桜井哲夫 (詩人)
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桜井の60年ぶりの帰郷は、その翌年の2002年(平成14年)にNHK総合テレビジョンのドキュメンタリー番組『にんげんドキュメント』で「津軽・故郷の光の中へ」として取り上げられ、公益財団法人放送文化基金による第28回放送文化基金賞(2001年度)のドキュメンタリー番組部門本賞を受賞[41]、放送批評懇談会による第39回(同年度)ギャラクシー賞の選奨に選定された[42]。
桜井と金正美の交流の模様は、2002年から2012年にかけ、青森放送のラジオ番組『おじぎ草の我が人生』『哲ちゃんとちょんみ』『金正美の青春 詩人桜井哲夫との17年』の3部作として放送され、それぞれ2002年度の日本民間放送連盟賞優秀賞[43]、2007年度の同賞最優秀賞[44]、2012年度の文化庁芸術祭ラジオ部門優秀賞を受賞した[45]。
鉛筆画家の木下晋は、「津軽・故郷の光の中へ」に衝撃を受けたことが機になり[46]、2006年(平成18年)より桜井の肖像画を描いた。辛苦を乗り越えた姿を描いた作品として鑑賞者に衝撃を与えており[47]、完成同年から没後にかけて日本各地で展覧会が行なわれている[48][49]。桜井をモデルに選んだ理由を「たたずまいから、すさまじい孤独がにじみ出ていた。この人を描きたいと思った[* 5]」と語っており、その人物像について「普通なら世の中を恨んでも当たり前なのに、桜井さんは『今の自分がいるのは病気を与えてくれたから」』と、非常に知的で優しかったのが印象的。桜井さんの存在感を自分なりに確認する意味で、絵に表現した[* 6]」と語っている。また肖像画製作時に東京大学建築学科の講師を務めていた木下は、特別講師として桜井を2回招いた。講義室は学生たちによって異様なほどの熱気に孕まれ、学生たちは涙を流して桜井の話に耳を傾けたという[46]。
没後の2013年(平成25年)、ハンセン病回復者の写真でデビューした韓国人写真家の権徹による桜井の写真集『てっちゃん ハンセン病に感謝した詩人』が刊行され、翌2014年に東京都のブックフェア「今、読むべき30冊」に選ばれた[50]。権は晩年の桜井と親交があり、桜井は自分の姿を権に撮影させたことについて「オレたちが死んだら、この国から、らいは消えてなくなってしまう。きっと貴重な記録になる。オレは、きっと画(え)になると思うよ[* 7]」と語ったという。
ハンセン病療養所の入所者と交流を続けているシンガーソングライターの沢知恵は、桜井やハンセン病回復者の詩人・塔和子の詩に曲を付けて歌っており、日本各地でコンサートを開催しつつ、療養所の患者たちの生活上の苦悩を訴え続けている[51]。
注釈
出典
- ^ 金 2003, p. 45.
- ^ a b c d e 桜井 2003, p. 150-153(斎田朋雄による解説文)。
- ^ 松村明 編『大辞林』(第3版)三省堂、2006年10月27日、2637頁。ISBN 978-4-385-13905-0。
- ^ 小林 2013, p. 123.
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- ^ 金 2002, pp. 155–156.
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- ^ a b c d e 小林 2013, pp. 130–131
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- ^ a b ハンセン病フォーラム 2016, pp. 55–60
- ^ 青山郁子「元ハンセン病患者描く 富山出身画家、木下さん」『毎日新聞』毎日新聞社、2006年11月25日、富山版、25面。
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- ^ 「ハンセン病元患者の苦悩 歌手・沢さん、歌で表現 城北高でコンサート」『徳島新聞』徳島新聞社、2014年6月20日、朝刊、14面。
- 1 桜井哲夫 (詩人)とは
- 2 桜井哲夫 (詩人)の概要
- 3 メディア・関連作品
- 4 著作
- 5 脚注
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