誘発地震
大規模な地震に誘発される形で発生する地震のこと。特に、震源域から離れた場所において、他の地震の影響を受け発生する地震。
大規模な地震は、震源域の岩盤を破壊して不安定にし、余震やその他の地震を発生させやすくする。余震が発生する地域は「余震域」と呼ばれ、余震域以外の地域で影響を受け発生する地震が一般的に「誘発地震」と呼ばれる。
なお、誘発地震も広い意味の余震と捉え、特に区別せずに扱う場合もある。
2011年3月に発生した東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)は、4月20日現在までに多数の余震が多発しているが、引き続き大規模な余震(最大余震)や、房総沖地震などの誘発地震が発生する可能性があり、警戒が呼びかけられている。
ゆうはつ‐じしん〔イウハツヂシン〕【誘発地震】
誘発地震
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/10/12 16:24 UTC 版)
誘発地震(ゆうはつじしん)は、巨大地震に誘発されてその震源域から離れた場所で発生する地震である。波及地震、広義の余震、あるいは連鎖地震とも呼称される。また、特に本震から遠方の地域で誘発された地震を遠方誘発地震と呼ぶ場合がある[1]。
注釈
- ^ 地震計が使用され始めたのは19世紀末から20世紀初頭であるため、ここではそれ以前の地震ということになる。
- ^ 青森県東方沖(三陸沖北部)で発生した地震。1968年の十勝沖地震や1994年の三陸はるか沖地震に近いものと推定される。
- ^ 宝永地震 (M 8.4-8.7) については4年前の1703年にM 8.1の元禄地震(関東地震)が発生している。宝永地震の震源域である南海トラフ及び駿河トラフと元禄大地震の震源域である相模トラフは隣接しており、これらの地震についても関連性が指摘されている。また、このような別のプレート境界付近における誘発が指摘される地震の例として他には、869年の貞観地震(震源域:日本海溝)とその9年後に発生した相模・武蔵地震(震源域:相模トラフ或いは伊勢原断層説もあり)、1498年の明応地震(震源域:南海トラフ)とその3年前に相模トラフで発生した可能性が指摘される巨大地震などがある。
- ^ 飛越地震の14日後に現在の長野県北西部(大町市)で発生した地震。この付近では、宝永地震の後(7年後の1714年)にもM6程度の誘発地震が発生している。
- ^ 震源域は1945年三河地震と似ている[22]。
- ^ 震源の深さは約79km、東北地方太平洋沖地震とは別のプレート境界付近で発生した。なお、茨城県南部ではこれより前の3月24日に深さ約52km地点で Mj 4.8 の地震、4月2日に深さ約54km地点で Mj 5.0 の地震が発生しているが、双方とも今回の地震とは震源域が異なっている[24]。
出典
- ^ 2020/03/15 12:14:13発表 (Ver.3 最終報 )国立研究開発法人防災科学技術研究所
- ^ 日本列島陸域における誘発地震活動について(名古屋大学大学院環境学研究科〈archive.isによる2012年9月13日時点のアーカイブ〉)
- ^ 古地震学からみた陸上活断層による連動型地震 (PDF) (産業技術総合研究所)
- ^ a b 連続する地震 東の活断層や南海トラフへの影響は(朝日新聞デジタル 2016年4月16日)
- ^ a b 熊本地震「連鎖」に3つの可能性 前震で地下の力変化 2断層帯、実は一体 ひずみ蓄積し余震誘発(日本経済新聞 2016年5月2日)
- ^ 地球:地震が遠くの微小地震を誘発する仕組み(Nature ハイライト / Nature 437, 7060 / 2005年10月6日)
- ^ 共役断層はアメリカにも(「大陸は何故あるの?」 2015年12月1日)
- ^ a b 東日本大震災:本震直後に箱根で誘発地震4回、揺れ増幅し強羅は震度6弱、温地研が地震波解析/神奈川(神奈川新聞〈カナロコ〉 2011年7月18日)
- ^ 淡路島地震:「南海トラフ」との関連指摘も(毎日新聞 2013年4月13日、2013年4月15日閲覧)
- ^ 淡路島地震、未知の断層が起こす…政府調査委(読売新聞 2013年4月14日、2013年4月15日閲覧)
- ^ 阪神淡路大震災との関連「現時点で何ともいえない」「1週間、震度5の余震警戒を」 気象庁会見(産経ニュース 2013年4月13日、2013年4月15日閲覧)
- ^ a b 東北地方太平洋沖地震による地震のダイナミックトリガリング(動的誘発作用)(京都大学防災研究所 宮澤理稔)
- ^ 静岡の震度6強は誘発か 富士山噴火の懸念も… 暴れる巨大エネルギー(産経ニュース 2011年3月16日)
- ^ 懸念される誘発地震 評価見直し 「滑り残し」警戒(産経ニュース 2011年11月22日)
- ^ 松田時彦, 太田陽子, 安藤雅孝, 米倉伸之, 「元祿関東地震 (1703年) の地学的研究, 関東地方の地震と地殻変動』『ラティス』 1974, p.15-192, NAID 10003542820
- ^ 松田時彦, 「活断層から発生する地震の規模と周期について」『地震 第2輯』 28巻 3号 1975年 p.269-283, doi:10.4294/zisin1948.28.3_269
- ^ 木村昌三, 岡野健之助, 「1946年南海地震直前の南海地域における地震活動の低下」『地震 第2輯』 48巻 2号 1995-1996年 p.213-221, doi:10.4294/zisin1948.48.2_213
- ^ 石橋克彦, 「2016年熊本地震は異例ではない : 大局的に活動の意味を考える (PDF) 」『科学』 86巻 6号, p.532-540, 2016-06, 岩波書店, NAID 40020863485
- ^ 横山泉, 「5.大地震によって誘発された噴火」『北海道大学地球物理学研究報告』 25巻 1971年 p.129-139
- ^ 過去に起きた大きな地震の余震と誘発地震(東京大学地震研究所〈archive.isによる2012年7月12日時点のアーカイブ〉)
- ^ 阪神大震災、原因は400年前の慶長伏見地震? 京大教授が新説(朝日新聞 2008年11月22日)
- ^ 【温故地震】都司嘉宣 昭和東南海地震(1944年) 愛知と北陸に直下型誘発(産経ニュース 2012年11月19日、元リンクの2013年1月3日時点のarchive.todayキャッシュ)
- ^ 茨城震度5強「余震とみていない」気象庁 震源は茨城南部と訂正(産経ニュース 2011年4月16日)
- ^ 2011年4月の茨城県南部の地震活動(地震調査研究推進本部〈地震本部〉)
- ^ 熊本地震、次々誘発か 大分へ震源移動、専門家の見解は(朝日新聞デジタル 2016年4月17日)
- ^ 「余震と誘発地震について」概要(京大防) (PDF) (地震予知連絡会 会報第86巻)
誘発地震
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/03 06:15 UTC 版)
2012年4月26日の朝日新聞の報道によればアメリカ地質調査所(USGS)は米国中部でM3以上の地震の年間の回数が10年前に比較し約6倍になっているとしている。また2011年にはコロラド州とオクラホマ州でM5の観測史上の最大級の地震も記録された。メンフィス大学(英語版)地震研究情報センターの研究者は採掘後に戻し注入された水によって断層が滑り易くなっていると考えている。2016年3月にはやはりUSGSにより、オクラホマ州で人為的要因による誘発地震の危険度が高まっていると発表された。 また、2019年2月24日から25日にかけて、中国四川省栄県でM4レベルの地震が相次いで発生し、2人が死亡したことに対し、地元住民の間でシェールガスの採掘による誘発地震の説が広がり、一部の住民らは県政府庁舎に押し寄せ、シェールガスの採掘停止を求めた。のち、政府側は採掘を当面中止すると宣言した。
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誘発地震
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/18 00:41 UTC 版)
本震は安政東海地震の影響を受け、その震源域及び余震域から離れた地域で発生した誘発地震と考えられている。
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誘発地震
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/22 07:55 UTC 版)
本震に影響を受け、震源域および余震域から離れた地域でも規模の大きな誘発地震が発生している。 2か月半後の1896年(明治29年)8月31日:岩手県と秋田県の県境付近で陸羽地震 (M7.2) が発生。 8か月後の1897年(明治30年)2月20日:宮城県沖地震 (M7.4) が発生。 1年1か月半後の1897年(明治30年)8月5日:三陸沖の地震 (M7.7) が発生。 1年10か月後の1898年(明治31年)4月23日:宮城県沖の地震 (M7.2) が発生。 37年後の1933年(昭和8年)3月3日の昭和三陸地震 (M8.1) は、この地震のアウターライズ地震と推定されている。
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誘発地震
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/08 09:08 UTC 版)
下記の群発地震が誘発されたと考える研究者もいる。 秋田県鹿角郡宮川村群発地震 :1933年3月26日から鳴動を伴う地震があり、1週間以上続いた。 岩手県二戸郡一戸町奥中山群発地震 :1933年8月から9月。 秋田県鹿角郡花輪・尾去沢群発地震 :1936年の8月頃から地鳴が続き、11月中旬から地震動を感じる様になり、11月20日には尾去沢鉱山のダムが損壊し下流の尾去沢町のほとんど全部を押し流し、死傷者数100名。 宮城県刈田郡七ケ宿村群発地震 :1935年6月18日より蔵王山の近くで鳴動がはじまり、26日午後9時30分頃及び40分に局所的な地震が発生し、鳴動は7月1日頃まで続いた。 また、本震の前後の期間は深発地震の活動が活発であったと報告されている。
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誘発地震
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5日後の5月13日(旧暦3月29日)新潟県高田市付近(高田平野東縁断層)を震源とする M6.5 の地震が発生し、死者20名以上が記録として残っている。
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誘発地震
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約2か月半前の6月15日に発生した明治三陸地震の影響を受け、その震源域および余震域から離れた地域で発生した誘発地震と考えられている。また、1891年の濃尾地震との関連性を指摘する研究がある。
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誘発地震
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 22:56 UTC 版)
本震に影響を受け、震源域及び余震域から離れた地域でも規模の大きな誘発地震が発生している。 1944年12月19日 満州国(当時)と朝鮮(当時)の国境付近、西朝鮮湾近傍で M6.8の地震。 東南海地震の47日後の1945年1月13日 愛知県蒲郡市付近を震源とする三河地震 (M6.8)。 1946年12月21日 の昭和南海地震、Mw8.1-8.4、深さ24km。同じ潮岬沖で発生した南海トラフのプレート境界型地震は、東南海地震とは逆の西に進行した。死者1330人。串本では地震後約10分で津波が到達し、また最高潮位6.57mであった。 1948年4月18日 1時11分 和歌山県南方沖で M7.0。昭和南海地震と本震(昭和東南海地震)での割れ残った領域での地震。 6月28日 福井県嶺北地方を震源とする福井地震 (M7.1)。
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誘発地震
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/25 19:57 UTC 版)
人工震源と異なり、人為的な原因によって引き起こされる自然地震(誘発地震)のことを、同じく「人工地震」と呼称する場合がある。 詳細は「地震#その他」を参照 この誘発地震はしばしば陰謀論に関連付けられ、核実験や二酸化炭素貯留あるいは特定の研究機関が関与しているといった誤情報が拡散されることがある。 詳細は「陰謀論の一覧#人工地震に関する陰謀説」を参照
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