士別軌道 バス事業

士別軌道

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/23 08:39 UTC 版)

バス事業

観光貸切や旧朝日町より福祉バスの運行受託を行う。2005年(平成17年)度の路線バス輸送人員は1日平均740人。

1930年(昭和5年)5月に士別と温根別の間で路線バスを運行開始。1932年(昭和7年)4月には奥士別との間でも運行開始し、軌道の旅客輸送はバスに移行した。1942年(昭和17年)に制定された北海道における旅客自動車運輸事業統合要綱(いわゆる戦時統合)では道北乗合自動車(現在の道北バス)が統合先であったが、士別軌道では同年4月に燃料事情の悪化からバス事業を休止しており、休止事業者は車両のみ統合対象とされたため、1944年(昭和19年)11月に3台を道北乗合自動車へ譲渡した[19]。戦後、1948年(昭和23年)9月に再開されている。

2016年9月27日より、ヤマト運輸と他バス会社と共に、朝日線においてバスで宅急便を輸送する「客貨混載」を開始した[20]

路線バス

かつては名寄市幌加内町剣淵町愛別町へも乗り入れていたが、現在は士別市と名寄市旧風連町域の運行となる。車両は2017年(平成29年)3月31日現在で16台保有する[21]

士別市内線

市内線運用中 (89024)

160円均一運賃[22]で、地方路線では珍しい前乗り・前払い・中降りとなる。

  • 外廻り循環内廻り循環 士別駅前 - 北6丁目 - つくも団地 - 市役所前 - 市立病院前 - 西條 - 士別駅前
    • 外廻り循環(北6丁目先廻り)は通年運行。内廻り循環(西條先廻り)は11月1日 - 4月30日運行。
  • 東西廻り循環 士別駅前→土木現業所→桜丘→市立病院前→西條→士別駅前
    • 2019年より通年運行

郊外線

整理券方式の後払いで、中扉車も前乗り・前降りで運用される。登校日の士別行始発便は翔雲高校を経由する。

  • 朝日線 士別駅前 - 市立病院前 - 中士別 - 上士別 - 朝日
  • 温根別線 士別駅前 - 土木現業所 - 西士別 - 温根別 - 中9号 - 南12線
    • 一部便は温根別で北線と接続。
    • 2018年(平成30年)4月1日より士別発最終便のみデマンド化された[23]
  • 中多寄線 士別駅前 - 42線 - 多寄 - (日向温泉) - 30線西3号 - 風連駅
    • 旧名士バス路線。1981年(昭和56年)〜1985年(昭和60年)度の間に自主運行を廃し、2006年(平成18年)9月までは士別市および旧風連町からの受託による21条バスとして運行されていた[24]
デマンド路線

予約によるデマンドバスとして運行する路線。

  • 川西・南沢線(丘のランランバス) 士別駅前 - 川西13線 - 川南5号 - 南沢11号
  • 武徳線 士別駅前・翔雲高校・つくも - 6号 - 武徳12号
    • 2010年(平成22年)11月1日よりデマンドバス化。1981年(昭和56年)度〜1985年(昭和60年)度の間に自主運行を廃し、2006年(平成18年)9月までは士別市からの受託による21条バスとして運行されていた[24]
  • 北線 温根別 - 北8線 - 北16線
    • 温根別で温根別線士別駅前方面と接続。1981年(昭和56年)度〜1985年(昭和60年)度の間に自主運行を廃し、2006年(平成18年)9月までは士別市からの受託による21条バスとして運行されていた[24]。2008年(平成20年)11月に士別市地域公共交通活性化協議会の取組として試験的なデマンド運行を実施[25]。その後本格実施に移行した。
  • 川南線 士別駅前 - 市立病院前 - 中士別 - 上士別 - 川南5号 - (成美10号) - 大和 - パンケ越
    • 2019年4月1日よりデマンド化[26]

主な廃止路線

既存路線と合わせた士別発着系統も存在した。

1965年(昭和40年)度〜1970年(昭和45年)度の間に廃止された路線[24]

  • 似峡線 朝日3号 - 似峡市街
  • 愛別線 似峡市街 - 裏オキト
  • 添牛内線 中9号 - 添牛内
  • 朱鞠内線 幌加内 - 添牛内 - 朱鞠内

1971年(昭和46年)度〜1975年(昭和50年)度の間に廃止された路線[24]

  • (旧)温根別線 1丁目 - 南2線
  • 伊文線 南15線 - 伊文15線
  • 名寄線 北6丁目 - 名寄駅前、多寄 - 風連町

1976年(昭和51年)度〜1980年(昭和55年)度の間に廃止された路線[24]

  • 剣淵東線 士別駅前 - 剣淵市街
  • 剣淵西線 南町 - 剣淵市街
  • 剣淵9区線 南士別 - 西原
剣淵町域は剣淵町営バスが代替する。
士別市コミュニティバス (02022)

2004年(平成16年)4月1日に廃止された路線

  • 登和里線 朝日 - 登和里
  • ペンケ線 朝日 - 三栄
士別市(旧朝日町)の無償コミュニティバスに代替。運行管理を士別軌道が受託する。

貸切バス

貸切バス事業は通常は離島を除く旭川運輸支局管内、期間限定で札幌市千歳市での発着が認められているが、貸切バス事業者安全性評価認定制度による優良事業者に限定した営業区域の弾力的な運用により北海道全域となっている。車両は11台保有する[27][28][29]

車両

路線バスには主に日野製、貸切バス三菱製を使用する。北海道内のバス事業者で唯一モノコックボディの大型車両が現存するほか、2010年(平成22年)3月30日よりハイブリッドノンステップバスが試乗会を経て運用開始しており[30]、新旧入り混じった車両構成となっている。 モノコックボディ車は、1982年(昭和57年)製で、1998年(平成10年)9月まで和寒町が所有していた[31][32]。譲渡時の走行キロは48万キロメートルであった[32]。しかし、メーターは一度リセットされており、正確な総走行距離は不明[31]。譲渡後同社の車両デザインで運行されていたが、2014年(平成26年)に復刻デザインに変更している[32]。2022年4月には床板や天井、外壁などの修繕を実施しており、その後も継続的な運行を続けている[31]


  1. ^ a b 広告 商業登記「株式会社(設立)」『官報』1919年10月20日 (国立国会図書館デジタルコレクション)
  2. ^ 旭川営林局史(第一巻) 1960年12月20日発行
  3. ^ 王子製紙社史 1959年発行 第4巻 P212-213 によれば、敷設はこの地に広大な土地を所有していた帯広町の奥野小四郎で、それを富士製紙が譲り受け、資本金20萬圓で当社を設立、製紙会社合併後に王子製紙に引き継がれたが、御料林年期払下契約満期に伴い昭和14年12月に帝室林野管理局の依頼を受けて譲渡のうえ解散した。となっている。
  4. ^ 朝日 1979, p. 24.
  5. ^ 『官報』1919年04月10日
  6. ^ a b 井口 2021, p. 4.
  7. ^ 井口 2021, p. 26.
  8. ^ a b c d e 井口 2021, p. 5.
  9. ^ 『官報』1924年08月28日
  10. ^ a b 朝日 1979, p. 27.
  11. ^ 鉄道省監督局『地方鉄道及軌道一覧』昭和10年4月1日現在(国立国会図書館デジタルコレクション)
  12. ^ a b c d e 井口 2021, p. 9.
  13. ^ 日本セメント70年史 日本セメント株式会社 社史編纂委員会編 昭和30年10月発行 P623-626,P643-644。それぞれの当時の住所は士別工場は士別町兵村111番地、採掘場は奥士別御料4線付近。北辺防備のため、陸軍の要請により工場が建設され、昭和19年6月20日より軍需向けの操業を開始した。戦後は北海道庁の要請により事業が継続されたが、採算不良のため産業設備営団へ移管となった。営団では何度か操業を試みたがいずれも失敗に終わった。国土地理院地図・空中写真閲覧サービス空中写真では、1963年(昭和38年)から1968年(昭和43年)の間に工場が撤去されている。
  14. ^ a b c 『北海道の私鉄車両』 p240
  15. ^ 朝日 1979, p. 35.
  16. ^ 『新士別市史』 p713
  17. ^ 『昭和29年夏 北海道私鉄めぐり』(上) p40
  18. ^ 「北海道における森林鉄道用ジーゼル機関車について」北海道大學農學部 演習林研究報告 1959年7月 小熊米雄
  19. ^ 北海道のバス事業 - 第4章 歴史的な大統合, 北海道バス協会, http://www.hokkaido-bus-kyokai.jp/reki4.html#index7 2011年6月7日閲覧。 
  20. ^ 北海道で路線バスが宅急便を輸送する「客貨混載」を開始 - ヤマト運輸、2016年9月27日、同年10月2日閲覧
  21. ^ 全国乗合バス事業者の移動円滑化基準適合車両導入状況” (PDF). 国土交通省. 2018年3月17日閲覧。
  22. ^ ただし、外廻り循環(北6丁目先廻り)は駅前から大通の各停留所の区間のみ150円となっている。1区間のみの乗車は循環線共通で110円となっている。
  23. ^ 温根別線バス運行時刻等の変更について”. 士別市. 2019年8月13日閲覧。
  24. ^ a b c d e f 『新士別市史』 pp714 - 715
  25. ^ 士別市地域公共交通総合連携計画” (PDF). 士別市. 2019年8月13日閲覧。
  26. ^ 川南・大和線のデマンド化(予約運行)について”. 士別市. 2019年8月13日閲覧。
  27. ^ 一般貸切旅客自動車運送事業における営業区域の弾力的な運用について” (PDF). 北海道運輸局. 2018年3月11日閲覧。
  28. ^ 貸切バス事業者一覧” (PDF). 北海道運輸局. 2018年3月11日閲覧。
  29. ^ 貸切バス会社一覧, 北海道バス協会, http://www.hokkaido-bus-kyokai.jp/pdf/kankou.pdf 2011年6月7日閲覧。 
  30. ^ カメラレポート…ハイブリッド・ノンステップバス出発式(3月30日), 士別市, (2010-03-31), オリジナルの2010-04-17時点におけるアーカイブ。, https://web.archive.org/web/20100417105200/http://www.city.shibetsu.lg.jp/www/contents/1270192288380/index.html 2011年6月7日閲覧。 
  31. ^ a b c 大口弘明「40歳レトロバス、発車オーライ 士別軌道22日運行開始 長寿「坂はゆっくりと」」『北海道新聞』、2023年4月11日。2023年5月21日閲覧。
  32. ^ a b c 井口 2021, p. 50.


「士別軌道」の続きの解説一覧




固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「士別軌道」の関連用語

士別軌道のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



士別軌道のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの士別軌道 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS