新世紀エヴァンゲリオンの用語一覧 組織

新世紀エヴァンゲリオンの用語一覧

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/03 14:51 UTC 版)

組織

特務機関NERV(ネルフ)
正式名称は国際連合直属非公開組織 特務機関NERV[注 3]。ゲヒルン(後述)を発展解消して2010年に設立された、使徒殲滅を主要任務とする国連直属の超法規的組織。ドイツ語神経の意味。本部の所在は日本国の芦ノ湖北湖畔の第3新東京市の地下、箱根大深度地下大規模空間(ジオフロント内)にあり、最高司令官は碇ゲンドウ、副司令官は冬月コウゾウ。また米国に第1・2支部、ドイツに第3支部を擁し、その他にも中国など世界各国に支部がある。
国連から絶大な権限を委譲されており、使徒殲滅作戦時には国連・日本国政府から作戦指揮の全てを委任されている。EVAを複数保有し、2015年現在、E計画・アダム計画・人類補完計画の3つのプロジェクトも極秘裏に進めている。国連直属の準軍事組織として、一定程度の訓練を受けた武装職員を雇用している。「非公開組織」となっているものの、少なくとも第3新東京市の住民にとっては存在は公然の秘密のようである(その前に第三新東京市は秘匿性を高めるためにNERV関係者と今まで定住してきたものしか住むことが許されない)。外部から接触できる「広報部」が存在し、ヤシマ作戦の際にはトウジとケンスケからの激励のメッセージをシンジに伝えているシーンがある。
第14使徒ゼルエル戦で本部施設は半壊し、損壊が激しい第一発令所は破棄され予備の第二発令所に移行された[注 4]
実質的にはSEELEの下部組織にあたり、SEELEの計画を実行する組織として存在しているが、NERV司令のゲンドウや冬月らは極秘裏にSEELEとは別の人類補完計画を目論んでおり、旧劇場版ではその対立が顕在化、SEELEの差し金により日本国政府からA-801(特務機関NERVの法的保護の破棄および日本国政府への指揮権の委譲)を発令され、事実上の降伏勧告と共に日本国政府およびNERV各支部からMAGIへのハッキングを受けるがこれを回避、よって、戦略自衛隊による直接占拠に乗り出され、NERV本部はあくまで対使徒を前提とした施設であり、侵入者迎撃用の予算も縮小されていたために錬度・装備とも戦略自衛隊に劣り、最終的には第二発令所までの侵攻を許してしまう。
シンボルマークの意匠に取り入れられているイチジクの葉は、旧約聖書におけるアダムとイヴの顛末(失楽園)より。知恵の実を手にしたためにエデンの園から追い出された人類の原罪を表しており、葉が半分なのは園にあるもう一つの実である生命の実を手にしていないから。なお、シンボルマークの下部に書かれている「GOD'S IN HIS HEAVEN. ALL'S RIGHT WITH THE WORLD.」(訳:神は天に在り、全て世は事もなし)は、ロバート・ブラウニングの詩『ピッパが通る』の一節から引用された[8]。漫画第1巻の初版では、シンボルマークの一文が今とは違ったものになっていた(現在では修正)。ニュータイプ100%コレクションに掲載されているシンボルマークには「NEO EATH OF RETARN VERERASION TEAMママ〕」となっているものがあり、つまりは略するとNERVだが、この設定はアニメ本編では使用されなかったようである(綴り自体に間違いがあるので和訳は出来ない。つまり意味は不明)。
新劇場版では各国支部の権限が強化され、ほとんど対立関係に近い状態であることが示唆されている(4号機の情報がリツコにすら開示されていなかったこと、日本で稼動している2号機の所有権をユーロが保持し続けられたことなど)。シンボルマークは山下いくとがテレビ版の企画段階において提案した案の一つをサルベージしたものが用いられ、従来のイチジクのマークの背景に「皮を剥かれた」逆さに刻まれた智慧の実とされるリンゴが組み合わされ、イメージが変化している。その新しいロゴは、人類の進化と原罪が示されている。NERVのフォントや詩の位置を変えた別バージョンも存在する。『Q』では旧世紀版と同じ物に変っており、幾何的に単純化された物も使用されている。なお、新劇場版シリーズでは、NERVに関する法律として「特務機関優先保護基本法」が制定されており、法律名が『序』クライマックスのヤシマ作戦でのシーン(通行止めの看板)で登場する。
ゲヒルン(GEHIRN)
特務機関NERVの前身となる国連直轄の非公開組織。ドイツ語の意。軍事組織の色彩の濃いNERVとは異なり、あくまで研究機関としての色合いが濃い。実質SEELEの下部組織にあたり、国連直轄の人工進化研究所を隠れ蓑として活動していた。SEELEが求める計画を遂行可能な人材、技術、装備などを揃えるための準備組織としての側面を持ち、MAGIの完成とともに即時解体され、全計画の遂行組織である特務機関NERVへと移行した[1]
初期案では『ふしぎの海のナディア』のネオアトランティスの残党にする案もあった。
人工進化研究所
箱根の芦ノ湖ほとりにある国連直轄の研究機関。国連直轄の諮問機関である人類補完委員会により設立され、研究所はアダムの破片を手に入れたことでSEELEの強い介入を受けたとされる。それにより組織体形が強化され、非公開組織であるゲヒルンが設立された。そのため、実際は非公開組織ゲヒルンの隠れ蓑としての施設となっており、地下のジオフロント内にある現NERV本部がゲヒルン本部である。
ゼーレ(SEELE)
ゼーレの7つ目マークの由来である黙示録の仔羊
太古より世界を裏から操っていると云われる秘密結社。元は宗教団体であり、作中の時代では国連を隠れ蓑に活動している。使徒などに関する預言が書かれている「裏死海文書」を所持し、それを元にした遠大なシナリオに沿って行動している。巨額の富を持ち自身の宗教の遺構調査の資金援助も良くこなしていた。その中で「裏死海文書」を発掘したことで、己の教義=神への道へと立ち返ったとされる。アダムの発見は確信となり、セカンドインパクト前後にして、箱根のリリスの発見、人工進化研究所とゲヒルン、人類補完委員会の設立、使徒との戦いをにらんだ国連主導の世界構築などを行った。意志決定会議に参加するメンバーは12人であり、その首魁は人類補完委員会議長でもあるキール・ローレンツ。その会議はモノリスをアイコンとしたホログラムを介して行われる。組織名はドイツ語の意。7つの目のマークは「黙示録の仔羊」から引用されている。
新劇場版では出渕裕の手によってマークが改められ、従来の7つの目に「知恵の実」とされるリンゴと、イヴにそれを食すよう唆したヘビが加えられ、マークの中心にはフリードリヒ・フォン・シラーの詩「歓喜に寄せて」(ベートーヴェン交響曲第9番第4楽章合唱の歌詞の原詩)の一節、"Überm Sternenzelt richtet Gott, wie wir gerichtet."(星空の上で神が裁く、我等がどう裁いたかを)が書かれている。またメンバーの数も7人に減っている。
人類補完委員会
人類補完計画に関するすべての意思決定機関であり、国連直属の諮問機関。業務は特務機関NERVの監督とその予算確保。実態はゼーレが国連を動かすための隠れ蓑となっている。ゼーレのメンバーによって構成されており、メンバーは米・英・独・仏・露の代表者5名と碇ゲンドウ。議長はキール・ローレンツ。
マルドゥック機関
表向きは「EVA操縦者選出のために設置された人類補完委員会直属の諮問機関」とされている。108の関連企業を持つがそのほぼ全てがダミーであり、また役員名簿にはNERVや人類補完委員会の面々が名を連ねていることから、加持は機関そのものがダミーで陰で操っているのはNERVそのものだと判断している。
マルドゥックの由来は古代バビロニアの主神で50の異名を持つマルドゥク(マルドゥーク、MARDUK)、関連企業「シャノンバイオ」は村上龍の小説『愛と幻想のファシズム』に登場する巨大企業「シャノン」から。
国連軍(UN、UN軍)
2000年に起こったセカンドインパクトの後、国際復興協調路線を掲げた国連の下に組織された軍隊。各国の軍隊を事実上吸収し、その指揮下に置く。そのため、セカンドインパクト以前の国連軍とは比較にならないほどに権限と兵力は絶大である。日本の陸海空の自衛隊も編入[注 5]されており、東京都府中市府中基地に正体不明の物体(使徒)の日本国内侵入を監視する総括総隊司令部がある。また、日本はそれとは別に「戦略自衛隊」を持つ(後述)。NERVとは反目しながらも共同して使徒殲滅作戦にあたる。実際はゼーレによって情報操作されており、戦自同様、物語の核心の蚊帳の外に置かれている。また、通常兵器は使徒のA.T.フィールドに通用しないため、対使徒戦に限れば、その攻撃は「税金の無駄遣い」と評される。車輌、艦艇には「UN」と表記されている。
戦略自衛隊(J.S.S.D.F.)
セカンドインパクト後の2003年に起こった南沙諸島を巡る中国ベトナム紛争を機に創設された日本国国防省[注 6]直轄の軍事組織[9]。新劇場版では日本国内務省の軍事組織[10]。劇中では「戦自」と略されることが多い。英名表記は Japan Strategy Self Defence Forces、略して「J.S.S.D.F.」。
B・C兵器N2兵器を保有している。バレンタイン平和維持体制の下で、陸海空の3自衛隊を国連軍に編入された日本にとっては、唯一の独立した指揮系統の部隊である。その軍事力は国連軍(旧自衛隊)をも凌ぐともされ(主要大国の軍隊が名目上は国連軍の一部であるため)、世界最強の軍隊に位置づけられる。当初はNERVに開発途中の自走陽電子砲を提供する形で使徒殲滅に協力することもあった。
旧劇場版では、ゼーレの思惑によって「NERVがEVAを使って人類滅亡を謀っている」と伝えられた日本政府の命令の元、サードインパクト阻止のためNERV本部へ一個師団が侵攻し施設の大部分を占拠するが、初号機・弐号機の無力化・パイロット殺害に失敗し、サードインパクト阻止はならなかった。
旧劇場版でのNERV本部への侵攻の際には、レオパルト2A7/A10主力戦車やM551試作軽戦車、高機動車といった独自の装備の他、9A52-4やM290、UN重戦闘機などの国連軍が使用する装備も使用している(カラーリングは地上兵器は茶色、航空兵器は緑色)。また、NERV本部施設内部に突入した歩兵部隊の個人装備は任務の性格上CQB(近接戦闘)に特化した構成となっており、劇中ではH&K G11ブローニング・ハイパワー携帯式無反動砲火炎放射器を使用している他、第二発令所への侵入の際にはバリスティック・シールド(個人携行用防弾盾)を用いている。戦自車輌には英語略称「J.S.S.D.F」と表記される。
セガのアミューズメント景品モデルとして、一五式腕時計・戦略自衛隊東部方面隊新富士教導団支給モデルや、レプリカバック・戦略自衛隊新習志野第101空挺団支給タイプが販売された。
戦略自衛隊技術研究所
略称は戦自研、 茨城県つくばに技術研究本部を置く、戦略自衛隊の関連組織。テレビ版第6話および『序』でNERVがヤシマ作戦を実行するに当たり、自走陽電子砲を徴発された。

注釈

  1. ^ ゲンドウのセリフは「システムをダミープラグに切り替えろ」だが、第19話でシンジが初号機から強制排除されるシーンでは白色の通常型プラグが映っている。
  2. ^ 前述のテレビ版の描写とは矛盾している。
  3. ^ 「UN NERV」とも表記される。
  4. ^ 第一発令所と造りは同じだが、マヤ曰く「ここは椅子はキツイし、センサーは固いし、やりづらい」とのこと。
  5. ^ ただし、旧世紀版第11話では「第3管区航空自衛隊」の名称や灰皿には「JASDF(航空自衛隊の略称)」の表記がされており、編入前の名称はところどころ残っている模様であるが、組織としては基本的に「国連軍」で統一されている。
  6. ^ 旧世紀版第7話にて登場する人型ロボット「ジェットアローン(J.A.)」の起動算譜では開発メンバーに日本重化学工業共同体、通産省(1995年の旧世紀版放送当時。正式名称・通商産業省。現実では2001年の中央省庁再編により経済産業省に改組)と共に防衛庁(1995年の旧世紀版放送当時。現実では2007年に防衛省に改組)が名を連ねている。このジェットアローン開発には「戦自の介入は認められない」ため、防衛庁と国防省は別組織であることが示唆されている。
  7. ^ 本編中、起動(暴走)時のOSは「ジェット・アローン起動用オペレーティングシステム. Ver.2.2.1c」であったのに対して、爆発を回避した際には「ジェット・アローン再起動用オペレーティングシステム. Ver.2.1.1b」になっており、改ざんがあったことを匂わせている。
  8. ^ 質量とその物体の大きさは、鉛と真綿の例に見られるように全く無関係。
  9. ^ 形式的には初代新幹線やアポロ宇宙船なども「多数決制」を採っていた
  10. ^ 映画当時のIBMなどのコンピュータは、アブノーマルエンドなどの異常終了を3桁の16進数で表しており、現在のようなヒューマンフレンドリーなメッセージを出力する余裕はなかった経緯がある。
  11. ^ 特別非常事態宣言」の表示もみられる。例えば、『序』でのヤシマ作戦時に、相田ケンスケが視聴していたテレビ番組に表示されるL字型画面(L字型画面は災害時などに表示される)には「非常事態宣言」「特別非常事態宣言」の両方の表示がみられた。
  12. ^ カヲル曰く、「元々は自分を恐れたリリンが作った物」であるため、カヲル自身がいずれは装着するつもりだった。
  13. ^ ラストシーン直前にマリが取り外す。
  14. ^ "ABOVE THE LINE IS JURISDICTIONAL AREA OF NERV"(線より上はNERV管轄区域)、"BELOW THE LINE IS JURISDICTIONAL AREA OF UN IPEA"(線より下は国連IPEA管轄区域)との記述が確認できる。

出典

  1. ^ a b c d e エヴァンゲリオン・クロニクルより。
  2. ^ Yahoo! JAPANの企画で行われた中川翔子との対談にて。
  3. ^ 『新世紀エヴァンゲリオン フィルムブック』(角川書店)1巻の40ページより。
  4. ^ 『エヴァンゲリオン・クロニクル 新訂版』、4号、23ページ。
  5. ^ 『エヴァンゲリオン・クロニクル 新訂版』、14号、22ページ。
  6. ^ ロンギヌスの槍を月に刺すプロジェクト(ロンギヌスの槍を月に刺すプロジェクト実行委員会 2015/01/30 公開) - クラウドファンディング READYFOR (レディーフォー)、2023年5月10日閲覧。
  7. ^ 例として、漫画『新世紀エヴァンゲリオン』(貞本義行)の第1巻など。
  8. ^ 新世紀エヴァンゲリオン劇場版 THE END OF EVANGELION パンフレット p.20
  9. ^ a b 新世紀エヴァンゲリオン劇場版 THE END OF EVANGELION パンフレット p.19
  10. ^ ニュータイプ(編) 『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序―ENTRY FILE 1』 角川書店 p.62
  11. ^ オープニングの絵コンテより。エッセネの持つ死海文書の1ページ[1]
  12. ^ a b 新世紀エヴァンゲリオン劇場版 THE END OF EVANGELION パンフレット p.17
  13. ^ 『劇場版 Air/まごころを、君に』より
  14. ^ 『グッズプレス』(徳間書店)2009年8月号、81ページ
  15. ^ 新世紀エヴァンゲリオン劇場版 シト新生』の1000円版パンフレットの用語解説より。
  16. ^ ヱヴァンゲリオン新劇場版ブログ:破 2011年3月13日2011年7月23日閲覧
  17. ^ エヴァ・ファン「ヤシマ作戦」で節電へ団結…東日本大震災 スポーツ報知大阪版 2011年3月14日閲覧
  18. ^ ツイッターで節電呼び掛け=アニメの作戦名で展開 時事通信 2011年3月23日閲覧
  19. ^ “節電協力チェーンメール出回る-関電「転送しないで」”. 梅田経済新聞. (2011年3月14日). http://umeda.keizai.biz/headline/1001/ 2011年3月24日閲覧。 
  20. ^ “節電 支援につながらず”. 朝日新聞岡山版. (2011年3月21日). http://umeda.keizai.biz/headline/1001/ 2011年3月24日閲覧。 
  21. ^ Company, The Asahi Shimbun. “ネットでお手軽貢献の可能性 節電ゲームで連帯も”. asahi.com. 2022年5月21日閲覧。
  22. ^ 新世紀エヴァンゲリオン劇場版 THE END OF EVANGELION パンフレット p.18
  23. ^ エヴァの次は999「シンカリオン」コラボへの執念 制作者たちが語る「絶対聞けないウラ話」が満載”. 東洋経済オンライン (2021年11月19日). 2022年3月25日閲覧。
  24. ^ 南拡大朗「「エヴァ」映画モデル 天竜二俣駅の看板を第3村に交換」『中日新聞』、2021年8月2日。2021年8月22日閲覧。
  25. ^ シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇 パンフレット p.60
  26. ^ この用語の出典。中川大地 (2021年5月15日). “総括・「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」(後編)──真希波・マリ・イラストリアスはなぜ昭和歌謡を歌い続けたのか【平成後の世界のためのリ・アニメイト 第9回】”. アキバ総研. カカクコム. 2021年7月17日閲覧。





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