国指定文化財等データベース |
会津只見の生産用具と仕事着コレクション
| 名称: | 会津只見の生産用具と仕事着コレクション |
| ふりがな: | あいづただみのせいさんようぐとしごとぎこれくしょん |
| 種別: | 生産、生業に用いられるもの |
| 員数: | 2,333点 |
| 指定年月日: | 2003.02.20(平成15.02.20) |
| 所有者: | 只見町 |
| 所有者住所: | 福島県南会津郡只見町 |
| 管理団体名: | |
| 備考: | |
| 解説文: | この資料は、福島県南西部の南会津郡只見町で使用された生産用具と仕事着のコレクションである。只見町は新潟県に接して周囲を千メートル前後の山に囲まれた、七四七平方キロメートルに及ぶ広大な面積を有する地域である。集落は只見川とその支流の伊南川【いながわ】流域の河岸段丘上に位置し、耕地は河谷平野や沢沿いの狭い平地に展開している。周囲はブナやナラなどの落葉広葉樹を中心とする山林が大半を占め、町域の九割以上が森林で占められている。この地域は「丈余【たけあま】りの雪」などと称される豪雪地帯で、冬季は積雪が二ないし三メートルにも及び、雪崩の常襲地は山菜採りの宝庫となっている。 只見町の伝統的な生業は、焼畑を含む畑作農耕と狩猟や山菜などの自然物の採集を中心とするものであったが、近世以来、限られた耕地を使っての水田稲作や林業も盛んに行われており、近代に入ると耕地改良の進展や企業的な林業経営者の進出などによってその動きは一層拡大し、その後は水田稲作が主となった。 一六世紀後半、近世初期の只見地方は、中世以来の豪族である山内氏の支配するところであったが、一七世紀の中頃、寛永二十年(一六四三)から慶応四年(一八六八)の二二五年間は、幕府直轄支配と会津藩預かり支配とが繰り返された。この間、只見地方は政治的には会津圏にありながら、人的・経済的には距離的に近い越後との交流が盛んであり、新潟県下田【しただ】村に至る八十里越【はちじゅうりごえ】と、同じく入広瀬【いりひろせ】村を抜けて小出【こいで】町に至る六十里越【ろくじゅうりごえ】の峠道が利用されていた。 資料のうちの生産用具は、自然物採集用具、農耕用具、狩猟用具、漁撈用具、山樵用具、製糸用具、蔓細工用具、屋根葺き用具に分類され、それぞれに使用された用具が作業工程順に整理されている。 この資料は昭和四十年代から収集された資料に只見町史編纂事業に伴う民俗調査の成果を加え、地元のお年寄りによる整理作業を経て分類整理されたものである。この整理の成果は平成四年に『図説 会津只見の民具』として公刊されて、関係各方面から高い評価を得ている。本資料は、これらをもとにさらに収集を進め充実を図った約七五〇〇点の資料の中から精選したものである。 自然物採集用具は、ゼンマイの採集に関する用具である。只見産のゼンマイは古くからこの地方の特産物とされ、人びとは田植えが終わると一斉に山に入り泊まりがけで採集に従事する。採集用具と仕事着が収集されているが、クモッケツと呼ぶゼンマイ採りの専用着は、尻の部分に収納用の袋の付いた上衣で、戦後、新潟県側から伝わり只見地区と朝日地区で使用されているものである。 農耕用具は水田稲作用具と畑作・焼畑用具とに細別される。只見地方の水田は山際に多く存在するため、ヒドロタといわれる湿田が多く、農耕用具の中にも湿田の用具が多く見られる。テヅラは鍬の柄に着けて泥の跳ね返りを防ぐ用具で、新潟県からの伝播とみられる。湿田の稲刈りには雪上歩行用具であるマルカンジキを履いた。籾についた芒【のぎ】を取るモミヨウシやツキグワには、根曲がり木の利用や除雪用具の転用などの工夫が見られる。また、センダイなどの選別用具は一七世紀末の農書に見られるもので、この地方では昭和十年代まで使用されていた。畑作は屋敷まわりの常畑で野菜を作り、山麓の原野を焼き払ってカノという焼畑を造ってソバ、アワ、キビ、カブなどを栽培した。このうち、焼畑の用具では、コウガイと呼ぶ穂摘【ほづみ】具が注目される。この用具は、新潟県の下田村や入広瀬村から福島県の只見川流域の柳津【やないづ】町にかけての分布が確認されている。 この地方の狩猟は熊やカモシカなどを主たる対象として行われた。かつては、旧田子倉集落にシシヤマと呼ぶ狩猟組織があり、ヤマサキという山の神の祭祀者を中心に山小屋に泊まって猟を行っていた。このヤマサキの習俗は福島県内では只見地方にのみ見られるものである。狩猟用具の中では、ヤマサキの家に伝えられている、テッポウノマキモノと呼ばれる山の神や狩猟の由来を記した巻物が注目される。漁撈用具は、昭和初期にダムが造られるまで只見川や伊南川を遡上していたサクラマスの捕獲用のマスドウやマスカギなどと、多種類のドウが注目される。山樵用具にはモトヤマと呼ばれ伐採を専業とする職人の用具と、個人的に燃料木を採取する春木山【はるきやま】の用具が収集されている。製糸用具はこの地方で生産された伊北麻を原料とする麻糸の製造用具と、シナノキの繊維を糸にする用具である。蔓細工用具はマタタビやアケビの蔓を利用した籠や笊の細工用具と製品類であり、屋根葺き用具は冬季の関東地方への出稼ぎ仕事で行われる茅屋根葺きの用具で、各職人の系譜を記したヤネフキノマキモノが注目される。 |
重要有形民俗文化財のほかの用語一覧
| 生産、生業に用いられるもの: | 久賀の諸職用具 伊勢湾・志摩半島・熊野灘の漁撈用具 会津の製蝋用具及び蝋釜屋 会津只見の生産用具と仕事着コレクション 佐渡海府の紡織用具及び製品 倉吉の鋳物師 八戸及び周辺地域の漁撈用具と浜小屋 |
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