最適化問題とは? わかりやすく解説

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さいてきか‐もんだい〔サイテキクワ‐〕【最適化問題】

読み方:さいてきかもんだい

ある系の状態を表す関数の値最小(または最大)になるよう決定する問題最適化すべき目的関数設定し、ある制約条件の下で変数の値を定める。また、生産計画輸送計画在庫管理など、実社会における最適化問題を対象とする数学的方法は、数理計画法よばれる


最適化問題

読み方さいてきかもんだい
【英】:optimization problem

概要

与えられ制約条件の下で目的最適に達成するための数理モデル」で数理計画問題(mathematical programming problem)ともいう. 数学的には,


\mbox{max.} \, f(x) ( \,あるいは, \mbox{min.} \quad f(x) ) \,
\mbox{s.t.}\, x = (x_1,x_2,\ldots,x_n) \in F,
\,


表現される. ここで, F \,n \, 次元ベクトル空間 \mathbf{R}^n \,部分集合(実行可能集合)で, f \,\mathbf{R}^n \,定義され実数値関数(目的関数).


詳説

 最適化問題optimization problem)(数理計画問題)は, 「与えられ制約条件の下でより良い目的達成するための数理モデル」で, 数学的には,


\mbox{max.} \quad f(x) \mbox{(}あるいは, \mbox{min.}\quad f(x))
\mbox{s.t.} \quad\quad x=(x_1,x_2,\ldots,x_n) \in F,


のように表現される. ここで, F\, n\, 次元ベクトル空間 \mathbf {R}^n部分集合実行可能集合feasible region)(許容集合)と呼ばれ,f\, \mathbf {R}^n定義され実数値関数目的関数objective function)と呼ばれる. また, x \in F実行可能解許容解), 実行可能解の中で目的関数最大(あるいは, 最小)を達成するx\, 最適解optimal solution)と呼ぶ. 実行可能集合 F\, は,


F = \{ x \in S : g_i(x) \leq 0 \ (i=1,2,\ldots,m) \}


のように表現されることが多い. ただし, g_i\, \mathbf {R}^n定義され実数値関数である. また, S\, 対象とする最適化問題を記述するのに用いられる基礎となる空間考えればよい. 基礎となる空間 S\, , 実行可能領域 F\, 表現するのに使われる関数 g_i (i=1,2,\ldots,m), および, 目的関数 f\, 種々の条件課した多くクラスの最適化問題が研究されている. 最適化問題は,



仮定され, 変数ベクトル x\, 連続的な値をとる連続最適化問題continuous optimization problem)と,



仮定され, 変数ベクトル x\, 離散的な値をとる離散最適化問題discrete optimization problem)に, 大きく分けることができる. 関数 f, \ g_i (i=1,2,\ldots,m)連続性(あるいは, 微分可能性)のみを仮定する線形離散最適化問題クラス考えることができるが, そのような問題は非常に難しく, 関数 f, \ g_i (i=1,2,\ldots,m)線形(あるいは, 高々2次関数である場合限定することが多い. このように限定したとしても, 離散最適化問題には広範な応用がある. 個々の最適化問題は, それが定式化された元の(現実問題と結びつけた名前で呼ばれることも多い. たとえば, 最小費用フロー問題, 最大フロー問題, 巡回セールスマン問題, グラフ分割問題等である. また, 上記の最適化問題に関する分類は厳密ではなく, 連続最適化離散最適化両方特徴共有する問題(たとえば, 施設配置問題, 線形混合整数計画問題)や, それらからはみ出た最適化問題も存在する.



参考文献

[1] 福島雅夫, 『数理計画法入門』, 朝倉書店, 1996.


最適化問題

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/13 15:16 UTC 版)

最適化問題(さいてきかもんだい、: optimization problem)とは、特定の集合上で定義された実数関数または整数値関数についてその値が最小(もしくは最大)となる状態を解析する問題である[1]。こうした問題は総称して数理計画問題(すうりけいかくもんだい、: mathematical programming problem, mathematical program)、数理計画とも呼ばれる[1]。最適化問題は、自然科学工学社会科学などの多種多様な分野で発生する基本的な問題の一つであり、その歴史は18世紀の変分問題に遡る[2]。1940年代に線型計画法が登場して以来、理論的な研究や数値解法の研究が非常に活発に行われ、その応用範囲はいろいろな分野に拡大されていった[1]。実世界の現象の数理的な解析に関わる問題や抽象的な理論の多くをこの最適化問題という一般的なくくりに入れることができる。物理学コンピュータビジョンにおける最適化問題は、考えている関数をモデル化されたエネルギーを表すものと見なすことによって、エネルギー最小化問題と呼ばれることもある。





最適化問題

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/30 23:37 UTC 版)

数値解析」の記事における「最適化問題」の解説

詳細は「最適化問題」を参照 最適化問題は、与えられ関数最大(または最小)となる点を求め問題である。解には条件として何らかの制約課すことがよくある。 最適化問題はさらに、関数制約形式によっていくつかに分類される例えば、線形計画問題関数制約条件の式が共に線型である場合を扱う。線形計画問題解法としては、シンプレックス法内点法などが挙げられる制約条件付きの最適化問題を制約条件のない問題の形に変換するためにラグランジュの未定乗数法用いられる

※この「最適化問題」の解説は、「数値解析」の解説の一部です。
「最適化問題」を含む「数値解析」の記事については、「数値解析」の概要を参照ください。


最適化問題

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/28 07:52 UTC 版)

数理最適化」の記事における「最適化問題」の解説

詳細は「最適化問題」を参照 最適化問題は、次のように表現される与えられるもの:ある集合 A から実数への函数 f : A → {\displaystyle \to } R 目的:A 内のすべての x に対して f(x0) ≤ f(x)満たす A 内の元 x0(最小化)あるいは f(x0) ≥ f(x)満たす A 内の元 x0(最大化)を見つけること。 このような問題は最適化問題あるいは数理計画問題コンピュータプログラミングとは直接的に関係ないが、例え線型計画法では用いられる)と呼ばれる多く実世界での問題理論的問題は、一般的な枠組みモデル化される。物理学コンピュータビジョン分野における、この手法による問題は、エネルギー最小化energy minimization)と呼ばれることもある。この場合函数 f の値はモデル化されるシステムエネルギーを表す。 典型的に A はユークリッド空間 Rn部分集合であり、しばしばある制約英語版)の集合によって特徴づけられ、A の元は求められる等式あるいは不等式満たす必要がある。f の定義域 A は探索空間search space)あるいは選択集合(choice set)と呼ばれ、A の元は可能解(candidate solution, feasible solution)と呼ばれる函数 f は、目的函数objective function)や損失函数loss function)、費用函数cost function)、効用函数utility function)、適合函数fitness function)、エネルギー函数energy function)あるいはエネルギー汎函数energy functional)と呼ばれる目的函数最小化(あるいは最大化)する可能解は、最適解呼ばれる数学において慣習的な最適化問題は、通常最小化に関するのである一般に最小化問題において目的函数と可能領域両方とも凸でない限りいくつかの局所最小解が存在しうる。ここで局所最小解 x* は、ある定数 δ > 0 が存在して、 ‖ x − x ∗ ‖ ≤ δ ; {\displaystyle \|\mathbf {x} -\mathbf {x} ^{*}\|\leq \delta ;\,} を満たすすべての x に対して次が成立するもののことをいう。 f ( x ∗ ) ≤ f ( x ) . {\displaystyle f(\mathbf {x} ^{*})\leq f(\mathbf {x} ).} すなわち、x* のまわりのある領域における函数すべての値は、その点での値よりも大きいか等しくなる局所最大解も同様に定義される

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最適化問題

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/26 14:13 UTC 版)

逐次最小問題最適化法」の記事における「最適化問題」の解説

詳細は「サポートベクターマシン」を参照 データセット (x1, y1), ..., (xn, yn) に関する二項分類問題考える。ここで xi入力ベクトルyi ∈ {-1, +1} はそれに対応する2値ラベルである。ソフトマージンサポートベクターマシンは以下の双対問題表される2次計画問題を解くことによって訓練される: max α ∑ i = 1 n α i − 1 2 ∑ i = 1 n ∑ j = 1 n y i y j K ( x i , x j ) α i α j , {\displaystyle \max _{\alpha }\sum _{i=1}^{n}\alpha _{i}-{\frac {1}{2}}\sum _{i=1}^{n}\sum _{j=1}^{n}y_{i}y_{j}K(x_{i},x_{j})\alpha _{i}\alpha _{j},} ただし 0 ≤ α i ≤ C ,  for  i = 1 , 2 , … , n , {\displaystyle 0\leq \alpha _{i}\leq C,\quad {\mbox{ for }}i=1,2,\ldots ,n,} ∑ i = 1 n y i α i = 0 {\displaystyle \sum _{i=1}^{n}y_{i}\alpha _{i}=0} ここで C は SVM hyperparameter、K(xi, xj) はカーネル関数英語版)で、どちらもユーザ与える。変数 α i {\displaystyle \alpha _{i}} はラグランジュ乗数である。

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