道立自然公園野幌森林公園
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/27 05:30 UTC 版)
自然
森林は、自然林(天然林)と人工林からなり、自然林は落葉広葉樹と常葉針葉樹が混生する混交林となっている。太さが1mを越える大木も多く、大都市近郊で原生的な森林が残されている。ミズナラ、カツラ、シナノキなどの温帯性の広葉樹林、トドマツを主体とする亜寒帯性の針葉樹林などが交じっている[3][18]。樹木がほとんどない草地は、かつて人が森を切り開いて畑にした後に耕作を止めてできた人工的な草原である。人の手を離れたことで草原性の野鳥や昆虫を見ることができる。
動物は、キツネ、タヌキ、ユキウサギ、エゾリス、エゾモモンガ、ヒメネズミなどの哺乳動物が生息しており[3][18]、また、天然記念物のクマゲラをはじめ、フクロウ、オオルリ、キビタキ、シマエナガ(エナガ)、シジュウカラ、アカゲラなどの野鳥を見ることができる[3][18]。オオルリオサムシ(オサムシ)、ゲンゴロウ(ゲンゴロウ類)などの稀少な昆虫や、エゾハルゼミ、ミヤマクワガタなどの昆虫も見ることができる[3][18]。
瑞穂池
公園内には、小さな沢やそれを堰き止めて作られたため池が複数ある。沢の水は雨や雪が地下に浸透したもので1年中涸れることはなく、木陰によって夏季に水温が高くならないように守っている。その中の1つである瑞穂の池(瑞穂池)は、明治の入植者により始められた水田耕作において従来の堀井戸では足りずに水不足で収穫できなくなったことにより、1924年(大正13年)に貯水池の造成が計画された[19]。1927年(昭和2年)に土工組合の許可がおり、1928年(昭和3年)に周囲約4キロメートル、貯水量170万立方メートルが完成し、実り豊かな水田を願って「瑞穂の池」と命名した[19]。
1955年(昭和30年)に老朽化のため決壊したが、1957年(昭和32年)に地域の協力により復旧した。1972年(昭和47年)に貯水池としての役割を終えたが、そのまま公園の池として残されることになった[19]。
遊歩道
「遊歩道マップ」参照[20]。
- 桂コース
- 大沢コース分岐 - 大沢園地 (1.7km)。カツラの大木が沢沿いに見られ、四季を通じて多くの野鳥を見ることができる。
- 大沢コース
- 大沢口 - 大沢園地 (1.9km)。トドマツの人工林、常緑低木のハイイヌガヤ、カツラ、ハルニレ、ハリギリなどが見られる。
- エゾユズリハコース
- 大沢コース分岐 - 志文別線分岐 (1.2km)。カツラの大木をはじめ、ヤチダモやヤドリギのついた木が見られる。
- 四季美コース
- 志文別線分岐 - 大沢園地 (1.9km)。天然林と人工林が入り交じる平坦なコース。春にはミズバショウやキタコブシ(コブシ)などが見られ、大沢の池では水鳥を見ることができる。
- 志文別線
- 大沢コース分岐 - 登満別園地 (3.7km)。トウヒやカラマツなどの人工林、ドロノキ、ヤチダモなどの天然林、オニグルミなど様々な樹木を見ることができる。また、国有林の「学びの森」として3本の観察コースが整備されている。
- ふれあいコース
- 自然ふれあい交流館 - 百年記念塔 (1.5km)。沢沿いの天然林では春にエンレイソウやニリンソウなどが見られ、開拓跡地の草原から百年記念塔を望むことができる。
- 記念塔連絡線
- 文教通 - ふれあいコース分岐 (1.6km)。開拓跡地の草原やカラマツの防風林、沢沿いの天然林が見られるコース。秋にはススキの群落やナナカマド並木の紅葉が楽しめる。
- 開拓の沢線
- 北海道博物館前駐車場 - 開拓の村 (0.5km)。沢沿いの天然林の中を縫う小道で、オオウバユリやエゾゴバナなどの花や沢付近では様々なシダ植物を見ることができる。
- 瑞穂連絡線
- 中央線分岐 - 瑞穂の池園地 (1.6km)、百年記念塔 - 瑞穂の池園地 (1.9km)。人工林や広葉樹の二次林、うっそうとした針広混交林、林床の草花といった豊かな森の姿を見ることができ、水穂の池では水鳥の観察を楽しむことができる。
- 基線
- 瑞穂口 - 登満別園地 (3.6km)。トドマツなどの人工林がつづく平坦な道。
- 瑞穂線
- 瑞穂口 - 開拓の村 (1.7km)。開拓の村付近から瑞穂の池園地にかけては天然林となっており、野鳥に出会うことも多い。
- 中央線
- 大沢口 - トド山口 (5.1km)。西側の開拓跡地では、昔の天然林の姿に再生する植樹が行われている。東側にはトドマツやトウヒなどの人工林が見られる。
- 下野幌線
- 瑞穂口 - 中央線分岐 (3.6km)。トドマツやカラマツの人工林、広葉樹林、針広混交林など多様な森の姿を見ることができる。
- 登満別線
- 登満別園地 - 中央線分岐 (3.8km)。トドマツや広葉樹からなる天然林に沢や小さな沼が点在している。
- ^ 神代雄一郎編『現代の名庭』日本の庭園7 講談社
- ^ “自然公園野幌森林公園”. 北海道バリアフリーマップ. 北海道. 2015年5月19日閲覧。
- ^ a b c d e f “周辺施設のご案内 | 野幌森林公園”. 北海道博物館. 2015年5月26日閲覧。
- ^ “避難場所(厚別区)”. 札幌市. 2017年1月30日閲覧。
- ^ a b “昭和の森野幌(のっぽろ)自然休養林”. 北海道森林管理局. 2015年5月21日閲覧。
- ^ a b c d 奥谷浩一 2004, p. 29.
- ^ a b 野幌原始林 - 文化遺産オンライン(文化庁)
- ^ a b “北海道植樹祭開催の経緯” (PDF). 北海道. 2015年6月3日閲覧。
- ^ a b c d “野幌(のっぽろ)原始林”. 農林水産・食品産業技術振興協会. 2015年5月21日閲覧。
- ^ “野幌森林再生プロジェクト”. 北海道森林管理局. 2015年5月21日閲覧。
- ^ 原武史『昭和天皇御召列車全記録』新潮社、2016年9月30日、78頁。ISBN 978-4-10-320523-4。
- ^ “北海道支所沿革”. 森林総合研究所北海道支所. 2015年12月11日閲覧。
- ^ 奥谷浩一 2004, p. 28.
- ^ “森林浴の森 日本100選”. 日本の森・滝・渚全国協議会. 2015年5月19日閲覧。
- ^ a b “利用のご案内”. 野幌森林公園 自然ふれあい交流館. 2015年5月21日閲覧。
- ^ “北海道博物館について”. 北海道博物館. 2015年5月26日閲覧。
- ^ “北海道ヒグマ注意報等について”. 北海道自然環境局 (2023年). 2023年9月22日閲覧。
- ^ a b c d “野幌森林公園の自然” (PDF). 厚別区. 2015年5月26日閲覧。
- ^ a b c “瑞穂池碑: 大正13年、黄金の穂波を願って”. 啓成高新聞第87号「石碑は語る」. 北海道札幌啓成高等学校 (1994年). 2015年5月23日閲覧。
- ^ “道立自然公園野幌森林公園遊歩道マップ”. 野幌森林公園 自然ふれあい交流館. 2015年5月26日閲覧。
- ^ “野幌森林公園 自然ふれあい交流館”. 自然大好きクラブ. 環境省自然環境局. 2015年5月21日閲覧。
- ^ “野幌森林公園自然ふれあい交流館の概要” (PDF). 北海道. 2015年5月21日閲覧。
固有名詞の分類
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