スイッチングハブとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > デジタル大辞泉 > スイッチングハブの意味・解説 

スイッチング‐ハブ【switching hub】

読み方:すいっちんぐはぶ

コンピューターネットワークハブ一種送信するべきデータ宛先解析し、その宛先にのみデータ送信するネットワーク全体負荷軽減されるという利点がある。


スイッチングハブ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/08/08 17:15 UTC 版)

スイッチングハブ(5ポート)
スイッチングハブ(50ポート)

ネットワークスイッチ(英:Switching Hub)、またはスイッチングハブブリッジングハブIEEEではMACブリッジとは、コンピュータネットワーク上の機器をパケットスイッチングによって接続し、データを受信して目的の機器に転送するネットワークハードウェアである。

ネットワークスイッチは、OSIモデルデータリンク層(レイヤー2)でMACアドレスを使用してデータを転送するマルチポートネットワークブリッジである。スイッチの中には、ルーティング機能を追加することで、ネットワーク層(レイヤー3)でもデータを転送できるものがある。このようなスイッチは、一般にレイヤー3スイッチまたはマルチレイヤースイッチと呼ばれる。

イーサネット用のスイッチは、ネットワークスイッチの中で最も一般的である。その他には、ファイバーチャネルATMInfiniBandなどのスイッチが存在する。

全てのポートから同じデータをブロードキャストするリピーターハブとは異なり、ネットワークスイッチは、接続されているデバイスの識別情報を学習し、目標のデバイスが接続されているポートにのみデータを転送する。このような機能をフォワーディングといい、不必要な通信を抑止することでネットワークの輻輳を防ぐ。

概要

スイッチングハブ(28ポート)

スイッチとは、コンピュータネットワークにおいて、他の機器を接続する装置のこと。複数の機器に接続された通信ケーブルをスイッチに集めることで、ネットワーク上の異なる機器間の通信を可能にする。

リピータハブは、スイッチとは異なり、接続されている機器を区別できないため、受信したパケットを、受信ポート以外のすべてのポートから再送するため、ネットワークの効率を低下させるが、スイッチは、受信したパケットを、そのパケットの宛先にのみ送信することで、不必要な通信を抑止することができる。スイッチに接続された各ネットワーク機器は、ネットワークアドレスによって識別されている。その識別情報を基に、スイッチがトラフィックの流れを制御することで、ネットワークのセキュリティと効率を向上させることができる。

スイッチを使って衝突ドメインを分割することで、衝突の確率を減らし、ネットワーク全体のスループットを向上させることを、セグメント化という。

イーサネットスイッチは、OSIモデルのデータリンク層(レイヤー2)で動作し、ポートごとに独立した衝突ドメインを形成する。すなわち、各ポートに接続されている機器は、いつでも他のポートにデータを転送することができ、転送が干渉することはない。コンピュータはネットワークに直結され、専用の帯域を確保することができ、また全二重モードで動作することができる。全二重モードでは、コリジョンドメインごとにトランスミッターとレシーバーが1つずつしかないため、衝突が起こらない。

スイッチは、ネットワーク層以上を含むOSIモデルの上位層でも動作することがある。このように上位層でも動作する装置をマルチレイヤスイッチと呼ぶ。

ネットワークスイッチは、多くのローカルエリアネットワーク(LAN)において重要な役割を果たしている。LANスイッチは、複数のハードワェアを相互接続してLANグループを形成するために使用される、パケットを蓄積して転送する装置である[1]。中規模から大規模のLANでは、複数のマネージドスイッチ[注釈 1]が使用される。小規模スモールオフィス/ホームオフィス(SOHO)では、ブロードバンドサービスに接続するためのホームゲートウェイが使用されることが多い。ホームゲートウェイには、多くの場合、ルーター、スイッチ、無線LANアクセスポイントメディアコンバーターVoIP(Voice over IP、IP電話)用インターフェースなどの機能が備わっている。

第一世代

ブリッジの製品コストの中で、大きな比重を占めるのが、スイッチング用のLSIで、当初のブリッジ製品は、1ポート毎にスイッチング用のLSIを必要としたため、ポートが1個増えるごとに、LSIの追加コストや、基板設計のやり直しが必要になった。

また、当初のブリッジ製品は、1ポート毎に異なるMACアドレスを持っており、このための管理コストも無視できないため、4ポート以上の多ポートブリッジの製品化は難しいとされていた。

そのような背景の中で、1990年にアメリカのカルパナ社が7ポートを持ちカットスル―方式を取り入れた「EtherSwitch」を発売し[2]、1995年前後からは最低8ポート、最高で16ポートを装備するマルチポートブリッジが各社から発売された。この頃から、「スイッチングハブ」の名称が使われるようになったが、実体はあくまでもマルチポートブリッジであった。[要出典]

当時は、収容される端末数の増加も目を見張るものがあり、ネットワーク(分割)機器としてのルーターが着実に売上を伸ばしていたものの高価であるため大量導入は難しく、リピーター増設ではコリジョンが多くなったため実用に耐えられないネットワークとなり、企業内のネットワークが構築困難になって来ていた。また、ブリッジはすでに第一線の製品としての地位を失っていた。このような中で、安価にコリジョンドメイン(コリジョンドメインを超えてコリジョン(衝突)したフレームを転送しない)を分割ができるスイッチングハブの登場は、大いに歓迎された。

当時のスイッチングハブの能力はあまり高くなかったが、以下のような機能を実装することで、ブリッジとは一線を画する製品も登場した。

転送モードの選択
カットアンドスルー
入力バッファに入ったフレームの宛先MACのみ読んで、出力ポートを判別し、出力側のバッファに転送する方式。最も高速に転送できるが、複数回の転送を繰り返すとフレームの破損も起きやすくなり通信品質は低下する。
ストアアンドフォワード
入力バッファに入ったフレームを転送バッファに取り込む方式。このときに、データ部の破損したフレームを破棄し、通信品質の向上に貢献する。機器が高価になり、転送速度も落ちる。第二世代のスイッチングハブでは、より信頼性の高い、こちらの方式がデフォルト設定となる。
フラグメントフリー
入力バッファに入ったフレームのヘッダのCRC情報を読んで、簡単なチェックを行ってから出力側のバッファに転送する方式。ある程度通信品質の向上に貢献し、転送速度も速い。第一世代は、コストとパフォーマンスのバランスから、こちらの方式が主流となる。
ブロードキャストコントロール
ブロードキャストフレームの転送を制限する。(ブロードキャストストーム対策)

第二世代

大野式連続鋳造法による無酸素銅線 (PCOCC) が通信ケーブル用の銅線製造方式に広く採用されるようになると、既存の無酸素銅線 (OFC) の品質向上・価格低下をまねき、ツイストペアケーブル (Category5 UTP) の品質が大幅に向上し、[独自研究?]イーサネットの100BASE-TX環境への移行に拍車をかける事になった。

1チップで8ポートを制御するBGAによる基板実装のLSIが開発され、1Uサイズで48ポートを有する製品も登場した。

2003年頃から、LSIがさらに高速・低発熱になったことで、ファンレス化された製品が普及し始めた。また、全ポート・ギガビットイーサ対応のものも多くなった。

低価格化が進み、家庭用としても利用されるようになった。企業では、SNMPVLANSTPなどに対応した高機能なスイッチが普及した。

第三世代

2005年中旬以降の製品は、第三世代である。[要出典]この頃からのスイッチングハブは、Layer3スイッチのサブセットのような構成になる。すなわち、ハードの造りはほぼ、Layer3スイッチでありながら、Layer2処理に特化されるスタイルベースを採ることで、Layer3商品群とのパーツの共通化によりさらなるコストダウンを狙い、加えてソフトウェアによる商品クラスの差別化を行っているのが特徴である。第二世代の機能に加え、パケットフィルタリングを始め、クラスタ構成が組めるモデルなど、ソフトウェアベースでLayer3処理を組み込んでいる。これにより、スイッチングハブ製品の中にLayer2チップはほとんど見られなくなった。2007年になると、コンシューマー製品さえ、5ポート/8ポート対応のLayer3チップが組み込まれるようになった。

ホワイトボックススイッチ

スイッチングハブ(=スイッチ)は送信される多量のフレームを高速に処理するためにASICによる専用チップが用いられることが普通であり、この専用チップと連想メモリ(Content Addressable Memory、CAM)が組み合わされ、それらのハードウェアを制御するソフトウェアもスイッチメーカー独自のOSとなることが一般的となっていた。しかし、ハードウェアとソフトウェア(OS)の両方がメーカー独自の特殊なものであるために、異なるメーカー製品を接続して使用する場合に、標準プロトコルでは問題が生じなくとも特殊なプロトコルではメーカー間の解釈の違いや独自の拡張仕様などから、相互接続で問題が生じるケースがあった。また、多くのスイッチはその設定を文字ベース(CLI)で入力するようになっており、メーカーごとでその仕様がバラバラなために、設定時のコマンドの自動化などを進める上で障害となる事が多かった。

こういった不便を改善するために、スイッチのハードウェアとOSを最初から分離して、必要な性能・機能のハードウェアの上に適切なOSを別々に選び組み合わせて用いることが始まった。このような物が「ホワイトボックススイッチ」と呼ばれるスイッチ製品である。

2017年現在、ホワイトボックススイッチのハードウェアは主に台湾メーカーを中心に提供されており、OSは従来のスイッチメーカーに加えて、Microsoft社Facebook社、それに新規のホワイトボックススイッチ用OSメーカーから提供されている。

ホワイトボックススイッチ用OSは大半がLinuxベースであり、Debian系が多数を占める。Linuxベースであることから、Linux用ソフトウェアの多くがこのスイッチ上で動作可能である。この事から、ホワイトボックススイッチ用OSのインストールを自動化するOpen Network Install Environment英語版や、ネットワーク機器の初期設定を自動化するゼロタッチプロビジョニング (ZTP)、他にもAnsibleChefといったプロビジョニングツールを使うなど、障害時対応も含めて、サーバと同様の機能を付加することが可能になっている。また、仮にホワイトボックススイッチ用OSが異なっても、同じソフトウェアを走らせる事で、OSの違いを意識せずに使用できる環境の構築が可能になっている。また、ハードウェアメーカーの多くからはユーザー向けにASIC制御用APISDKが提供されている事から、高い技能を備えて手間を惜しまなければホワイトボックススイッチ用ハードウェア上で動作する特殊なプロトコル用のパケット転送ソフトウェアを作って実装することも可能である[3]

脚注

注釈

  1. ^ 複雑な設定が可能なスイッチ

出典

  1. ^ Stallings, William (2016). Foundations of modern networking : SDN, NFV, QoE, IoT, and Cloud. Florence Agboma, Sofiene Jelassi. Indianapolis, Indiana. ISBN 978-0-13-417547-8. OCLC 927715441. https://www.worldcat.org/oclc/927715441 
  2. ^ Network World 1995年2月13日 "Getting turned in to Ethernet switches"
  3. ^ 伊東宏起、井上喬視「ホワイトボックススイッチって何?」Software Design 2017年11月号

関連項目


スイッチングハブ(レイヤー2スイッチ、LANスイッチ、スイッチ、ハブとも)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/25 14:54 UTC 版)

イーサネット」の記事における「スイッチングハブ(レイヤー2スイッチLANスイッチスイッチハブとも)」の解説

データリンク層サポートする機器ブリッジを多ポート化したもの、またはリピータハブブリッジ機能持たせたもの。複数端末接続しイーサネットフレームMACアドレス基づいて中継する。最も代表的なイーサネットネットワーク機器

※この「スイッチングハブ(レイヤー2スイッチ、LANスイッチ、スイッチ、ハブとも)」の解説は、「イーサネット」の解説の一部です。
「スイッチングハブ(レイヤー2スイッチ、LANスイッチ、スイッチ、ハブとも)」を含む「イーサネット」の記事については、「イーサネット」の概要を参照ください。


スイッチング・ハブ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/02 06:57 UTC 版)

ハブ (ネットワーク機器)」の記事における「スイッチング・ハブ」の解説

ハブ短所を補うために、MACアドレス解釈し適切なあて先のみにデータ送信する機能をもつブリッジ通常はその機能を持つハブ、スイッチング・ハブを利用する。スイッチング・ハブ同士カスケード接続理論上無制限となるが、最大でも7段程度理想的とされている。 スイッチング・ハブは「L2スイッチ」や「レイヤー2スイッチング・ハブ」、「LANスイッチ」とも呼ばれる場合多く従来の名称である「スイッチング・ハブ」とだけ呼ばれる場合少なくなってきている。また、SNMP対応していないスイッチング・ハブは「ノンインテリジェント・L2スイッチ」、SNMP対応しているスイッチング・ハブは「インテリジェント・スイッチ」や「インテリジェントL2スイッチング・ハブ」と呼ばれることが多い。 スイッチング・ハブの発売当初は非常に高価であったが、現在ではリピータ・ハブよりも有用安価に手に入ることからリピータ・ハブからの乗り換え進みリピータ・ハブ利用される場面少なくなっている。現在でも、リピータ・ハブをパケットキャプチャ等を目的としてネットワーク状態管理使用することがある。「ポートミラーリング機能つきのスイッチング・ハブ」も同様の用途使用できるが、パケット内容エラーがあればキャプチャできないので、単純に分配するだけの「リピータ・ハブ」の方が確実である。

※この「スイッチング・ハブ」の解説は、「ハブ (ネットワーク機器)」の解説の一部です。
「スイッチング・ハブ」を含む「ハブ (ネットワーク機器)」の記事については、「ハブ (ネットワーク機器)」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「スイッチングハブ」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「スイッチングハブ」の関連用語

スイッチングハブのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



スイッチングハブのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
IT用語辞典バイナリIT用語辞典バイナリ
Copyright © 2005-2024 Weblio 辞書 IT用語辞典バイナリさくいん。 この記事は、IT用語辞典バイナリスイッチングハブの記事を利用しております。
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのスイッチングハブ (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaのイーサネット (改訂履歴)、ハブ (ネットワーク機器) (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS