竹生島
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/25 08:47 UTC 版)
歴史
古来、信仰の対象となった島で神の棲む島とも言われ、奈良時代に行基上人が四天王像を安置したのが竹生島信仰の始まりと伝わる[17]。南部には都久夫須麻神社(竹生島神社)、宝厳寺(西国三十三所三十番)がある。竹生島神社は、明治の神仏分離令に際して弁才天社から改称した。竹生島は神仏一体の聖地であったことから、分離の際には少なからず混乱があったようである。ちなみに、竹生島弁才天は江島神社 (神奈川県 江の島)・ 厳島神社 (広島県 厳島)と並んで日本三大弁天のひとつに数えられる。
戦国期には、近江国小谷城主であった浅井久政が、子の長政への家督委譲を目論む家臣団によって一時的にこの島に幽閉され、隠居生活を強要された。琵琶湖沿岸を本拠地とした織田信長が参詣したことが記録されているほか、宝厳寺は豊臣秀吉とのゆかりが深い。
近代には宗教家の大石凝真素美が琵琶湖の竹生島は人類発祥の地であると主張した(『大石凝真素美全集』1923年、国華社)。
竹生島に関する伝承
多多美比古命(伊吹山の神)が、姪で浅井岳(現在の金糞岳)の神である浅井姫命と高さを競い、負けた多多美比古命が怒って浅井姫命の首を切り落とした。その首が琵琶湖に落ちて竹生島が生まれたという。金糞岳(標高1,317m)は滋賀県2位の高峰で、最高峰の伊吹山(標高1,377m)は、竹生島の高さを差し引くと本当は2番目だったというわけである。竹生島神社には浅井姫命も祀られている(詳細は近江国風土記#竹生島の伝承を参照)。
坂上田村麻呂伝説のうち坂上田村麻呂の東征譚をモチーフにした御伽草子『田村草子』では、琵琶湖の竹生島の弁財天は田村丸と契りを結んだ鈴鹿御前の化身とされる[18]。御伽草子『鈴鹿草子』でも鈴鹿御前は竹生島弁財天として再誕している[19]。
中世には竹生島は西日本の地震に関する聖地とされていた。『渓嵐拾葉集』によれば、竹生島は大地の最も深い場所である金輪際から生え出た金剛宝石の柱であり、仏陀が正覚した時に座していた金剛座である。故に、この地の本来の地主権現は釈迦如来である、としている[20]。また、島には弁の岩屋と呼ばれる龍穴があり、そこから現れる竹生明神という魚龍(大鯰)が島を7巡りするようにとぐろを巻き、尾をくわえて島を鎮めているという[20]。
中世には水晶輪の島とされ『平家物語』や『源平盛衰記』などに登場する。『渓嵐拾葉集』では、船で近寄ると「りゃんりゃんと響く」島とされている。
- ^ a b c “基準点成果等閲覧サービス”. 国土地理院. 2014年6月24日閲覧。 “基準点コード TR35336110101, 等級種別 三等三角点, 基準点名 竹生島, 北緯 35°25′23″.8415, 東経 136°08′37″.8616, 標高 197.27m”
- ^ “琵琶湖とその水辺景観-祈りと暮らしの水遺産”. 文化庁. 2020年9月20日閲覧。
- ^ “広報きゃんせ長浜” (PDF). 長浜市. pp. 2-3 (2006年8月). 2016年5月13日閲覧。
- ^ “竹生島のタブノキ林、滋賀県指定天然記念物に 学術的価値高く・珍しい大規模群生”. 産経新聞. (2015年12月19日)
- ^ a b 藤本秀弘 著、竹生島奉賛会 企画・編集 編『竹生島 琵琶湖に浮かぶ神の島』竹生島奉賛会、2017年、16-17頁。ISBN 9784883256037。
- ^ 杉井完治・沢田順弘 (1999). “琵琶湖北東部,後期白亜紀貝月山花崗岩”. 島根大学地球資源環境学研究報告 (18): 69-84.
- ^ 小村幸二郎 (1963-10). “やさしい地質学④ 日本列島の生いたち 5.日本列島の誕生”. 地質ニュース (産総研地質調査総合センター) 10月号 No.110 (No.110): 25-30.
- ^ “Ⅳ.日本列島の誕生(1) 地質年代表”. 千葉県森林インストラクター会. pp. 1-16. 2023年3月9日閲覧。
- ^ 藤本秀弘 著、竹生島奉賛会 企画・編集 編『竹生島 琵琶湖に浮かぶ神の島』竹生島奉賛会、2017年、16-17頁。ISBN 9784883256037。
- ^ a b c 村上宣雄 (2017-01-20). “竹生島の植生”. 竹生島 琵琶湖に浮かぶ神の島: 14-15.
- ^ a b 植田潤 (2017-01-20). “竹生島の野鳥”. 竹生島 琵琶湖に浮かぶ神の島: 18.
- ^ 鳥の糞は水に溶けにくい尿酸からなり、雨によって流されないので植物の表面を覆い光合成を妨害してしまう。
- ^ 亀田佳代子(上席総括学芸員). “カワウと人の歴史的かかわり”. 朝日新聞デジタル. 2022年3月29日閲覧。
- ^ “カワウ問題”. 滋賀県ホームページ. 2022年3月29日閲覧。
- ^ 湖底遺跡の謎探れ 小型ロボ、深層スイスイ - 『日本経済新聞』電子版2017年7月17日
- ^ 文化庁文化財保護部記念物課 (2000年3月). “遺跡保存方法の検討 -水中遺跡-”. 文化庁. 2016年5月13日閲覧。
- ^ 滋賀県教育委員会埋蔵文化財センター (2009年3月). “近江水の宝 竹生島” (PDF). 滋賀県. 2016年5月13日閲覧。
- ^ 関幸彦 2014, pp. 191–196.
- ^ 阿部幹男 2004, pp. 46–47.
- ^ a b 黒田 2003, pp. 189–194.
- ^ 北出昭 (2016年4月26日). “文化庁、「水の文化」構成要素で竹生島など5件追加認定”. 毎日新聞
- ^ 竹生島琵琶湖に浮かぶ神の島(平成29年). 竹生島奉賛会. (2017)
竹生島と同じ種類の言葉
固有名詞の分類
- 竹生島のページへのリンク