天皇盃全国都道府県対抗男子駅伝競走大会 天皇盃全国都道府県対抗男子駅伝競走大会の概要

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天皇盃全国都道府県対抗男子駅伝競走大会

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/14 19:19 UTC 版)

天皇盃全国都道府県対抗男子駅伝競走大会
開催地 広島県
開催時期 毎年1月の第3また第4日曜日
種類 ロードレース英語版
距離 48km
最高記録 2時間17分00秒(長野、2024年)
創立 1996年平成8年)
受益者 日本陸上競技連盟
公式サイト ひろしま男子駅伝

概要

2007年第7区・新己斐橋平和大通り
2007年第7区・新己斐橋(平和大通り)

京都新聞社主催による全国都道府県対抗女子駅伝競走大会1992年平成4年)の第10回大会を終えた際に、青木半治日本陸連会長が、「男子でも同様の大会をできないだろうか」と帖佐寛章陸連副会長に検討を指示[1]。男子はロードレース、駅伝過多で充電期間が少なく、新たに全国大会が増えれば強化育成に問題をきたすことから、既成の大会を中止して新大会を誕生させるという方法が取られることになった[1]。ここで候補に挙がったのが中国駅伝で、同大会は"駅伝のメッカ"である広島県で開催される大会で[1]箱根駅伝に次いで日本で2番目に古い駅伝であったが[1]、主催の中国新聞社、広島陸協は、苦渋、苦難の選択により要請を受け入れた[1]1931年昭和6年)以来、62回続いた中国駅伝を中止したため、非難の声も渦巻いた[1]。こうして1996年(平成8年)に"改革駅伝"として「全国都道府県対抗男子駅伝競走大会」がスタート[1]NHKも加わり[注 1]、地元広島放送局を制作局として、放送業務を担うこととした。

広島市中区平和記念公園前にスタート・フィニッシュ地点を設定。スターターを広島県知事が務めている。コースは女子大会と若干違っていて、女子大会の半数に当たる公道(平和大通り宮島街道・宮島口・駅前・城南・中広)を往復。廿日市市(旧・大野町)のJR前空駅東側を折り返し点として、総距離48kmを7人でつないでいく。

女子大会と2週連続で開催されるように日程を設定。例年は、本大会の翌週に大阪国際女子マラソン、翌々週に別府大分毎日マラソンと、4週連続で日曜日に大きなロードレース大会が実施されている。2021年(令和3年)にも1月24日に2020年度(第26回)大会の開催を予定していたが、前年(2020年)の大会直後から日本国内で新型コロナウイルス(COVID-19)感染症が流行している影響で、女子大会と共に中止された[2]。2022年には、COVID-19感染の再拡大を背景に広島県がまん延防止等重点措置を適用したことを受けて、1月23日に予定されていた男子大会のみ中止[3][注 2]

本大会の優勝チーム(県)には天皇盃(2010年以降)が賜與される他、駐日チェコ共和国大使杯(2023年以降)、中国新聞優勝旗、日本陸連会長杯、NHK杯、文部科学大臣杯が授与される。

最多優勝は、長野県の10回である。

大会運営について

名称
天皇盃 全国都道府県対抗男子駅伝競走大会
趣旨
47都道府県の参加を得て、日本男子陸上競技の中・長距離選手の強化育成と競技の普及を目的とする
主催
公益財団法人日本陸上競技連盟
共催
中国新聞社
NHK
主管
一般財団法人広島陸上競技協会
後援
スポーツ庁・広島県・広島市・廿日市市・公益財団法人広島県スポーツ協会・公益財団法人広島市スポーツ協会・広島市学区体育団体連合会・広島県教育委員会広島市教育委員会・廿日市市教育委員会・公益財団法人久保スポーツ振興基金・中国放送(RCC)
特別協賛
大創産業(2015年から)
協賛
青山商事(『洋服の青山』名義、2024年から)
特別協力
ミズノ(2018年まで)
デサント(2019年から)
協力
シチズン時計マツダ中国電力フジタコカ・コーラボトラーズジャパン

備考

  • 民放のRCCが後援に入っているのは、前身の「中国駅伝」の名残である。なお、「中国駅伝」時代はテレビ・ラジオ(いずれも広島ローカル)の双方で放送していたが、本大会における自社中継はラジオのみである。
  • RCCのラジオ中継は2009年までは「ロームスポーツスペシャル」として放送してきたが、ロームが大会筆頭スポンサーから撤退した2010年 - 2014年は冠スポンサーなし(2010年はアダプトゲン製薬が1回限りながら提供、2011年からはジャパネットたかたが、2012年からは大会公式車両提供社のマツダが、また同年に「1本満足バー」が提供に参加)。2015年から広島県に本社を置く100円ショップ最大手の大創産業(ダイソー)が冠スポンサー(ダイソースポーツスペシャル)を担当。
  • テレビはNHK総合テレビが、ラジオはRCCがJRN系列(一部非加盟局でも放送…後述)で全国放送を担当。
    • NHKでテレビ中継される他の駅伝中継がラジオでもサイマル放送されているのに対し、ここではNHKで放送されるのはテレビのみであるため、民放ラジオで全国ネットで放送される措置を取っている。
  • 当該チームのナンバーカードは上部に「DAISO」(大創産業、2019年までは「The ダイソー」)表示)、下部に「洋服の青山」が全チーム共通で表示されている。
    • 第20回 - 第24回大会では各都道府県チームごとに地元にゆかりのある企業による「ふるさとスポンサー」の制度があり、ふるさとスポンサーに参加している企業がある場合は当該チームのナンバーカード下部に参加企業名が表示されていた。その後、第25回 - 第28回大会では、ナンバーカード下部に「○○県民共済」(都道府県民共済、○○には当該チームの都道府県を表示)[注 3]が全チーム共通で表示されていた。
  • 2015年以前の過去の特別協賛社はコカ・コーラ(1996年)→NTTドコモ(1997年 - 1998年)→ローム(1999年 - 2009年)→NTTデータ(2010年 - 2013年)→日本化成(2014年)である。なお、このうちコカ・コーラは2015年以降大会協賛社の一社となった。
  • 第1回から一貫してマツダが大会公式車両を提供している。他には防府読売マラソンにも提供している。かつては、福岡国際マラソンびわ湖毎日マラソン全国高校駅伝全日本大学駅伝東日本縦断駅伝別府大分毎日マラソンや1985年のワールドカップマラソン広島大会[4][5]、1994年の広島アジア大会にも提供していた。
  • 広島市内では本大会開設以前にも1985年4月に先述の第1回IAAFワールドカップマラソン広島大会(テレビ中継:女子=テレビ朝日広島ホームテレビの共同制作、男子=フジテレビ制作著作、テレビ新広島制作協力、ラジオ中継:男女ともに ニッポン放送と中国放送の共同制作)、翌1986年11月に第1回IAAFワールド・チャレンジ・ロードリレーin広島[6](世界初のIAAF主催国際駅伝大会、テレビ中継:フジテレビ制作著作・テレビ新広島制作協力、ラジオ中継:ニッポン放送と中国放送の共同制作[注 4][注 5])の、いずれも男女共催のロードレース大会が開催されたが、両大会ともその1回限りで終了している[注 6]。このほか、毎年滋賀県で開催されていたびわ湖毎日マラソンでも1994年の第49回大会では広島アジア大会のマラソンコースを使って「毎日国際マラソン」の名称で行われた。

出場資格

原則として、選手は「日本陸上競技連盟の登記登録者」かつ「日本国籍を有する男子競技者であること」となっている。ただし外国籍競技者であっても、日本で生まれ、引き続き生活拠点を日本国内としている場合は出場できる。

出場チームは原則として、現在登録している陸上競技協会(陸協)の都道府県チームからとなる(おおむね下記)。

  • 中学生高校生 : 所属する学校の所在地
  • 大学生 : 「出身高等学校の所在地」「大学所在地」「居住地」のいずれか(陸協登録時に選択可)
  • 社会人 : 実業団やクラブ等に加入している場合はその本拠地。個人登録の場合は「本籍地」「居住地」「勤務地」のいずれか(陸協登録時に選択可)

ふるさと競技者制度

本大会(及び全国女子駅伝)独自の特徴的な制度として、郷土色の濃いレースを演出するための『ふるさと競技者制度』が導入されている。社会人・大学生選手は、出身高等学校または出身中学校の所在都道府県から当該年の登録にかかわらず特別に出場することができるという制度であり、これにより社会人・大学生選手は生まれ育った都道府県からもおおむね出場可能となっている。

導入後に何度か適用基準が見直されており、第13回大会(2008年)から各競技者の適用回数上限(4回)が撤廃されたほか、選手の出身中学校と出身高等学校の所在都道府県が異なる場合、出身高校所在地からの出場に限定されていたものが、第15回大会(2010年)以降は出身中学校所在地からの出場も選択可能となった。また、現在は適用年齢制限なし、適用区間は各チーム1区間までとなっている。

本制度は結果的に有力競技者が特定都道府県だけに集まり、日本全体での競技レベル向上には必ずしもつながらないという反省から生まれたものでもある。この点については箱根駅伝が抱える問題の項も参照。

チーム編成

チームは監督1名、コーチ2名、選手10名の合計13名。競技者にはジュニアA選手が3名以上、ジュニアB選手が2名以上含まれていなければならない。

  • ジュニアA競技者:その年の高校1年生から3年生に該当する年齢の競技者
  • ジュニアB競技者:その年の中学2年生または3年生に該当する年齢の競技者(すなわち、中学1年生は出場不可)

注釈

  1. ^ NHKは前身の中国駅伝を、西日本地域向けにラジオ中継していた。
  2. ^ 女子大会については、開催地の京都市内がまん延防止等重点措置を適用されるほどの感染状況に至っていないことから、当初の予定に沿って1月16日(日曜日)に2年ぶりの開催へ漕ぎ着けた。
  3. ^ 北海道は「道民共済」、東京は「都民共済」、大阪・京都は「○○府民共済」、神奈川は「全国共済」の表示となっていた。神奈川が「全国共済」となっているのは、独立生協系の神奈川県民共済生活協同組合による「神奈川県民共済」と区別するためである。なお、第25回大会では鳥取・徳島・高知・沖縄の4県については県民共済が行われていなかったことから「都道府県民共済」がそのまま表示されていた。
  4. ^ 名古屋地区NRN加盟の東海ラジオではなく非加盟のCBCラジオにネットされたが、12:30から放送の『0時半です松坂屋ですカトレヤミュージックです』の提供スポンサーとの兼ね合いで13:00からの飛び乗りネットとなった。
  5. ^ 男子の部はニッポン放送アナウンサーの深澤弘、女子の部はRCCアナウンサーの深山計が実況を担当(肩書はいずれも当時)。なお深山は同大会中継に携わったことがきっかけで翌々年共同制作相手のニッポン放送に移籍することになる。
  6. ^ なお、後者については翌々年の1988年に舞台を千葉県に移し国際千葉駅伝として復活したが(引き続きフジテレビがテレビ中継を担当)、2014年の大会を以て終了している。
  7. ^ 女子大会はジュニアB選手の起用区間のみが固定で、ジュニアA選手および大学生・社会人の選手はそれ以外のどの区間にも区別を問わずエントリー可能である(ただしジュニアA選手が必ず3区間以上を担当しなければならないというルールはある)
  8. ^ 2017年は福岡局より派遣された坂梨哲士(当時福岡局)、2018年は下境秀幸(当時広島局)、2019年は曽根優(当時広島局)、2020年は浅井僚馬(当時広島局)、2023年は佐藤洋之(当時広島局)、2024年は地元広島局より高木修平がメイン実況した。
  9. ^ 香川県西日本放送ラジオは第1・2回大会の時点ではNRN単独加盟だったがネットした。
  10. ^ ラジオ部門の分社(2001年10月)と、それに続くテレビ制作子会社の統合後(2004年10月)は、アナウンサーはTBSテレビの所属となっている。
  11. ^ ラジオ部門の分社後(2021年4月)も、アナウンサーは毎日放送所属となっている。
  12. ^ ラジオ部門の分社(2013年4月)と、それに続く持株会社化によるテレビ部門の分社後(2014年4月)は、アナウンサーはCBCテレビの所属となっている。
  13. ^ 2018年までは平日ナイターオフ夜の帯番組に内包並びに時間変更して放送していたが、TBSラジオが野球中継から撤退した影響で、2019年は6 - 9時台の『プレシャスサンデー』に内包した。2020年は17時台後半枠で放送(更にその玉突きを受ける形で本来であれば該当の時間帯で放送している『横山だいすけ はじめのいっぽ』は該当週のみTBSラジオでは放送を休止し、ネット局であるラジオ関西への裏送り対応を実施する[8])。なお、2019年秋まで12時台前半枠で放送していた『道上洋三の健康道場』(ABCラジオ制作)は『もぎたてラジオ』と同様の対応だった。2020年は12時台前半枠の『RADIO-EX』(単発枠)はそのまま本番組(12:15までは一部地域のみネットの直前情報番組)に振り替えられ、12時台後半枠の『千葉ドリーム!もぎたてラジオ』は時間変更としていた。
  14. ^ 2023年4月より15時台に放送を開始した。
  15. ^ 原則毎日放送制作のネット受けだったが、小倉競馬第3場開催時はKBCが自社制作。ネット受けの場合15:00 - 15:15までKBCに向けて裏送り。
  16. ^ プロ野球シーズン中(原則4月 - 9月)はラブエフエム国際放送が競馬中継をネット受けする。
  17. ^ 2018年までは『中村こずえのみんなでニッポン日曜日!』、2019年からは『中村こずえのSUNDAY HAPPY MAP』。2021年3月で終了し、同局が裏送りで放送していた当該枠は廃枠となった。
  18. ^ 2021年は、「中村こずえのSUNDAY HAPPY MAP」をGBSのみ14:00 - 14:56で放送。それ以外の局では休止。
  19. ^ ネット局は番組内で紹介された順に記述。平年は本大会の中継枠を15:15まで編成しているため、TBS以外の全局でネットを完全に返上している。
  20. ^ 広島県出身のバンド。

出典

  1. ^ a b c d e f g 帖佐寛章・梶原學『マラソンへの憧憬 帖佐寛章伝』、ベースボール・マガジン社、2008年、220-222頁。
  2. ^ 全国都道府県対抗駅伝、正式に中止を発表「2021年度大会に襷をつなぎ」朝日新聞社『4years』2020年9月18日)
  3. ^ ひろしま男子駅伝が中止 広島県内での新型コロナ感染拡大受け 中国新聞 2022年1月12日
  4. ^ 1985 WORLD CUP MARATHON HIROSHIMA, https://www.youtube.com/watch?v=-oFya8DtVOE 2021年12月12日閲覧。 
  5. ^ 2p01k ワールドカップマラソン・記念碑”. yutaka901.fc2web.com (2007年10月25日). 2021年12月12日閲覧。
  6. ^ 1986 IAAFワールドチャレンジロードリレー”. 2022年1月22日閲覧。
  7. ^ NHKスポーツ@nhk_sportsのポスト”. X(旧・Twitter) (2024年1月21日). 2024年1月21日閲覧。
  8. ^ <お知らせ>「これまで番組で呼びかけた皆さんのメッセージを紹介!」2020年1月19日(日)放送分(TBSラジオ『横山だいすけ はじめのいっぽ』毎週日曜日夕方5時30分から放送中)※今回はラジオ関西でのみ放送”. TBSラジオ(2020年1月18日作成). 2020年1月19日閲覧。
  9. ^ NBCラジオ佐賀を含む。
  10. ^ RCCラジオ発 全国AMラジオ38局ネット特別番組(RCCラジオ2020年12月28日付プレスリリース)
  11. ^ 青学大の原監督と駿河台大の徳本監督がラジオ共演「キラキラとギラギラ」”. スポーツ報知 (2022年1月23日). 2022年1月24日閲覧。
  12. ^ 駅伝企画「支える」(中国新聞)
  13. ^ “男子駅伝のテーマ曲完成”. 中国新聞. (2009年12月4日). オリジナルの2009年12月8日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20091208173958/http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn200912040063.html 2024年3月15日閲覧。 


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