なまはげ 観光

なまはげ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/21 01:32 UTC 版)

観光

なまはげ館の入口(2014年8月)

現在、年中行事としてのなまはげは大晦日に男鹿地区の家々を巡るだけのため、部外者がその習俗に出会うことは困難である。そのため、一般の観光客がなまはげを体験できる施設や立像が設置され、なまはげの姿で行う芸能やイベントが創作され、土産物やキャラクターが作成されるなど、様々な観光開発がなされている。大晦日に、観光客がなまはげに扮することができるツアーも男鹿市観光協会により募集されている[37]

なまはげ柴灯まつり

なまはげは、かつて小正月旧暦1月14日/1月15日または新暦1月14日/1月15日)におこなわれていた。旧暦の小正月を新暦に当てはめると、毎年日にちは異なるが2月初旬から3月初旬のいずれかの日にあたる。「なまはげ柴灯(せど)まつり」は旧暦の小正月の時期に近く、新暦の月遅れ付近にあたる毎年2月の第2・第2・第2に行われている。1964年(昭和39年)の初回は男鹿温泉郷の星辻神社で開催されたが、後年、真山神社に会場が移った。

主に観光向け行事として親しまれている。こちらは、なまはげの着ているケラから落ちたを頭などに巻きつけると無病息災の御利益があるといわれている[38][39][40]

立像

体長15mと12mの2体の立像(2007年11月)
男鹿駅前の2体の立像(2012年10月)

秋田県では、藁で体をつくり、木彫りの面をつけた人形道祖神鹿島様」を集落の入り口に設置する風習があり、高いものでは4mにも及ぶ[41][42]。鹿島様となまはげは風貌は似ているが、なまはげ立像の設置に鹿島様のような宗教性があるとの言及は見られず、設置場所も集落の入り口とは限らない。

近年の立像では、赤と青の1対のなまはげが設置される傾向があるが、伝統を受け継いできた数十の集落でこのような赤と青の1対が定番なのかは不明である。

屋外に設置された主な立像[43][44][45]
所在地 位置 体長/全高 設置年
男鹿総合観光案内所 北緯39度53分34.9秒 東経139度57分24.4秒 15 m
12 m
2体 2007年
門前地区 北緯39度51分53.2秒 東経139度45分15.1秒 09.99 m 1体
男鹿温泉郷 北緯39度58分15.4秒 東経139度44分35秒 1体
JR男鹿駅 北緯39度53分6.2秒 東経139度50分54.6秒 2体 2012年
なまはげ大橋 北緯39度56分12.6秒 東経139度47分30秒 2体 1997年

注釈

  1. ^ 鬼が妖怪であるのに対し、なまはげは神の一種であるため、全く異なる存在である。

出典

  1. ^ a b c 【記者の目】ナマハゲ ユネスコ無形文化遺産/観光と伝統 両立モデルに/秋田支局 川口峡毎日新聞』朝刊2019年2月21日(2019年2月25日閲覧)。
  2. ^ 真山神社 特異神事(2019年3月16日閲覧)。
  3. ^ 小正月から節分の風習と神仏(Sai-Jiki 彩時記)
  4. ^ a b c d e 男鹿「なまはげ」担い手いねがぁ~ 実施町内会5割強に減(『河北新報』 2017年12月29日)
  5. ^ a b c なまはげ伝承に「黄信号」 少子高齢化で担い手不足(『日本経済新聞』2013年4月18日)
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  8. ^ 大湯卓二・嶋田忠一「秋田の鬼」『東北の鬼』岩手出版、1989年。 NCID BN04047704 
  9. ^ a b 小松和彦『妖怪文化入門』角川書店、2012年、150-152頁。ISBN 978-4-04-408303-8 
  10. ^ 稲 1985, p. 36.
  11. ^ 稲 1985, p. 42.
  12. ^ 稲 1985, p. 45.
  13. ^ 内藤俊史1987「こどもの内在的正義の観念としつけ態度との関係---農村地域におけるケーススタディ」『社会心理学研究』3(1):29-38
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  15. ^ 万造寺竜『旅の伝説玩具』旅行界発行所、1936年、75-77頁https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1441373/45 
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  35. ^ 「来訪神行事保存・振興全国協議会」の設立について (PDF) (文化庁)
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  50. ^ "若者引き留める「なまはげ太鼓」 秋田・男鹿温泉郷". 日本経済新聞. 26 October 2017. 2023年10月21日閲覧
  51. ^ なまはげ郷神楽
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  61. ^ ラインナップ |ARABAKI ROCK FEST.20
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