が入る港を内陸港湾(Inland port)と呼んで区別している。この区分によると、たとえば海を航行する船が入港しているハンブルク港は、エルベ川の河口から約100km上流に位置しているが「内陸港湾」ではない。
以上のほか、天然の地勢に恵まれた「天然港」と、海浜掘込など人為的に建設された「人工港」という建設方法による分類、高緯度地域において冬季でも暖流などによって凍結することのない不凍港の分類などがある。
日本における分類
日本においては、いくつかの港湾関係法令が制定されており、それぞれの法令目的に従って港湾分類がなされている。
港湾の管理・建設を目的とした港湾法においては、次のような港湾区分を設けている。
区分 | 概要 |
---|---|
国際戦略港湾 | 重要港湾の中でも東アジアのハブ化目標とする港湾 |
国際拠点港湾 | 重要港湾の中でも国際海上輸送網の拠点として特に重要な港湾 |
重点港湾 | 重要港湾のうち国が重点して整備・維持する港湾 |
重要港湾 | 国際海上輸送網または国内海上輸送網の拠点となる港湾で今後も国が整備を行う港湾 |
その他の重要港湾 | 国際海上輸送網または国内海上輸送網の拠点となる港湾など |
地方港湾 | 重要港湾以外で地方の利害にかかる港湾 |
56条港湾 | 港湾区域の定めがなく都道府県知事が港湾法第56条に基づいて公告した水域 |
避難港 | 小型船舶が荒天・風浪を避けて停泊するための港湾 |
旧運輸省(現国土交通省が1995年に策定した港湾政策「大交流時代を支える港湾」に明記された通称で、次のような港湾区分を設けていた。
区分 | 概要 |
---|---|
スーパー中枢港湾 | 国家的見地でみた日本のコンテナ重要港湾 |
中枢国際港湾 | 日本の中枢的な国際コンテナ港湾 |
中核国際港湾 | 国際海上コンテナターミナルを有する港湾 |
※スーパー中枢港湾の政令上の呼び名は「指定特定重要港湾」。
※スーパー中枢港湾は、東京港・横浜港・名古屋港・四日市港・大阪港・神戸港が指定されていた。
水産業の発展を図り、漁港漁場の整備の推進を目的とした漁港漁場整備法における漁港に関する区分がなされている。行政においては、港湾は港湾法に基づく港(国土交通省所管)、漁港は漁港漁場整備法に基づく港(農林水産省所管)として明確に区別されている。
港内における船舶交通安全の確保を目的とした港則法は、喫水の深い船舶・外国船舶が常時出入りできる港を特定港として分類しているほか、港則法を適用する港を港則法適用港(港則法施行令別表第1)としている。
貨物の輸出入の手続きについて定める関税法においては、外国船舶が寄港できる開港とそうでない不開港を区分している。その他、検疫法、港湾運送事業法、出入国管理及び難民認定法(入国管理法)などの法令による港湾分類がある。
注釈
出典
- ^ a b c 池田良穂(監修)『船のすべてがわかる本』ナツメ社、2009年2月9日。ISBN 9784816346408。
- ^ a b 池田良穂『船の最新知識』ソフトバンク クリエイティブ(株)、2008年11月24日。ISBN 9784797350081。
- ^ 八木光(監修)『イラスト図解 船』日東書院、2010年2月1日。ISBN 9784528019256。
- ^ 塩ノ谷幸造(編)『クレーンの運転』パワー社、2003年6月25日。ISBN 4827730318。
- ^ AAPA World Port Rankings 2015
- ^ “Global Port Development Annual Report (2015)”. 2016年7月26日閲覧。
- ^ AAPA World Port Rankings 2014
- ^ “Global Port Development Annual Report (2014)”. 2015年7月26日閲覧。
- ^ AAPA World Port Rankings 2013
- ^ “Global Port Development Annual Report (2013)”. 2014年7月26日閲覧。
- ^ AAPA World Port Rankings 2012
- ^ “Global Port Development Annual Report (2012)”. 2013年7月26日閲覧。
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