バトルテック
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/16 02:31 UTC 版)
ボードゲーム
ボードゲーム『バトルテック』は、戦場を模したヘクスマップ上にメックのコマを何枚か配置して、メック同士を戦わせるという一般的なウォー・シミュレーションゲームの体裁をとっている。プレイヤーは自軍の資金やメックの重量の制限内でメックの武装や装甲を改造できるのが特徴で、ゲームに使用することができるメックや武装パーツは数多くのエキスパンションセットを別個購入することで増やすことができた。この、「自分の好きなメックを作り出すことができる高い自由度」は他の類似ゲームに対する強烈な個性となっている。
初版は1984年に『バトルドロイド』の名称で発売。以後、バージョンアップが繰り返され、いくつもの追加ルール(エキスパンション)も発売された。日本では1992年~1994年にかけてラインナップの一部が富士見書房より翻訳発売された。翻訳を担当したのはグループSNEの清松みゆき。日本語版では機体のデザインが河森正治によって描き直されている。
ボードゲーム『バトルテック』はマニアックなカスタマイズ性(自由度の高さ)が特徴ではある。ただし、それゆえにゲームルールの複雑化を招いており、コアなマニアとそうでない者の評価の格差は激しい。「メカ物の発祥地」であるはずの日本では、逆に大きなブームを起こせなかった。
本作は、日本語版翻訳を担当した清松がデザインしたソード・ワールドRPGにも影響を与えた[2]。その大きなものがミサイルの命中本数表でありソードワールドにおけるレ―ティング表のアイデアに繋がる。
ゲームの特徴
命中判定
武装カスタマイズの複雑さが本作の特徴だが、武器の命中判定はシンプルである。どの武器であっても、六面体サイコロ二個によって行われる上方判定で行う。武器毎に専用の細かい表があり、サイコロの出目と表をつきあわせることで敵機にどのような損害を与えたかが決定される。
重量と武装
メック同士の戦闘は「射撃の雨を浴びせて敵メックの装甲、武装、その下の内部中枢やエンジン等を破壊して、ようやく敵メック一機を撃破する。そしてその間、自機も敵からの射撃の雨を浴び続ける」という力押しの射撃戦が基本である。ただし、バトルテックでも運が良ければわずか数発の命中で、搭載弾薬が誘爆し敵を撃破できる事はある。
また、そういうシステムである以上、重装甲・重武装のメックが有利になる。『バトルテック』ではメックに設定された重量によって装甲や武装に限界が発生するため、基本的には重いほど強いという一般則がある(なお、機体の大きさや小ささはシステム上考慮されていない)。
メックは重量が増すたびに鈍重になり移動力や回避性能が劣化するという弱点もあるため、軽量級が優位に立つシチュエーションもあるにはある。しかし、ゲームはアニメと違って、バランス上どんなに回避が高くても当たるときは当たるため、回避性能を強化して軽量級メックを強くするのは難しい部分もある。特に『バトルテック』をテーブルトークRPGとして遊ぶための拡張ルール『メックウォリアー』を導入すると、せっかく育てたキャラがあっけなく死んでしまわないように考慮が必要であるため、回避型より重装甲型の方がどうしても重用される傾向がある。
部位の概念
メックは手、足、胴体、背部、頭部など、各部位ごとに耐久力が存在しており、敵からの攻撃が命中した場合は、その部位の耐久力が削られる。また、武器も各部位ごとに装備でき、手にはライフルや剣を持ち、脚にはミサイルポッドや予備弾薬をつけるなどといったことも可能である。弾薬などを装備している部位が攻撃されると誘爆し大ダメージを食らうこともある。各部位ごとに自在に装甲を施す事も可能で、弾薬を積載し弱点となり易い場所は重点的に、多少破壊されても困らない所は装甲を削って重量を他に回す事も出来る。背部装甲を前面装甲に回せば「後ろから撃たれるとすぐ破壊されるが、とにかく前からの攻撃には強くする」といったカスタマイズになる。ただし頭部(コックピット)は装甲を厚くすることができないため、どのメックでも弱点となる。
歩行兵器であるため、足へのダメージは致命的問題となる。加えて、動けなくなったメックは鹵獲することが可能である。作中世界におけるメックはオーバーテクノロジーの産物で、簡単に改造・製作はできないため、敵軍から奪ったメックはパーツ改造のための重要な資源になる。このため、両足が破壊されてメックが動けなくなると、敵に鹵獲される前に自爆してしまう等の保全機構がある。
熱
本作においては、メックが何か行動をするたびに負荷がかかることで、熱ポイントがたまっていく。熱は一定時間ごとに多少は排熱されていくが、戦闘中は排熱される熱ポイントよりも蓄積される熱ポイントの方が大きくなることが多い。メックの動力は核融合炉であり、機体の温度上昇は融合炉暴走を招くため、熱ポイントがある一定以上たまると安全装置が働き自動停止(シャットダウン)する可能性が発生する。指定された熱ポイント以上になる度に自動停止判定を行わなければならず、判定に失敗すると自動停止となる。なお、安全装置を解除させる手段は存在するものの、熱ポイントがたまりすぎると今度は自爆の可能性がある。
戦闘中にシャットダウンしてしまえば、再起動までのわずかな時間ではあるが、好き勝手に撃たれ放題となってしまう。そのため、シャットダウンが起こらないように戦闘の合間合間でメックを休息させながら戦う必要がどうしても出てくる。
一部、熱の心配をする必要の無い機体も存在するが、その様な機体には必ずと言って良いほど「初心者向けだが攻撃力不足」のレッテルが貼られている。
注釈
出典
- ^ a b “『バトルテック』関連作品の機体デザイン訴訟が和解へ―既存機体デザインは継続使用可能”. GameBusiness.jp (2018年7月2日). 2022年5月5日閲覧。
- ^ 清松みゆき『バトルテックがよくわかる本』(富士見書房 ISBN 4-8291-4267-7)63頁参照
- ^ Inc, Aetas. “Access Accepted第225回:あのメックが帰ってくる?”. 4Gamer.net. 2022年5月5日閲覧。
- ^ “ゲームソフトインプレッション”. pc.watch.impress.co.jp (1999年6月25日). 2022年5月5日閲覧。
- ^ a b Iwahama (2003年7月7日). “「メックフェスティバル 2003」盛況のうちに終了”. 4Gamer.net. Aetas. 2022年5月5日閲覧。
- ^ “メックウォリア2 | ソフトウェアカタログ | プレイステーション® オフィシャルサイト”. www.jp.playstation.com. 2022年5月5日閲覧。
- ^ Seal (2003年7月24日). “【レビュー】マイクロソフト メックウォーリア4 マーシナリーズ 日本語版”. www.4gamer.net. 2022年5月5日閲覧。
- ^ 電撃オンライン. “【おすすめDLゲーム】『BATTLETECH(バトルテック)』のリアリティを感じるゲーム性がロボ好きの心を揺さぶる”. 電撃オンライン. 2022年5月5日閲覧。
- ^ a b “あの「メックウォーリア」のナンバリング最新作「MechWarrior 5: Mercenaries」の発売日が2019年9月10日に決定”. 4Gamer.net. Aetas (2018年12月4日). 2022年5月5日閲覧。
- ^ “PS向けにも大復活!巨大ロボシム『MechWarrior 5』PS4/PS5版が海外で9月23日発売決定”. Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト. 2022年5月5日閲覧。
- ^ a b バトルテック始動 - ゲームマシン1992年9月15日
- ^ Attention Louisiana and East Texas:MechCorps will be in Lake Charles, Louisiana, THIS WEEKEND at @cyphacon !... - (Instagram 2024年4月4日)
- ^ a b シグマ運営の都市型複合AMビルに新型VRゲーム バトルテック日本初登場 - アミューズメント産業1992年10月号
- ^ 新会社設立 - アミューズメント産業1993年2月号
- ^ ザップ、日本バトルテック協会設立 - アミューズメント産業1993年9月号
- ^ バトルテック日米決戦大会開催 - アミューズメント産業1994年5月号
- ^ “どうしてロボットゲーは流行らないのか? タニタのツインスティックがイイ感じだったので勝手に「ロボゲーについて語る会」をやりました”. ねとらぼ. 2022年5月5日閲覧。
- ^ ザップ、バトルテックをバーチャルワールドとして新展開 - アミューズメント産業1994年11月号
- ^ 銀座に競馬場!?シグマのロンゴロンゴ銀座 - アミューズメント産業1995年6月号
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