日豪関係
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/06 15:00 UTC 版)
旅行
かつてオーストラリアは日本人に人気のある観光地の一つであったが、近年[いつ?]ではその旅行者数は激減している。旅行先の多様化や一過性ブームの終焉、お土産のユニークさに欠けることなども原因とされている。オーストラリアへの旅行者のうち、日本人は2007年度から約30%減という大幅な減少となっている[12]。
一方、オーストラリアでは日本はスキーリゾートなどの旅行先として人気がある。オーストラリアにとって、日本は季節が反対である北半球の国の中で最も近く、時差もほとんどないため、オーストラリアが夏の時に、気軽にスキーを楽しめることもあり、雪質が良い代表的なスキーの名所である北海道や長野県などに人気が集まっている。一方で、一部にはマナーを守らない旅行者もおり、オーストラリア人によると思しき落書きが見つかった事例がある[13]。
捕鯨
日本とオーストラリアは、捕鯨に関する対立がある。
日本は捕鯨文化も持つ国として、ノルウェーやアイスランドとともに国際捕鯨委員会 (IWC) で商業捕鯨の再開を目指すなど捕鯨賛成派の主導的役割を担っている。一方、オーストラリアはニュージーランドなどとともに反捕鯨の急先鋒とも言える存在であり、2008年10月には世界自然保護会議において、ピーター・ギャレット環境大臣が、捕鯨国に対して動議で採択された案よりも厳しくするよう訴えたこともある。もっとも、ギャレットはこの強硬な姿勢のため、まとまりかけたこの動議を台無しにしてしまっている。
2007から2008年にかけてのオーストラリアの反捕鯨政策は、日本が調査捕鯨において年間50頭のザトウクジラを捕獲しようとした件に対してのものである。これは南極のザトウクジラがオーストラリア近海に回遊し、オーストラリアはそのホエールウォッチングで年間約150万人の観光客を集め、2億2500万ドル(約265億円)の経済効果を上げていることが背景にあり、国益の絡んだ経済問題としての様相を呈している。
2010年5月31日、オーストラリアは日本による第二期南極海鯨類捕獲調査の国際法上の違法性を主張して日本を国際司法裁判所に提訴し[14]、2014年3月、日本の全面敗訴で終わった[15]。詳細は南極海捕鯨事件を参照。
オーストラリア人の対日・対日本人感情
調査対象国 | 肯定 | 否定 | どちらでもない | 肯定-否定 |
---|---|---|---|---|
中国 | 22% |
75% |
3 | -53 |
スペイン | 39% |
36% |
25 | 3 |
トルコ | 50% |
32% |
18 | 18 |
パキスタン | 38% |
20% |
42 | 18 |
インド | 45% |
17% |
38 | 28 |
ロシア | 45% |
16% |
39 | 29 |
ペルー | 56% |
25% |
19 | 31 |
ナイジェリア | 57% |
24% |
19 | 33 |
イギリス | 65% |
30% |
5 | 35 |
メキシコ | 59% |
23% |
18 | 36 |
ケニア | 58% |
22% |
20 | 36 |
ドイツ | 50% |
13% |
37 | 37 |
インドネシア | 57% |
17% |
26 | 40 |
アメリカ | 65% |
23% |
12 | 42 |
ギリシャ | 52% |
9% |
39 | 43 |
フランス | 74% |
21% |
5 | 53 |
ブラジル | 70% |
15% |
15 | 55 |
オーストラリア | 78% |
17% |
5 | 61 |
カナダ | 77% |
12% |
11 | 65 |
調査対象国 | 肯定 | 否定 | どちらでもない | 肯定-否定 |
---|---|---|---|---|
中国 | 4% |
90% |
6 | -86 |
韓国 | 22% |
77% |
1 | -55 |
パキスタン | 51% |
7% |
42 | 44 |
フィリピン | 78% |
18% |
4 | 60 |
オーストラリア | 78% |
16% |
6 | 62 |
インドネシア | 79% |
12% |
9 | 67 |
マレーシア | 80% |
6% |
14 | 74 |
ここ20年間[いつ?]、オーストラリアでは日本の調査捕鯨に反対する世論が高まり、環境問題に関して過激な思想を持つ団体を公然と支持する者が現れたり、本来オーストラリアの主権が及ばない海域において、日本やノルウェーなどの捕鯨船に対する発砲や爆破、当て逃げ行為といったシーシェパードの一連の破壊活動をオーストラリア政府が黙認している状況である。2011年1月にジュリア・ギラード首相は日本の捕鯨船への妨害行為を行うシーシェパードに対して警告を発した[18]。
オーストラリア第28代目首相のトニー・アボットは、日本との関係を「アジアにおける最良の友」「世界史の中で最もお互いに恩恵を受けてきた二国間関係の1つ」と評価している[19]。
BBCワールドサービスやピュー研究所が定期的に実施している世界各国を対象とした対他国感情に関する調査によれば、オーストラリアにおける対日・対日本人感情は好意的な回答を示している。BBCワールドサービスが実施した2017年度調査では、対日・対日本人感情の好意的な回答が全調査対象国のなかでトップクラスであり、オーストラリア人の78%が日本の影響力を肯定的に見ており、17%が否定的な見解を示しているという状況で、オーストラリアは世界で最も親日的な国となっている[16]。
2018年に外務省が実施した世論調査における「オーストラリアにとって今後重要なパートナーとなるのは次のうちどの国か」という設問では、日本は44%でアメリカと同率1位となっている[20]。
- ^ “動画:安倍首相、旧日本軍空襲の豪ダーウィン訪問 慰霊碑に献花”. AFP. (2018年11月18日). オリジナルの2018年11月19日時点におけるアーカイブ。
- ^ “安倍首相の初の豪ダーウィン訪問、地元紙は好意的に報道”. 産経新聞 (産業経済新聞社). (2018年11月17日). オリジナルの2021年6月30日時点におけるアーカイブ。
- ^ “安倍晋三首相への謝意”. 駐日オーストラリア大使館 (2020年8月28日). 2020年9月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年7月6日閲覧。
- ^ “日豪円滑化協定の署名”. 外務省. 2022年1月7日閲覧。
- ^ “オーストラリア連邦(Commonwealth of Australia)”. 外務省. 2020年3月16日閲覧。
- ^ “輸出相手国上位10カ国の推移(年ベース)”. 税関. 2020年3月16日閲覧。
- ^ “防衛装備の共同開発、協議入り日豪合意 中国念頭に「飛行の自由」など確認”. サンケイビズ. (2014年4月3日). オリジナルの2015年9月24日時点におけるアーカイブ。 2014年4月6日閲覧。
- ^ “日豪、潜水艦技術を共同研究 武器輸出新原則受け”. 日本経済新聞. (2014年4月5日) 2014年4月6日閲覧。
- ^ “来日中のアボット豪首相がNSCに出席、安保面の協力アピール”. ロイター. (2014年4月7日) 2014年4月7日閲覧。
- ^ 久保信博 (2014年6月11日). “日豪が潜水艦念頭に共同研究、防衛装備品の協定で実質合意”. ロイター 2014年6月14日閲覧。
- ^ “豪外相 集団的自衛権の行使容認を支持”. 日本放送協会. (2014年6月12日) 2014年6月14日閲覧。
- ^ “オーストラリアへの外国人旅行者、過去20年で最少に”. ロイター. 2008年12月30日閲覧。
- ^ “旭川で外国人?が反捕鯨落書き ゴンドラ内に「食べないで」”. ジェイ・キャスト. 2009年8月14日閲覧。
- ^ “LETTER FROM THE AMBASSADOR OF AUSTRALIA TO THE KINGDOM OF THE NETHERLANDS TO THE REGISTRAR OF THE INTERNATIONAL COURT OF JUSTICE / LETTRE ADRESSÉE AU GREFFIER DE LA COUR INTERNATIONALE DE JUSTICE PAR L’AMBASSADEUR D’AUSTRALIE AUPRÈS DU ROYAUME DES PAYS-BAS” (PDF) (英語、フランス語). 国際司法裁判所 (2010年5月31日). 2013年3月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年1月14日閲覧。
- ^ “調査捕鯨で日本敗訴 国際司法裁判所、中止命じる”. 日本経済新聞. 2020年3月16日閲覧。
- ^ a b “2017 BBC World Service poll” (PDF) (英語). BBCワールドサービス. p. 20 (2017年7月4日). 2017年7月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年6月30日閲覧。
- ^ “Japanese Public's Mood Rebounding, Abe Highly Popular” (英語). ピュー研究所 (2013年7月11日). 2021年5月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年6月30日閲覧。
- ^ “豪首相、シー・シェパードに警告”. TBSテレビ. (2011年1月4日). オリジナルの2011年1月11日時点におけるアーカイブ。
- ^ “豪首相が就任後初の北アジア歴訪へ、最優先事項は対日EPA”. ロイター. (2014年4月2日) 2014年4月6日閲覧。
- ^ 『オーストラリアにおける対日世論調査結果』(PDF)(プレスリリース)外務省、2018年12月28日。 オリジナルの2021年6月16日時点におけるアーカイブ 。2024年7月6日閲覧。
- ^ 外務省情報局第一課『外務省発表文集 第一号(昭和三十年)』「一三、外交使節及び外国人叙勲関係」「10 駐日オーストラリア大使の信任状捧呈について」
- ^ 信任状捧呈式(平成元年) - 宮内庁
- ^ 信任状捧呈式(平成5年) - 宮内庁
- ^ 信任状捧呈式(平成10年) - 宮内庁
- ^ 信任状捧呈式(平成13年) - 宮内庁
- ^ 新任駐日オーストラリア連邦大使の信任状捧呈について | 外務省 - 2004年12月10日
- ^ 外務省: 新任駐日オーストラリア連邦大使の信任状捧呈 - 2011年10月6日
- ^ 駐日オーストラリア国大使の信任状捧呈 | 外務省 - 2017年4月11日
- ^ 駐日オーストラリア大使の信任状捧呈|外務省 - 2020年11月27日
- ^ 駐日オーストラリア連邦大使の信任状捧呈|外務省 - 2023年4月24日
- 日豪関係のページへのリンク