港湾 管理・運営

港湾

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/22 15:14 UTC 版)

管理・運営

港湾管理者

港湾を管理・運営している主体、すなわち港湾管理者には、ポートオーソリティ港務局)・地方自治体などがある。

ポートオーソリティとは、公営企業の形態をとった港湾管理組織であり、独立採算によって港湾および港湾隣接区域の運営を行うもので、主にヨーロッパ・北米で広く普及している。日本では第2次世界大戦後、占領軍が港湾管理運営主体の民主化を狙いにポートオーソリティ制度の導入を勧告。1950年公布の港湾法に同制度をそのまま移植し、その和訳である港務局制度が港湾管理者制度の柱として確立された。しかし港務局は終戦直後の財政的な制約もあって日本においては普及せず、大半の港湾が都府県、政令指定都市などの地方公共団体単独管理となった。現在港務局が港湾管理者を務める日本港湾は新居浜港のみである(※ポート・オーソリティ内「日本への影響」項も参照のこと)。

関係機関

港湾に関わる公的な機関には、港湾管理者のほか港長沿岸警備隊税関検疫所出入国管理機関などがある。

港長は、港湾内の水域における船舶の安全な航行・停泊・荷役などを司る職である。港長のもとでこれらの任務に当たるのは沿岸警備隊(日本では海上保安庁)であることが多い。税関は、港湾を通じて輸出入する貨物・物資を検査し、関税の課税・徴収を行う機関である。このほか、密輸取締りなども税関の業務である。検疫所は、外国から国内に伝染病の病原菌が侵入するのを防ぐ機関であり、外国から来た船舶は、検疫所の検疫が完了するまで人の上陸・貨物の陸揚げを行うことができない。国・地域により異なるが検疫所には動物検疫所・植物防疫所などがある。また、出入国管理機関も港湾に関係する機関である。多くの国・地域で、港湾を通じた出入国を公正に管理するために設置されている。

関係事業者

港湾に関わる事業者には、船舶代理店通関業者港湾運送事業者(港湾荷役事業者、はしけ運送事業者、検数事業者、検定事業者など)、水先人、曳船業者(タグボート)などがある。

ターミナルオペレーター

ガントリークレーンなど多大な設備投資を必要とし、コンテナ船の利用に供されるコンテナターミナルは、特定の船会社が定期的に利用する特性を有するため、受益者となる船会社・港湾運送事業者が施設を港湾管理者などから一体的に借り受け、自らも投資しながら運営する形態が一般的である。コンテナターミナルの運営業務を担う事業者はターミナルオペレーターと呼ばれ、特に国際海上コンテナ輸送の大規模化に伴い世界規模で急成長した巨大会社をメガターミナルオペレーターという。

シップチャンドラー

港に停泊する船舶に、食料、日用品、船具や船舶機械を販売して納める業者は「シップチャンドラー」(ship chandler、船舶納入業者)と呼ばれ、国際航路の船には国内税を掛けずに食料や酒類を販売できるため、免税販売の免許を取得している[注 2]

給油

多くの港では小型タンカーにも似た、「給油船」と呼ばれる船が接舷し、ホースを繋いで主機械用の重油や軽油の供給を行なう[注 3][1]。この他、専用の給油施設を備える港もあれば、タンクローリーによって行なう港もある。

給水

給油と同様に「給水船」が接舷して、飲料用水や造水機を持たない小型船のボイラー用の清浄水を供給する[注 4][2]

港湾運営の民営化

2011年現在、国土交通省は港湾法を改正して、港湾運営会社を設立できるようにし、民間の経営手法を導入して、独自に資金調達や岸壁使用料の設定やポートセールスができるようにすることを検討している。対象は、特定重要港湾の23港とされる。

(参考)港湾法及び特定外貿埠頭の管理運営に関する法律の一部を改正する法律案について - 国土交通省平成23年2月4日


注釈

  1. ^ 貨物船でも旅客を運ぶ貨客船となれば滞船待ちの順番を待たずに優先的に接舷できたため、多くの貨物船が旅客設備を備えるようになった時期がある。
  2. ^ 日本のシップチャンドラーとしては、高級スーパーやジャム等でもよく知られた明治屋が有名である。
  3. ^ 船への給油作業は「バンカリング」と呼ばれる。これは石炭を燃料としていた時代の名残で石炭庫のことをバンカーと呼んでいたためである
  4. ^ 神戸港・横浜港の補給水はそれぞれ遠洋の航海においても日持ちが良いとされ、文字通り「六甲のおいしい水」「道志の源流水」として人気がある。

出典

  1. ^ a b c 池田良穂(監修)『船のすべてがわかる本』ナツメ社、2009年2月9日。ISBN 9784816346408
  2. ^ a b 池田良穂『船の最新知識』ソフトバンク クリエイティブ(株)、2008年11月24日。ISBN 9784797350081
  3. ^ 八木光(監修)『イラスト図解 船』日東書院、2010年2月1日。ISBN 9784528019256
  4. ^ 塩ノ谷幸造(編)『クレーンの運転』パワー社、2003年6月25日。ISBN 4827730318
  5. ^ AAPA World Port Rankings 2015
  6. ^ Global Port Development Annual Report (2015)”. 2016年7月26日閲覧。
  7. ^ AAPA World Port Rankings 2014
  8. ^ Global Port Development Annual Report (2014)”. 2015年7月26日閲覧。
  9. ^ AAPA World Port Rankings 2013
  10. ^ Global Port Development Annual Report (2013)”. 2014年7月26日閲覧。
  11. ^ AAPA World Port Rankings 2012
  12. ^ Global Port Development Annual Report (2012)”. 2013年7月26日閲覧。


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