復活祭
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/01 22:12 UTC 版)
概要
多くの教派で特別な礼拝(典礼・奉神礼)が行われるほか、様々な習慣・習俗・行事がある。
正教会ではギリシャ語から「パスハ」とも呼ぶ[7][注釈 1]。カトリック教会では「復活の主日」[8]とも呼ばれ、聖公会などでは「復活日」(ふっかつび)[4][9][注釈 2]や、英語から「イースター」とも呼ぶ[10][11]。「復活節」(ふっかつせつ)は、西方教会において復活祭からの一定期間を指す用法の他、プロテスタントの一部で復活祭(復活日)当日を指す用法がある[12]。
基本的に「春分の日の後の最初の満月の次の日曜日」に祝われるため、年によって日付が変わる移動祝日である。日付は変わるものの、必ず日曜日に祝われる。キリスト教が優勢な国においてはその翌日の月曜日も休日にされていることがある。欧州における主要株式・債券市場は、復活祭の前の聖金曜日、復活祭後の月曜日に休場する[13]。
東方教会と西方教会とでは日付の算定方法が異なるため、日付が異なる年の方が多い[注釈 3][14]。
日付
復活祭の日付 2011年-2025年[15][16] | ||
年 | 西方教会 | 東方教会 |
---|---|---|
2011年 | 4月24日 | |
2012年 | 4月8日 | 4月15日 |
2013年 | 3月31日 | 5月5日 |
2014年 | 4月20日 | |
2015年 | 4月5日 | 4月12日 |
2016年 | 3月27日 | 5月1日 |
2017年 | 4月16日 | |
2018年 | 4月1日 | 4月8日 |
2019年 | 4月21日 | 4月28日 |
2020年 | 4月12日 | 4月19日 |
2021年 | 4月4日 | 5月2日 |
2022年 | 4月17日 | 4月24日 |
2023年 | 4月9日 | 4月16日 |
2024年 | 3月31日 | 5月5日 |
2025年 | 4月20日 |
復活祭は移動祝日であり、もともと太陰暦にしたがって決められた日であったため、年によって太陽暦での日付が変わる。グレゴリオ暦を用いる西方教会では、毎年3月22日から4月25日の間のいずれかの日曜日、東方教会では、グレゴリオ暦の4月4日から5月8日の間のいずれかの日曜日に祝われる。
復活祭を祝う日付をいつにするかについては、古代に論争を経て、325年の第1ニカイア公会議で統一されるに至ったが、16世紀に西方教会においてグレゴリオ暦が採用されてから、正教会と西方教会で日付が異なるという現象が起きるようになり、議論が続いている。
名称の語源
パスハ、パスカ、パスクワ
英語・ドイツ語・ポーランド語等以外の多くのヨーロッパ諸言語における「復活祭」という言葉は、ギリシア語: Πάσχα(古典ギリシア語再建音:パスカ、現代ギリシア語転写:パスハ)に由来しており、その言葉も元をたどれば、アラム語の「パスハ(pascha)」で、これはユダヤ教の「過越(すぎこし)の祭り」を表す「ペサハ」(Pesach)というヘブライ語の言葉から来ている[6][17]。つまり、キリスト教の復活祭が旧約時代の「過越の祭り」を雛形とした祝い日であることを示している[6][17][18]。
ギリシャ正教会で復活大祭を「パスハ(Πάσχα)」と呼ぶのは勿論のこと、ロシア正教会・ロシア語でも復活大祭はヘブライ語・ギリシャ語起源の「パスハ(Пасха)」と呼ばれ、日本正教会でも復活大祭をパスハと呼ぶ[19]。カトリック教会においてもラテン系の国では「パスカ」(ラテン語: Pascha)、イタリア語、スペイン語ではパスクワ(Pasqua,Pascua)の呼称が一般的である。
エイレナイオスやテルトゥリアヌスは「パスハ」を、ギリシャ語の動詞「苦しむ」(ギリシア語: πάσχω[注釈 4])に関連付け、イエス・キリストの受難と結びつけて解釈したが、この誤りは彼らがヘブライ語を知らなかったため生じた。アウグスティヌスはその語源説明の誤りを正した[17]。
イースター、オスターン
復活祭を表す英語「イースター(Easter)」およびドイツ語「オスターン(Ostern)」はゲルマン神話の春の女神「エオストレ(Eostre)」の名前、あるいはゲルマン人の用いた春の月名「エオストレモナト(Eostremonat)」に由来しているともいわれる。8世紀の教会史家ベーダ・ヴェネラビリスがこれに言及し、ゲルマン人が「エオストレモナト」に春の到来を祝う祭りをおこなっていたことを記録している[17]。ただしこの説も確実ではない[4]。
注釈
- ^ 「パスハ」表記の大本はギリシア語である。ギリシア語: Πάσχαは、古典ギリシア語再建からは「パスカ」と転写し得るが、現代ギリシア語では「パスハ」。新約時代以降のギリシア語の発音はアクセントやイ音化、各種子音の発音等、かなり現代ギリシア語に近くなっていた。正教が優勢な地域におけるスラヴ系言語、ルーマニア語等における、ギリシア語に由来する教会関連の語彙の発音は、中世以降のギリシア語発音に則っている。
- ^ 「祭」の表記が教会暦において頻繁に使われる教会(正教、カトリックなど)では「復活祭」の表記が使われ、「祭」と位置づけられ呼ばれるが、「祭」の表記が比較的もしくはあまり使われない教会(聖公会、プロテスタントなど)では「復活日」という表記が一般的であり、「祝日」といった説明がなされる。プロテスタントの参照元である『キリスト教大事典』でも項目名は「復活日」となっていて、その説明冒頭において「祝日」としており「祭」とは書かれて居ない。
- ^ 春分の日の扱いが異なること、正教会では復活祭をユダヤ教の過越とともに祝わないという古い規定をそのまま守っていること、これら二つの違いが東西教会間にある。
- ^ 古典ギリシャ語再建音:パスコー、現代ギリシャ語転写:パスホ
- ^ 卵が配られる習慣は正教、カトリック、聖公会、プロテスタントに広くみられるが、正教会では「イースター・エッグ」とはあまり呼ばれない(先述の通り、復活祭が「イースター」とはあまり呼ばれないため)。ただし日本正教会公式サイトには記述が無いものの([1])、地方教会のウェブサイトでの用例はある([2])。
- ^ ちなみに日本のイースターでも一般的に採用されている西方教会の日付の場合、日本の会計年度の始まりである4月1日を挟んで毎年変動するため、復活祭が1回ある年度だけでなく、2回ある年度(2015年度)、1回もない年度(2016年度)が混在する(上表参照)。
出典
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- ^ a b カトリック教会の出典:四旬節 断食(大斎・小斎) カーニバル(カトリック中央協議会)
- ^ a b 聖公会の出典:復活祭を迎える(日本聖公会 東京教区 主教 植田仁太郎)
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- ^ 淡路福音ルーテル教会: 3月31日イースター礼拝と洗礼式がありました
- ^ イースター礼拝にいらっしゃいませ - 日本キリスト改革派 勝田台教会
- ^ イースター礼拝 :: 川崎バプテスト教会
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- ^ “史上空前の春、はじまる。” 息をのむ興奮、瞬きができないほどの感動 !! 大人も子どもも夢中になる、パーク史上最大のスケールで繰り広げる春イベント!(株式会社ユー・エス・ジェイ:ニュース 2012年12月18日)
- ^ 盛り上がりを見せ始めたイースター商戦 購買意欲を刺激するかわいいタマゴグッズやイベントが目白押し(マイナビニュース 2012年3月19日)
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- ^ イースター商戦白熱 ウサギや卵ちなみ菓子やパン次々発売(神戸新聞NEXT 2015年4月4日)
- ^ 伝統的な行事である正月、新たに定着するハロウィーンなどイベントにおける加工食品市場を調査(2014年見込)(株式会社富士経済 2014年10月16日)
- ^ “【流通】「イースター」―日本で定着しない理由”. ネットアイビーニュース. (2013年3月25日) 2020年2月26日閲覧。
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