新世紀エヴァンゲリオンの用語一覧 使徒

新世紀エヴァンゲリオンの用語一覧

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/06/03 14:51 UTC 版)

使徒

アダム
第1使徒と呼ばれる生命体の源。中央にコアが見える光の巨人。太古から南極大陸の地下に存在し、第3から第17までの使徒を生み出した存在(ただし第17使徒は人為的に作りだされたもの)だとされている。劇中ではターミナルドグマに磔にされている白い巨人のことをアダムと呼称していたが、後にそれはリリスであることが判明した。
2000年、ゼーレとゲンドウらは葛城調査隊を利用し、他の使徒が覚醒する前にロンギヌスの槍を使いアダムを卵にまで還元することで被害を最小限に食い止めようとし、結果セカンドインパクトを発生する。それにより魂はどこかへ消え、肉体はバラバラになって退化した。後に、アダム計画により肉体は胎児状にまで復元され、硬化ベークライトによって固められたサンプルは、加持リョウジによって碇ゲンドウに横流しされ、ゲンドウの右手へと移植された。漫画版ではゲンドウが胎児状のアダムを経口摂取し、自らの肉体に取り込むシーンがある。また魂はゼーレにより人型の肉体を与えられ、渚カヲルとなる。由来は創世記アダムから。
リリス
第2使徒と呼ばれる生命体の源。ジオフロントのターミナルドグマに磔にされている白い巨人。アダム系の生命を除く、現在地球上にいる全ての生物はこのリリスが由来であり、その最果てに生み出されたのが第18使徒リリン=人間である。劇中ではNERV上層部の人間以外にはその存在が伏せられており、さらにそれがアダムであるかのような情報操作が行われていた。魂は抜かれており、それは魂の宿らなかった綾波レイの肉体へと移植されている。
新劇場版においてはNERV本部最深部のL-EEE(レベルトリプルE)と呼ばれる場所に当初よりロンギヌスの槍で磔にされており、サードインパクトのトリガーとなるものであるとミサトに語られている。シンジが戦う意思を固めた要素のひとつでもある。
A.T.フィールド(Absolute Terror FIELD)
全ての生命が自らを形成するべく持っている自我境界、排他的精神領域であり、人間は自らの肉体を形成し個体を維持する程度の強さしか持たないが、使徒やEVAはそこからさらに防御壁(バリアー)の一種として展開できるほどの強力なA.T.フィールドを持つ。その際には位相空間や相転移空間とも呼ばれ、強力になるにつれ視覚化し、さらには物質化され、極めて高い防御力を発揮する。N2兵器含め通常兵器ではほぼA.T.フィールドを突破できずダメージを与えることができないが、A.T.フィールド同士では中和したり強引にこじ開けることが可能であり、それゆえEVAが唯一使徒に対抗できうる兵器だとされる。第5使徒ラミエル戦では、A.T.フィールドを貫くエネルギー産出量は、最低1億8000万キロワット(日本中の電力)が必要とされた。使徒レリエルのように構造の形成に重要な役割を果たしているものもある。
前述したとおり、A.T.フィールドは全ての生命が自らを形成するべく持っている自我境界であるため、自我=A.T.フィールドが完全に消失すると、生命は肉体を維持できなくなりL.C.L.へと還元してしまう。シンジがエヴァ初号機に取り込まれたのは、エヴァとの境界線が消失したためである。
略称の英語表記については原作オープニングのカットインに登場する(1分10秒ごろ)。正式な訳語は「絶対恐怖領域」だが、略して「絶対領域」と表記されることもある[7]。また、新劇場版「序」のDisc02では「絶対不可侵領域」となっている。
監督の庵野秀明は書籍『スキゾ・エヴァンゲリオン』の対談で「A.T.フィールドは心の壁のようなもの」と語っており、実際に劇中でも渚カヲルがA.T.フィールドのことを「心の壁」と称していた。原動力はリビドー(生、性の欲望)であるとされる。
アンチA.T.フィールド(Anti Absolute Terror FIELD)
A.T.フィールドの正反対のものであり、アダムやリリスといった「生命の起源」たる使徒が展開しており、量産機や初号機はS2機関を解放することで発生させている。物質を融解させたり、個体生命はこのアンチA.T.フィールドの干渉を受けると、デストルドー(死、破壊の欲望)の形而下により自我境界=A.T.フィールドが弱体化し、消失してL.C.L.に還元されてしまう[1]
また、ロンギヌスの槍もA.T.フィールドを無力化する力を持ち、セカンドインパクトの際にはアダムはロンギヌスの槍を刺されたことでアンチA.T.フィールドを展開させられる形となった。ゲーム「新世紀エヴァンゲリオン2」では、カヲルが槍を呼び使うことで自分や使徒を還元したと思われる場面も存在し、劇場版では槍の放った光によりレプリカの槍がL.C.L.へと還元させられた。
新劇場版では『Q』の冒頭で2号機を急襲したMark.4Aが2号機のA.T.フィールドをアンチA.T.フィールドで破り、散弾攻撃を行うシーンがある。
S2機関
スーパーソレノイド機関の略称。「エスツーきかん」と呼称される。葛城博士がその理論を提唱し、第1使徒アダムの発見によりその実在が初めて確認された、使徒が体内に持つ永久機関生命の実)である。スーパーソレノイドとは遺伝子の二重螺旋構造を形成するDNA分子の集合体を指す言葉であり、葛城博士はこの構造から無尽蔵のエネルギーを引き出せると考えた。
殲滅した第4使徒の残骸から入手したS2機関はドイツ支部にて修復され、米国NERV第2支部においてEVA4号機への搭載実験が行なわれるが、その実験中に原因不明の事故により4号機はおろか周囲89キロ、NERV第2支部ごと消失してしまう。しかしドイツ支部に残っていたデータにより実用化され、旧劇場版第25話で登場するEVA量産型に搭載されることになる。一方でEVA初号機は、第14使徒・ゼルエルを捕食し直接S2機関を体内に取り込むことになる(第19話)。これによりEVA最大の懸案である活動限界を克服したとされているが、これはゼーレの計画にはない事態であった。企画書案では陽電子機関と称されていた。
波長パターン
人間や使徒は独自の波長パターン(Blood Type)を持っており、「パターン青」と判断されれば使徒とされる。使徒でない場合はオレンジであるが、具体的にどう違うのかは劇中では語られなかった。またパターンが青とオレンジの間を遷移する、または自在に変換できる使徒も存在する。リリスはパターン青を示しながらも、同時にヒトであるとも判断された。
A.T.フィールドにもパターンはあるようで、劇場版ではシンジのA.T.フィールドからパターンレッドが検出されている。他にも初号機に取り込まれた碇シンジのサルベージ中に、デストルドー反応についてパターンセピアが確認されたことがある。
「パターン青」の由来は、現実の1978年公開の東宝映画『ブルークリスマス』からであると公式にはアナウンスされている。
第1始祖民族
企画書段階で存在した設定で、使徒やEVAの元になった巨大人造人間「アダム」を造った先史知的生命体。
ゲーム『新世紀エヴァンゲリオン2』では、ストーリーに沿う形で小笠原諸島海溝に沈んだ物体を引き上げることで第1始祖民族の情報が得られるイベントがあり、関連性は不明だが、これは『ふしぎの海のナディア』最終回でレッドノアから帰ってきた宇宙船とも思えるものであった。
その情報によれば、はるか昔に宇宙のどこかにヒト型の知的生命体が存在していた。彼らは自らの星が滅びる運命だと知ったことで、自分たちを生命の根源の姿にまで戻し、いくつかのグループに別れ、それぞれ月に乗り宇宙へと旅立った。月には多くの魂のほか、その魂に肉体を与え生み出す存在である生命の種、そしてその生命の種を止めるための保安措置であるロンギヌスの槍が入っており、旅立つ際に、生命の種は知恵の実か生命の実かを選ばされたとされる。
地球には生命の実を得た「アダム」と、知恵の実を得た「リリス」という2種類の生命の種が落ちた。先に地球に到達したのはアダムを乗せた「白き月」であり、これは現在の南極大陸に存在した。しかし後にリリスを乗せた「黒き月」も地球に落下する。そしてこの時の衝突が、形成の原因となったジャイアントインパクトだとされる。この後、地球を支配するのはリリスより生まれた生命であり、その進化の果てに人類、すなわちリリンがいる。一方、アダムより生まれた生命=使徒は西暦2015年に至るまで活動することはなかった。使徒と人類の戦いは、地球の正当な支配者の位置を巡る争いであることが、ビデオ化以降に追加されたシーンでもゼーレの口より語られている。

注釈

  1. ^ ゲンドウのセリフは「システムをダミープラグに切り替えろ」だが、第19話でシンジが初号機から強制排除されるシーンでは白色の通常型プラグが映っている。
  2. ^ 前述のテレビ版の描写とは矛盾している。
  3. ^ 「UN NERV」とも表記される。
  4. ^ 第一発令所と造りは同じだが、マヤ曰く「ここは椅子はキツイし、センサーは固いし、やりづらい」とのこと。
  5. ^ ただし、旧世紀版第11話では「第3管区航空自衛隊」の名称や灰皿には「JASDF(航空自衛隊の略称)」の表記がされており、編入前の名称はところどころ残っている模様であるが、組織としては基本的に「国連軍」で統一されている。
  6. ^ 旧世紀版第7話にて登場する人型ロボット「ジェットアローン(J.A.)」の起動算譜では開発メンバーに日本重化学工業共同体、通産省(1995年の旧世紀版放送当時。正式名称・通商産業省。現実では2001年の中央省庁再編により経済産業省に改組)と共に防衛庁(1995年の旧世紀版放送当時。現実では2007年に防衛省に改組)が名を連ねている。このジェットアローン開発には「戦自の介入は認められない」ため、防衛庁と国防省は別組織であることが示唆されている。
  7. ^ 本編中、起動(暴走)時のOSは「ジェット・アローン起動用オペレーティングシステム. Ver.2.2.1c」であったのに対して、爆発を回避した際には「ジェット・アローン再起動用オペレーティングシステム. Ver.2.1.1b」になっており、改ざんがあったことを匂わせている。
  8. ^ 質量とその物体の大きさは、鉛と真綿の例に見られるように全く無関係。
  9. ^ 形式的には初代新幹線やアポロ宇宙船なども「多数決制」を採っていた
  10. ^ 映画当時のIBMなどのコンピュータは、アブノーマルエンドなどの異常終了を3桁の16進数で表しており、現在のようなヒューマンフレンドリーなメッセージを出力する余裕はなかった経緯がある。
  11. ^ 特別非常事態宣言」の表示もみられる。例えば、『序』でのヤシマ作戦時に、相田ケンスケが視聴していたテレビ番組に表示されるL字型画面(L字型画面は災害時などに表示される)には「非常事態宣言」「特別非常事態宣言」の両方の表示がみられた。
  12. ^ カヲル曰く、「元々は自分を恐れたリリンが作った物」であるため、カヲル自身がいずれは装着するつもりだった。
  13. ^ ラストシーン直前にマリが取り外す。
  14. ^ "ABOVE THE LINE IS JURISDICTIONAL AREA OF NERV"(線より上はNERV管轄区域)、"BELOW THE LINE IS JURISDICTIONAL AREA OF UN IPEA"(線より下は国連IPEA管轄区域)との記述が確認できる。

出典

  1. ^ a b c d e エヴァンゲリオン・クロニクルより。
  2. ^ Yahoo! JAPANの企画で行われた中川翔子との対談にて。
  3. ^ 『新世紀エヴァンゲリオン フィルムブック』(角川書店)1巻の40ページより。
  4. ^ 『エヴァンゲリオン・クロニクル 新訂版』、4号、23ページ。
  5. ^ 『エヴァンゲリオン・クロニクル 新訂版』、14号、22ページ。
  6. ^ ロンギヌスの槍を月に刺すプロジェクト(ロンギヌスの槍を月に刺すプロジェクト実行委員会 2015/01/30 公開) - クラウドファンディング READYFOR (レディーフォー)、2023年5月10日閲覧。
  7. ^ 例として、漫画『新世紀エヴァンゲリオン』(貞本義行)の第1巻など。
  8. ^ 新世紀エヴァンゲリオン劇場版 THE END OF EVANGELION パンフレット p.20
  9. ^ a b 新世紀エヴァンゲリオン劇場版 THE END OF EVANGELION パンフレット p.19
  10. ^ ニュータイプ(編) 『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序―ENTRY FILE 1』 角川書店 p.62
  11. ^ オープニングの絵コンテより。エッセネの持つ死海文書の1ページ[1]
  12. ^ a b 新世紀エヴァンゲリオン劇場版 THE END OF EVANGELION パンフレット p.17
  13. ^ 『劇場版 Air/まごころを、君に』より
  14. ^ 『グッズプレス』(徳間書店)2009年8月号、81ページ
  15. ^ 新世紀エヴァンゲリオン劇場版 シト新生』の1000円版パンフレットの用語解説より。
  16. ^ ヱヴァンゲリオン新劇場版ブログ:破 2011年3月13日2011年7月23日閲覧
  17. ^ エヴァ・ファン「ヤシマ作戦」で節電へ団結…東日本大震災 スポーツ報知大阪版 2011年3月14日閲覧
  18. ^ ツイッターで節電呼び掛け=アニメの作戦名で展開 時事通信 2011年3月23日閲覧
  19. ^ “節電協力チェーンメール出回る-関電「転送しないで」”. 梅田経済新聞. (2011年3月14日). http://umeda.keizai.biz/headline/1001/ 2011年3月24日閲覧。 
  20. ^ “節電 支援につながらず”. 朝日新聞岡山版. (2011年3月21日). http://umeda.keizai.biz/headline/1001/ 2011年3月24日閲覧。 
  21. ^ Company, The Asahi Shimbun. “ネットでお手軽貢献の可能性 節電ゲームで連帯も”. asahi.com. 2022年5月21日閲覧。
  22. ^ 新世紀エヴァンゲリオン劇場版 THE END OF EVANGELION パンフレット p.18
  23. ^ エヴァの次は999「シンカリオン」コラボへの執念 制作者たちが語る「絶対聞けないウラ話」が満載”. 東洋経済オンライン (2021年11月19日). 2022年3月25日閲覧。
  24. ^ 南拡大朗「「エヴァ」映画モデル 天竜二俣駅の看板を第3村に交換」『中日新聞』、2021年8月2日。2021年8月22日閲覧。
  25. ^ シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇 パンフレット p.60
  26. ^ この用語の出典。中川大地 (2021年5月15日). “総括・「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」(後編)──真希波・マリ・イラストリアスはなぜ昭和歌謡を歌い続けたのか【平成後の世界のためのリ・アニメイト 第9回】”. アキバ総研. カカクコム. 2021年7月17日閲覧。





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