復活祭
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復活祭に関する習俗
復活祭のあいさつ
日本では、「復活祭、おめでとう(ございます)」、「ハッピー・イースター」(Happy Easter)などが使われる。英語の「Happy Easter!」以外に、ロシア語の「フリーストス・ヴァスクリェース」(キリストは復活した)に対して「ヴァイーストゥヌ・ヴァスクリェース」(まことに復活した)と答える習慣が世界的には比較的広く知られている。
食品
西方教会と東方教会では、伝統的に四旬節および大斎の期間中禁じられていた肉、乳製品、卵(東方教会では魚肉も)が復活祭の日に初めて解禁になるため、復活祭の正餐の食卓にはこれらの動物性食品が並ぶ。また、卵、バター、乳などをふんだんに使った復活祭独特の菓子パンやケーキが作られる。家禽を飼っている家庭では、四旬節および大斎の期間中に生まれたために食べられずにたまっていた卵をまとめて消費するという理由もある。
ドイツでは、オスターフラーデンという円形のパンを食べる。パン生地をウサギの形に成形するとオスターハーゼ(Osterhase)となる[50]。
スイスのドイツ語圏のオスターフラーデンは、アーモンドとレーズンのタルトである[51]。
イタリアの復活祭の伝統料理は地方によって異なるが、主菜には子羊が好まれる。もっとも有名な食品はコロンバ・パスクワーレ(復活祭のハト)という、ハトをかたどった菓子パンであろう。パン生地に卵を殻ごと入れて焼いた、クッドゥーラ(cuddura)やプッドリーケ(puddhriche)というパンを作る地域も多い。シチリア島ではペコレッレ(pecorelle)と呼ばれるマルチパンでできた子羊が食べられる。復活祭の翌日の月曜日はパスクエッタ(pasquetta、小復活祭の意)と呼ばれる祝日で、戸外でピクニックをする日となっている。
ギリシア神話の神々の信仰が盛んだったシチリアでは、復活祭の伝統行事の中に死から蘇るキリストとハーデースから帰還するペルセポネーの習合と、デーメーテールやアドーニス信仰の名残りが見られる[52]。
スウェーデンでは、ゆで卵をニシンの酢漬けやアンチョビなどと供する。主菜は家庭によって子羊の脚またはサケが供される[53]。
フィンランドでは、東方教会の影響下にあったカレリアではパスハを、その他の地域ではマンミ(Mämmi)というライ麦粉と廃糖蜜のプディングを食べる[54]。
アイスランドでは、子羊肉またはマトンの燻製と、米またはオオムギのミルクプディングを食べる習慣があった[55]。
ポーランドの復活祭の正餐には、ゆで卵、ソーセージ、乳飲み豚のロースト、ハム、おろしたセイヨウワサビなどが並ぶ。デザートにはマズレクやクグロフに似たババ・ヴィルカノツナを食べる[56]。
アカディアには、朝食にゆで卵、昼食に卵とハムまたは塩漬け豚肉、夕食にはオムレツかフラン(パンケーキ)にメープルシロップかメープルシュガーをつけて食べる習慣があった[57]。
イースター・エッグ(復活祭の卵)
イースター・エッグ、または復活祭の卵とは、復活祭に出される、彩色や装飾を施されたゆで卵である[58]。
卵は大斎(四旬節)に節制される食品である(ただしこうした断食・節食の習慣は、西方教会では大幅に簡略化されるかもしくは消滅している)。卵が使われる意義については、見た目には動かない卵から新しい生命が生まれ出ることから、死と復活を象徴しているとされる。赤く染められる事が多いが、その赤い色は十字架上で流されたキリストの血の色と、血は生命を表すことから(レビ記 17:11)復活の喜びを表すとされる[59][60][61]。
ウクライナには表面に模様を描いていくプィーサンカと呼ばれる復活祭の卵がある[61]。ルーマニアには卵の表面をビーズで装飾する復活祭の卵がある[62]。
国や地域によっては、復活祭の際に庭や室内のあちこちに隠して子供たちに探させるといった遊びもおこなわれる。
また、上記のイースターエッグの探し物遊びにちなんで、ソフトウェアの中に開発者がまぎれこませたメッセージ(開発チームスタッフへの謝辞やスタッフロール)のことも「イースター・エッグ」と呼ばれる[58]。
この習慣の起源については様々な説がある。教会の伝承の一つとして、マグダラのマリヤが、キリストの復活を知らせるためにローマ皇帝に謁見した際、赤い卵を献上したことに由来するというものがある[59]。他方、その由来を春の到来を祝う異教に求める見解もある(ただしこの見解をとる教会においても、上述の意義付けは同様である)[60]。
卵の染め方・柄には下記画像に挙げている諸例のほかにも様々なものがあり、各国・各地域内でも多様である。
イースター・バニー(復活祭のウサギ)
上述のイースター・エッグは東方教会・西方教会を問わない古くからの習慣であるが、イースター・バニー(復活祭のウサギ)は西欧(西方教会)のみの習慣であり、16世紀から17世紀にかけて定着したものである[63](起源を15世紀、定着の始まりを19世紀とする者もいる[64])。
英語圏やドイツでは、ウサギをかたどったチョコレートが作られる[64]。ウサギは多産なので豊穣の象徴であるとされる[60]。
イースターリリー
キリスト教西方教会で、またその影響を受けた日本のキリスト教会でも、復活祭にテッポウユリを教会の祭壇に飾るなどする習慣があり、これをその英語名からイースターリリー(Easter lily=復活祭のユリ)と呼ぶ。
注釈
- ^ 「パスハ」表記の大本はギリシア語である。ギリシア語: Πάσχαは、古典ギリシア語再建からは「パスカ」と転写し得るが、現代ギリシア語では「パスハ」。新約時代以降のギリシア語の発音はアクセントやイ音化、各種子音の発音等、かなり現代ギリシア語に近くなっていた。正教が優勢な地域におけるスラヴ系言語、ルーマニア語等における、ギリシア語に由来する教会関連の語彙の発音は、中世以降のギリシア語発音に則っている。
- ^ 「祭」の表記が教会暦において頻繁に使われる教会(正教、カトリックなど)では「復活祭」の表記が使われ、「祭」と位置づけられ呼ばれるが、「祭」の表記が比較的もしくはあまり使われない教会(聖公会、プロテスタントなど)では「復活日」という表記が一般的であり、「祝日」といった説明がなされる。プロテスタントの参照元である『キリスト教大事典』でも項目名は「復活日」となっていて、その説明冒頭において「祝日」としており「祭」とは書かれて居ない。
- ^ 春分の日の扱いが異なること、正教会では復活祭をユダヤ教の過越とともに祝わないという古い規定をそのまま守っていること、これら二つの違いが東西教会間にある。
- ^ 古典ギリシャ語再建音:パスコー、現代ギリシャ語転写:パスホ
- ^ 卵が配られる習慣は正教、カトリック、聖公会、プロテスタントに広くみられるが、正教会では「イースター・エッグ」とはあまり呼ばれない(先述の通り、復活祭が「イースター」とはあまり呼ばれないため)。ただし日本正教会公式サイトには記述が無いものの([1])、地方教会のウェブサイトでの用例はある([2])。
- ^ ちなみに日本のイースターでも一般的に採用されている西方教会の日付の場合、日本の会計年度の始まりである4月1日を挟んで毎年変動するため、復活祭が1回ある年度だけでなく、2回ある年度(2015年度)、1回もない年度(2016年度)が混在する(上表参照)。
出典
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- ^ “史上空前の春、はじまる。” 息をのむ興奮、瞬きができないほどの感動 !! 大人も子どもも夢中になる、パーク史上最大のスケールで繰り広げる春イベント!(株式会社ユー・エス・ジェイ:ニュース 2012年12月18日)
- ^ 盛り上がりを見せ始めたイースター商戦 購買意欲を刺激するかわいいタマゴグッズやイベントが目白押し(マイナビニュース 2012年3月19日)
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- ^ イースター商戦白熱 ウサギや卵ちなみ菓子やパン次々発売(神戸新聞NEXT 2015年4月4日)
- ^ 伝統的な行事である正月、新たに定着するハロウィーンなどイベントにおける加工食品市場を調査(2014年見込)(株式会社富士経済 2014年10月16日)
- ^ “【流通】「イースター」―日本で定着しない理由”. ネットアイビーニュース. (2013年3月25日) 2020年2月26日閲覧。
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