新疆省 人口統計

新疆省

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/28 17:06 UTC 版)

人口統計

1928年の中華民国内政部の統計では、新疆省の総人口はおよそ255万人、うちウイグル人が約70%、漢人が10%以下を占める人口構成となっていた[13]

経済状況

楊増新が新疆を支配した1920年代の中国内地は、軍閥が割拠する内戦状態となり、中央政府から新疆に交付されていた「協餉」(一種の補助金)も打ち切られた。このため、楊増新は、増税、紙幣増刷、農地開墾、対ソ貿易振興等の経済財政改革を行い、中国内地からの経済的自立を図った。中でも、ソ連との間の農畜産物と工業製品のバーター貿易は、新疆省経済の生命線となり、対ソ貿易の取扱額は、1927年には中国内地向け取扱額の10倍にまで達した。楊増新は、関税収入の増進を目的に、ソ連政府と交渉して、1881年イリ条約で定められた不平等条項を撤廃させるなど、中央政府の頭越しに独自の外交交渉を行った[14]

盛世才政権下においても、ソ連との経済的な結びつきは、さらに緊密となり、1935年からは、大規模な借款供与も行われた。その一方、中国内地との往来に査証が導入されるなど、中国内地との経済的関係は疎遠になっていった[15]

実効支配喪失後の中華民国新疆省

中華民国政府が台湾に移転した後、1950年4月11日には新疆省政府主席にユルバース・カーンを任命している(1971年7月27日に死去後、後任は任命されなかった)。新疆に対する主権の象徴として1951年に台北市四維路52巷31号に新疆省政府主席辦公署が設置され、さらに1971年には新疆省政府辦事處へと改組されるも、実際に統治を行うことができないという状況のもと存在意義が薄まり、1992年1月16日に廃止された[16]

中華民国(台湾)は、2005年までに、新疆省の主権を主張する法令及び行政規則を全廃しており、現在、新疆省に関する行政機関を持たず、同省の領域に対して公式に領土主権の主張を行っていない。

中華民国憲法は、その領域について「中華民國領土依其固有之疆域」(中華民国の領土はその固有の領域に依る)と規定するのみであることから、具体的な領土の範囲は法令及び行政解釈に拠っているが、中華民国は、実効支配を失った後も、新疆省に関する法令及び行政規則を長年に渡って維持していた。例えば、上述のように新疆省政府主席を1971年まで任命していたほか、新疆省の出先事務所である「新疆省政府辦事處」を1992年まで台北市に設置していた。

また、中華民国の行政院が日本の自治体コードに相当する「中華民國各省(市)縣(市)行政區域代碼」(現在の中華民国行政区域及村里代碼(中国語: 中華民國行政區域及村里代碼)を新疆省の行政区域に割り当てていたが、2005年の改定で新疆省へのコード割当が廃止されている[17]

新疆省政府の最高指導者

北京政府時期(1912-1928)

新疆都督兼民政長(北京政府
  1. 袁大化(巡撫から改任)(1912)
  2. 袁鴻祐(未着任)(1912)
  3. 楊増新(1912-1914)
新疆將軍兼巡按使(北京政府)
  1. 楊増新(1914-1916)
新疆督軍兼省長(北京政府)
  1. 楊増新(1916-1925)
新疆督辦兼省長(北京政府)
  1. 楊増新(1925-1928)

南京政府時期(1928-1949)

新疆省政府主席(南京国民政府
  1. 楊増新(1928)
  2. 金樹仁(1928-1933)
  3. 劉文龍(政変後臨時省主席に就任,同年12月盛世才により軟禁される)(1933)
  4. 朱瑞墀(盛世才が代理主席に指名)(1933-1934)
  5. 李溶(1934-1940)
  6. 盛世才(1940-1944)
  7. 呉忠信(1944-1946)
  8. 張治中(1946-1947)
  9. マスード・サブリ(1947-1948)
  10. ブルハン・シャヒディ (1948-1949)

台湾時期(1950-1992)

新疆省政府主席
  1. ユルバース・カーン (1950年4月11日-1971年7月27日)



  1. ^ 小松 pp.305-311.
  2. ^ 小松 pp.314-317.
  3. ^ 王柯 『東トルキスタン共和国研究』 東京大学出版会 1995年,15頁
  4. ^ 王柯 『東トルキスタン共和国研究』 東京大学出版会 1995年,15-16頁
  5. ^ 王柯 ,1995年,16頁
  6. ^ 王 1995, pp.18.
  7. ^ 王 1995, pp.15-16.
  8. ^ 王 1995, pp. 85-86.
  9. ^ 小松 pp. 379-381.
  10. ^ 『政府公報』503号 1913年9月28日
  11. ^ 内務部職方司第1科『全国行政区画表』1914年
  12. ^ 『新疆通志』第24巻 1992年 新疆人民出版社
  13. ^ 王 1995, p.15.
  14. ^ 王 2006, pp.158-162.
  15. ^ 王 1995, p.61.
  16. ^ 2015.4.11法提合先生、耿慶芝女士演講「漫談新疆省政府辦事處」
  17. ^ 中華民國統計資訊網 行政區域及村里代碼 http://www.stat.gov.tw/ct.asp?xItem=39438&CtNode=1519&mp=4


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