アナクロニズムとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > デジタル大辞泉 > アナクロニズムの意味・解説 

アナクロニズム【anachronism】

読み方:あなくろにずむ

その時代の傾向食い違っていたり時代遅れであったりすること。時代錯誤

「アナクロニズム」に似た言葉

時代錯誤

(アナクロニズム から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/09/03 06:39 UTC 版)

時代錯誤(じだいさくご、: anachronism アナクロニズム[1])とは、時勢、つまりその時代の傾向に合わないこと。特に、時代に遅れた古い考えや行動についていう[2]。「アナクロ」とも[1]

概説

時代錯誤とは、時代の異なるものを他の時代のものと混同してしまうこと。または、気づいていても心理的にそれを受け入れられなかったり、既に過去のものとなったやり方などに固執するなど、時代の流れに逆行していること。

なお時代錯誤の「錯誤」とは、認識と事実とが一致していない状態のことである[2]

コトバンクが掲載している『四字熟語を知る辞典』では次のような文章が例文として挙げてある[3]

王という存在が、そもそも時代錯誤なんだね。伝統というより無知からくる単なる習俗が、権力らしいものを保たせているだけだ(出典 : 北杜夫『さびしい王様』1969年)

また、例文中に言及される王制については、英語圏でも時代錯誤だとしばしばと指摘されている[4]

英語のanachronismeは、主たる意味は日本語の「時代錯誤」と同等であるが、逆向きの意味、つまり遠い過去のものごとを分析する時に、間違えて現代のものごとを持ち込んでしまうような失敗も指している[5]歴史学では「アナクロニズム」は、遠い昔の社会や出来事を分析する時に、近年登場したものを当時普遍的なものであるかのように誤り、それを土台に分析したり論じたりしてしまう分析法のことである。それは、当時存在していなかったものを基準にしているわけであり、「存在しないものを基準に判断する」ということは、過去の時代のことを分析する場合でも(現代のことを分析する場合と同様に)誤ったことである。

フィクション

時代劇での時代錯誤(アナクロ)として、時代劇の劇中に現代の文物を間違えて登場させるという行為がある。

現代劇での時代錯誤(アナクロ)として、たとえば近年の社会問題を描くドラマにおいて、現代社会についての認識が古い脚本家が担当することとなり、その脚本家がすでに消滅した昔の社会制度や人間関係などをもとに、社会制度や人間関係の描写を脚本中でしてしまうことや、それがそのままドラマ化されたり放送されてしまうことが挙げられる。

テレビのフィクション作品では、時代錯誤に視聴者も気づくだろうと承知の上であえて故意に時代錯誤(アナクロ)をやってみて、その「おかしさ」(面白さ)を楽しませる番組もある。

タイムスリップもの」では、その多くがアナクロを楽しむのが作品の基本となっている。たとえば半村のSF小説『戦国自衛隊』(公表年が1971年とすでに古い作品だが)では戦国時代に1970年当時の自衛隊がタイムスリップしたら...というありえない想定をして妄想を広げて作家自身が楽しみ読者も楽しませ、映画化もした。近年の作品では、たとえば2015年から掲載されたえすとえむによる漫画作品『いいね!光源氏くん』が平安時代の貴族が現代に現れるという、ありえない時代錯誤をさせて、物語の登場人物の"光源氏くん"のセリフも行動も意図的にアナクロ満載の状態にさせて読者を楽しませ人気となり、NHKのドラマにもなった。

脚注

  1. ^ a b アナクロニズム』 - コトバンク
  2. ^ a b 『四字熟語を知る辞典』【時代錯誤】
  3. ^ 『四字熟語を知る辞典』【時代錯誤】
  4. ^ The Patriot Ledger, Joseph Giglio, Monarchy is an Anachronism
  5. ^ 『新和英大辞典 第五版』(研究社、2003年)の「アナクロニズム」の項は、「英語の anachronism は, 単に「時代遅れ」にかぎらず, 過去の時代に現代の事物を持ち込むような状況設定を指摘するときにも用いられる」と注意する。

関連項目

外部リンク


アナクロニズム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/22 01:57 UTC 版)

バルナバによる福音書」の記事における「アナクロニズム」の解説

バルナバによる福音書』には非常に多くのアナクロニズムないし歴史的に場違いな物事含まれていると指摘する読者もいる: 同書中でイエスガリラヤからナザレまで海を渡って行く – しかしナザレ内陸にある; またそこからカファルナウムへ「登って」行く – 実際にカファルナウム湖岸にある都市である(第2021章); ただしこの問題はBlackhirstで扱われていて、歴史上ナザレ位置はそれ自体謎であるという。 イエスポンティオ・ピラト統治下に生まれたとされているが、彼の統治紀元後26年以降である。 バルナバキリストメシア同義語だと気付いていない。キリスト(希: Χριστός)はメシア(ヘブライ語: משיח‎)のギリシア語訳で、どちらも「油を注がれた者」を意味する。そのためバルナバによる福音書誤ってイエスを「イエス・キリスト」(つまりメシアイエス)と呼んでおきながら「イエスは『私はメシアではない』と告白し真実述べたと言っている(第42章)。 聖年100年ごとにあると言及される(第82章)が、レビ記:25では50年ごとである。このアナクロニズムは教皇ボニファティウス8世1300年聖年としたことと関係があると思われる; ボニファティウス8世その後百年ごとに聖年とすると定めた1343年にはクレメンス6世によって聖年間隔50年縮減された。 アダムとイブリンゴ食べる(第40章); ところが知恵の樹(創世記 2:9,17; 3:5)の果実リンゴだという伝統的な観念旧約聖書ラテン語訳よる。ラテン語では「リンゴ」と「悪」がともに「malum」である。 バルナバによる福音書ではワイン木製貯蔵されているという描写がある(第152章)。木製ガリア北イタリア特有のもので、ローマ帝国では300年頃までワイン貯蔵には一般的には用いられていなかった; さらに1世紀パレスチナではワインは常に皮袋や瓶(アンフォラ)に入れて貯蔵されていた。ヨーロッパナラパレスチナでは生育しない; そしてその他の木材では酒樽に使うには気密性十分でない91章で「40日間」が毎年断食期間として言及されている。これはキリスト教の伝統四旬節40日間断食することに一致している; しかしこの慣習第1ニカイア公会議(325年)より以前には確認されていない。また当時ユダヤ教にも40日間断食をするという慣習存在しなかった。 バルナバによる福音書中で旧約聖書引用される際、その読みギリシア語七十人訳ヘブライ語マソラ本文ではなくラテン語ヴルガータ読み一致するヴルガータ聖書ヒエロニムス382年以降翻訳始めたものであり、これはバルナバ死後数百後である。 第54章ではこのように述べられている: 「彼は両替加わったので金ひとかけら六十小銭(イタリア語でminuti)に変わった違いない。」 新約聖書時代にはアウレウス金貨一枚最小単位レプタ銅貨(ラテン語ではminutiと呼ばれる)3200価値があった; 一方ローマで一般的だったデナリウス銀貨128レプタ価値があった。バルナバによる福音書交換比率は1:60だが、これは正典福音書の対応箇所(マルコ 12:42)の中世後期読み一致する。この読みはminutiを1/60を意味するものとする中世一般的な解釈から生じている。 第91章ではユダヤ人軍隊三軍それぞれ20万人兵士含んで合計60万人兵士ミツパ集った記録されているが、当時ローマ帝国全軍でも30万人程度推計されている。 第119章では同等貴重さ価値を持つものの例として砂糖と金挙げている。しかし古代にはインド砂糖特性知られていたが、6世紀産業規模生産されるうになるまでは甘味料として交易対象になっていなかった。11世紀から15世紀にはヨーロッパへ砂糖交易路アラブ人独占しており、その価値はしばしば金に比された。しかし15世紀半ばからはカナリア諸島およびアゾレス諸島大規模なサトウキビ生産地開かれ砂糖依然奢侈品ではあったが並外れて貴重な物とはみなされなくなった

※この「アナクロニズム」の解説は、「バルナバによる福音書」の解説の一部です。
「アナクロニズム」を含む「バルナバによる福音書」の記事については、「バルナバによる福音書」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「アナクロニズム」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「アナクロニズム」の関連用語

アナクロニズムのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



アナクロニズムのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの時代錯誤 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaのバルナバによる福音書 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS