三箇院家抄とは? わかりやすく解説

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三箇院家抄

主名称: 三箇院家抄
指定番号 190
枝番 00
指定年月日 2004.06.08(平成16.06.08)
国宝重文区分 重要文化財
部門種別 古文書
ト書
員数 4冊
時代区分 室町
年代
検索年代
解説文:  『三箇院家抄』は南都興福寺大乗院門跡もんぜき】を構成する大乗院龍華樹りゅうげじゅ】院、禅定ぜんじょう】院の三院家などの法務および所領に関する台帳である。主要部分は、応仁二年(一四六八)ころに成立しその後書き込み書き継ぎが行われて現在のとなったものであり、大乗院第二代門尋尊じんそん】(一四三〇一五〇八)の筆になる。尋尊は『大乗院寺社雑事記』の記主としても著名である。
 本書明治初年大乗院門跡廃仏毀釈によって廃絶した際、同門跡の文書記録類の多く明治政府購入され内閣文庫架蔵になった大乗院文書の一部である。体裁袋綴冊子本、原表紙存し外題を「三箇院家抄第『幾』」と中央墨書し、左下に「大乗院」とある。料紙には書状などの紙背利用されている。本文は半八ないし九行に書かれている
 第一冊は、外題右肩に『院家相承雑事』と朱書する。まず「一、三ケ院家相承次第并 山長谷寺内山等事」以下「一、田舎坊人等給」までの標目掲げている。次いで三箇院家相傳次第」として三箇三家とこれに準ずる法乗院伝教院、喜多院二階堂に関する各々堂塔聖教等、所領庄園本願歴代院主相承次第などを記している。次に雑務年中調進」「京上人夫傳馬下司召馬事」をはじめとする公事夫役編成などを詳掲する。その後、「諸給分事」「別給輩非衆分」「坊官侍等給分」「出世給分」などとして上下北面、院仕、童子力者坊官奉行商人名主、坊人ら大乗院門跡人的構成とその給分給田などを詳細に列挙する。なお、力者には馬飼牛飼含まれ、また塗師経師職人諸々の座が確認できる
 第二冊は、外題右肩に『諸庄薗等』と朱書する。「目六」として楊本庄から森屋庄に至る大和国六五か庄、続いて藤井両庄から荒蒔に至る国中一一四か庄(以下、追加あり)、さらに伊賀国大内東庄から近江国伊庭庄に至る国外三二か庄(追加あり)の庄園目録掲げる。各庄名の右肩領主、双行にて田数と所在地とを記し、また朱書にて目録番号付す巻頭目録にそいながら庄による精粗の差はあるものの、古今田地帳などを庄別に集成して記している。たとえば、楊本庄大乗院にとって大和国最大庄園で、つねに中心所領十二ケ所等所領」の筆頭あげられており、添上郡神殿とともに雑務職方料所とされていた。
 第三冊は、外題右肩に『〓山方正願院』と朱書する。標目がなく、はじめに「正願院御塔御堂御佛事帳」と記し、以下において年中仏事用途などに関する具体的な記述中心になる。次いで院領の当知行分の庄園実状などを記している。現状の裏表紙見返には「正願院勤行并院領引付」(中央)、「寛正二年八月 日」(右)、「大乗院」(左下)とあり、本巻内容一致することから、元表であった可能性が高い。元・原表紙ともに本文料紙よりも厚手堅い料紙用いられていることは、中世冊子記録体裁をよく伝えている。
 第四冊は、外題右肩に『諸供諸納所』と朱書する。原表紙次に横田本庄田代坪付注文」(中央)、「寛正年三月 日」(右)、「大乗院」(左下)と元表紙がある。見返後鳥羽院によって寄進され北円堂領として横田本・新庄、古木本・新庄以下を掲げる。中扉には「東御塔供田補任」(中央)、「大乗院」(左下)とあり、諸供の補任などを付載している。文明明応期の追筆多くみられ、随時内容補正図っていることがうかがえることは、応仁の乱以降所領支配維持腐心する大乗院門跡の姿を彷彿させるものがある。
 尋尊応仁の乱が一応の終結をみた直後文明九年十二月十日(『大乗院寺社雑事記同日条)に、庄園領主立場から、将軍下知従わず年貢上納しなくなった国々列挙して嘆き文章綴っているが、本書庄園領主自らが庄園支配寺院運営苦慮する実情具体的な数字示している稀有史料であるといえる
 『三箇院家抄』は中世における大乗院門跡人的構成示し、かつ門跡領庄園土地台帳として庄園関係史料集大成されたものであり、寺院経済史庄園研究上にきわめて貴重な史料である。



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