大連市 交通

大連市

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/18 05:37 UTC 版)

交通

鉄道

大連駅
大連北駅 ロビー

大連駅瀋陽長春などに向かう旅客列車の起点である。南口にある駅舎は、日本の統治時代の1937年(昭和12年)に建てられたもので、上野駅と似ている。設計は南満洲鉄道の太田宗太郎で、2階が出発、1階が到着と空港のようなつくりになっている。2000年代に設けられた北口には、開発区へ向かう大連地下鉄3号線の駅と凱旋広場がある。

なお、哈大旅客専用線の起工式が2007年8月23日、吉林省長春市で行われた。全長904キロメートル、23駅の路線はほぼ在来線に沿って建設され、2012年に完成した。この路線の開業に合わせて北郊外の南関嶺に大連北駅も建設された[21]

2015年12月には大連駅・大連北駅から金州駅および荘河北駅を経由して丹東駅に至る丹大都市間鉄道が開業した。

空港

大連周水子国際空港(DLC)

大連周水子国際空港はかつては大日本帝国海軍飛行場として使用され、周水子にあるのでその名称がある。市街地の北西に位置し、大連中心部からは車で20分ほどの距離である。2015年5月22日には大連地下鉄2号線が開通したことで利便性が向上した。近年は利用者の急激な増加により慢性的な遅延が発生していたため新空港が計画された。

新空港として計画されている大連金州湾国際空港は、海上空港で、2010年12月から周辺地域整備工事が動き出し、2013年から海域埋め立てが始まった。場所は金州湾の沖合で、金州区市街の西に当たる。2025年開港予定。

港湾

大連港(2009年6月)

大連の東の大連湾に面した大連港は日本統治時代からアジア有数の港で、不凍港である。4つの埠頭があり、このうちひとつをロシアが、3つを日本が建設した。満鉄の線路が残る。満洲国時代は日本から満洲への移住者達の玄関口として栄えた。また第二次世界大戦後、日本人大陸引揚者の多くがこの港から舞鶴へ帰国した。隣に新港も作られ、また北郊外(開発区)の大孤山半島に鉱石・石油を扱う新港も作られた。

軍用の旅順港に対して、大連の西部の渤海に面して旅順新港が20世紀末・21世紀初頭に開鑿され、使用されている。ここからは山東省煙台への渤海鉄道フェリー東営へのフェリーなどが運航されている。

路面電車・トロリーバス・BRT

有軌電車(大連駅前)

路面電車・トロリーバス・BRTは大連公交客運集団によって運営されている。

BRT(快速公交)は2008年1月18日に1号線にあたる興工街⇔張前北路間の14km区間が開通した。2007年5月中旬から建設をスタートし、わずか7ヶ月あまりで路線を作り上げた。車両はドイツの技術を採用した64台で運行している。常々渋滞に悩まされている華北路(大連空港⇔西安路エリア)では中央部分を専用道路と利用しており、一般車両は進入できない。運賃は全区間一律1元、明珠ICカード使用で0.95元。

路面電車(大連有軌電車)については日本統治時代に南満洲鉄道電気作業所(のちの南満洲電気→大連都市交通)によって建設されたのが始まりである。中華人民共和国成立後に多くの区間が廃止になったが、2017年現在は201路と202路の2系統が運行されている[22]。なお、202路延伸線については名目上は202路の延伸線であるが、車両は路面電車ではなく快軌(軽軌)仕様である[23]。今、大連地下鉄12号線として表記、使われている。

トロリーバスは101路の1系統のみ存在する。馬欄広場と大連駅を結び、終点の大連駅の手前約500メートルを除き、黄河路を通っている。運賃は全区間一律1元、明珠ICカード使用で0.90元。学生カードに関しては0.40元。

地下鉄・快軌

地下鉄2号線

2002年に大連駅北口から開発区を通り、金石灘までの48.58kmを52分で結ぶ3号線が開業したのが始まりである。運賃は行き先により1〜8元で変動する。開発区経由で金州区へ向かう3号線の支線は2008年7月8日より試験運転が開始され、3ヶ月の試験運転を経て、2008年12月28日に営業が開始された(ただし最終列車は九里20時発となる)。大連駅から九里までの運賃は7元である。

2009年には1号線および2号線の建設工事が開始された。1号線は大連北駅付近から南下して西安路星海広場を経て、西へ旅順南路に沿って河口へ、2号線は海之韻から西へ中山広場青泥窪橋・西安路・遼寧師範大学・馬欄広場を経て北へ方面へ曲がり、大連国際空港を通り大連北駅へ向かう計画である。2015年5月22日には2号線、10月30日には1号線が部分開業した。

大連地下鉄13号線開通初日 開発区駅

2023年7月現在の大連の地下鉄・快軌路線は次の通りである[24]

大連市交通局路線
路線番号 システムコード 区間 キロ程 駅数 ラインカラー 備考
201路 L1 / T1 興工街 - 大連火車駅 - 海之韻公園 11.0km 20駅 N/A 1909年開業
202路 L2 軽軌線:興工街 - 黒石礁 - 小平島前 13.0km 19駅 N/A 1911年開業
1号線 M1 姚家駅 - 河口駅 28.3km 22駅 林檎緑 2015年開業
2号線 M2 辛寨子駅 - 海之韻駅 37.3km 29駅 深海青 2015年開業
3号線 R3 本線:大連駅 - 開発区駅 - 金石灘駅 49.2km 13駅 桃色 2002年開業
支線:開発区駅 - 九里駅 14.3km 7駅 2008年開業
4号線 M4 営城子駅 - 梭魚湾駅 23.0km 17駅 茶色 2026年開業予定
5号線 M5 虎灘新区駅 - 後関村駅 23.8km 18駅 赤色 2023年4月全線開業
12号線 R2 河口駅 - 旅順新港駅 40.3km 8駅 紫色 2014年開業
13号線 R4 九里駅 - 普蘭店振興街駅 43.2km 11駅 黄色 2021年九里-普兰店振興街区間開業

タクシー

2006年5月25日から初乗り3kmまでが8元、以降200m毎に0.4元ずつ加算、停車中は5分毎に1km分加算、22時から翌朝5時までは3割増というルールを定めている。慣習では1角(0.1元)単位は四捨五入で精算している。例えばメーターが示す「9.60元」「10.00元」「10.40元」。全て運転手に支払うのは10元で問題ない[25]。また、中国の一部他都市で見られる10km/h以下の低速運転時の待機追加料金は取っていない[26]。また、小型の三輪タクシーも多く走っている。

なお、市内4区は2009年9月末までに、全市レベルでは2011年6月までに全タクシーにGPSリアルタイムオンラインポジショニング管理システムが搭載される。具体的にはGPS/グローバル・ポジショニング・システム、GPRS/汎用パケット無線システム、LED情報発信システム、キャッシュカードやICカードで支払いするための無線POSシステムなどが搭載される。

大連市内のタクシー呼び出し電話番号は「96826」。

バス

  • 長距離バス
    瀋陽錦州北京などへの長距離バスは大連駅前南側の勝利広場付近のバスターミナルなどから出ている。北京行きは9時間半、瀋陽行きは4時間20分を要する。
  • 中距離バス
    金州、開発区行きの中距離バスは大連駅前南側、北側の建設街バスターミナル、長江路沿いの北崗橋バスターミナルから、旅順行きの中距離バスは、大連駅前南側、北側の建設街バスターミナル、黒石礁のバスターミナルから出ている。

道路

一般道路には、

などがある。

高速道路は次の通り。

瀋陽⇔大連間を結ぶ全長375kmにも及ぶ高速道路。1984年6月から工事が始まり、1990年9月1日に正式開通。1993年4月末までは中国最長の高速道路区間だった(ちなみに現在の最長は同三高速道路の約5300km)。途中に鞍山営口遼陽などを経る。瀋陽を北へ経た後、その先は京哈高速公路(北京〜瀋陽〜長春ハルビン)でさらに北へ接続している。大連市が管轄している区間は138.545kmで全工程両側8車線。2010年4月30日から「瀋海高速道路・大連管段」と名称変更。詳細は既に開通している山東省・煙台港との渤海海峡通道を整備・連結させ、海南省海口まで繋がる予定。
鶴崗丹東荘河大連を結ぶ全長1474kmの高速道路である。
    • 丹大高速は、鶴崗丹東荘河大連を結ぶ全長260km(延長ルート18.07kmを含む)の区間。2005年9月28日に正式開通。それまで大連⇔丹東間で一般道路で4時間以上かかっていたところを、3時間程度にまで短縮に成功した。全行程両側4車線。
  • 長興島疏港高速公路
瀋海高速公路K300地点から長興島までの全長35.310km。2010年10月28日に開通。全行程両側4車線。
  • 大連湾港疏港高速公路
大連湾から開発区・振興路までの全長4.492kmと短いが、丹大高速道路への重要な中継点となる。2009年5月15日に建設開始。全行程両側4車線。
  • 大窯湾疏港高速公路
大窯湾保税港区⇔開発区⇔金州区⇔金州区三十里堡までの全長28.944km。2007年10月に一部開通。保税港区区間7.234kmについては2009年5月31日に開通して全線開通となった。なお区間の9.836kmは両側8車線、残る19.108kmは両側6車線である。金州区三十里堡からは瀋海高速公路へと接続される。
  • 皮砲高速公路
普蘭店区皮口街道から金州区砲台街道までの全長44.015km。2009年10月に建設開始。全行程両側4車線。瀋海、鶴大、長興島の各高速公路へと接続される。
  • 荘蓋高速公路
荘河市昌盛街道市場村から蓋州市までも結ぶ全長100.820km。2009年10月に建設開始。全行程両側4車線。
  • 土羊高速公路
2008年8月16日開通、2005年末から34億元を投資して建設された。旅順口区・羊頭窪旅順新港(山東省煙台とを結ぶ煙大鉄路フェリーポートのすぐそば)⇔甘井子区土城子村(大連湾)までの全長56.77km(一般道路2.47kmを含む)の区間。全行程両側4車線。土城子村から瀋海、丹大の各高速公路へと接続される。

バイパス道路

2008年末の段階で大連市の自動車保有台数は64万台、1日200台以上のペースで増加しているが、交通インフラの整備が追いついておらず朝晩のラッシュアワーの渋滞は益々激しさを増している。このため、他の公共交通機関への分散や現在ある東西方向の疎港路バイパス(1994年開通,全長7.5km)、南北方向の東北路バイパス(1996年11月開通,全長10km)、西部大通道(2006年12月開通,2010年12月に延伸,全長12.8km)に加えて、2009年9月1日に東聯路バイパス(全長11.3km)が開通したが、発展にまだまだ追いついていない状態。

今後は南北向きは華北路バイパス(18km)、大連湾海底トンネル(2013年頃,10.7km)、星海湾海上大橋(2015年頃、6km)、東西向きは中華路バイパス(11km)、東方路バイパス(11.5km)、五一路バイパス(7km)、南部通道(10km)などの建設が計画されている。

自転車

現在、自転車の運転は禁止となっているが、禁止以前から所有していた自転車の運転は認められている。また市内の自転車専門店やカルフールなどの大型スーパーで自転車の販売が行われており、有名無実のものとなっている。しかし大連市内は坂が多いため、元々自転車の姿はあまり見かけない。


  1. ^ 水内俊雄, 「植民地都市大連の都市形成」『人文地理』 37巻 5号 1985年 p.438-455, doi:10.4200/jjhg1948.37.438
  2. ^ 『母を讃える』、1949年7月5日発行、高知県教員組合、P25
  3. ^ “沓氏县”原是笔误
  4. ^ Dalian Statistics Yearbook 2008
  5. ^ 出典(中国語)
  6. ^ 县级以上行政区划变更情况 - 中華人民共和国民政部
  7. ^ 辽宁省 - 区划地名网
  8. ^ 新中国成立后大连地区行政建置 - 行政区划网
  9. ^ 米中摩擦で日本に漁夫の利、各市からラブコール”. JB PRESS (2019年5月17日). 2019年5月23日閲覧。
  10. ^ 出典
  11. ^ しばらく前に、大連市内の大連交通大学と大連交通大学の軟件学院が、それぞれ大連開発区の大黒山西側と旅順口区の渤海沿岸に設立され、さらに2007年には、白銀山トンネルの東側の旅順南路沿いに、北に大連外国語学院(外国人用の漢学院、社会人教育部を除く)、南に大連医科大学(付属病院を除く)が引っ越して、今後大連市街区の大学を徐々に郊外へ移さざるを得ない状況になってきている。
  12. ^ 戦前大連にあった弥生台小学校は大連市実験小学に、大連第一中学は現在大連理工大学の培訓部(社会人教育部)に、大連化工学院は大連理工大学化工学院に、満鉄試験所は化物所の別院になっている。旅順にあった旅順高校は中国人民解放軍 海軍司令部に、旅順工科大学は海軍病院になっている。満洲国・関東州の高等教育機関も参照。
  13. ^ 桜の風 公式ページ Archived 2012年10月18日, at the Wayback Machine.
  14. ^ 大連/「宏済大舞台」のご紹介 (APEXアジアニュース)
  15. ^ 出典:大連・金州区の“平家部落”を訪ねて
  16. ^ Dalian International Christian Fellowship (英語礼拝および各国語バイブル・スタディー)
  17. ^ 大連神社の跡地に大連外国語学院、聖徳神社の跡地に中山公園の華宮がある。また東本願寺大連別院、日本長老派教会は本来の意味とは異なる使い方をされている。
  18. ^ 大連方言独特の語彙については、大连话(百度百科) (中国語)の「词典」によくまとまっている。
  19. ^ We Love You, Dalian! (by Roza Mira ft. Jazz Band)
  20. ^ 大連慕情 「アカシヤの香り」/STS/オリジナル曲/2015
  21. ^ 出典
  22. ^ 大連路面電車路線図(地鉄乗り換え)
  23. ^ 202路延長線5月1日に開通(2014年) (中国語)
  24. ^ 大連地下鉄路線図(日本語)
  25. ^ 出典(中国語)、「付費方式基本都是四捨五入(支払い方式は基本すべて四捨五入である)」
  26. ^ 出典(中国語)、「大連的出租車在低速行駛時是不収等候費的(大連のタクシーは低速運転の時、待機料金を徴収していない)」
  27. ^ 中华人民共和国国务院公报 1988年第17号(总号:570)” (中国語). 中華人民共和国国務院. p. 564 (1988年8月25日). 2023年2月5日閲覧。
  28. ^ 大連星ケ浦命名の由來と滿洲地名考『集』木戸忠太郎 [著] (達磨堂, 1928)
  29. ^ 南満洲鉄道株式会社(五)旅館 ヤマトホテル=七十万円の建築=星が浦大阪毎日新聞 1913.10.26 (大正2)
  30. ^ 金沢市、蘇州と大連にマスク送付(2020年2月5日、日本経済新聞)2022年3月12日閲覧
  31. ^ 『広島県紳士録 昭和8年版』84頁(国立国会図書館デジタルコレクション)。2021年10月8日閲覧。
  32. ^ 『大衆人事録 第14版 外地・満支・海外篇』関東州キ16頁(国立国会図書館デジタルコレクション)。2021年10月8日閲覧。
  33. ^ 中国大連市が投資にいる
  34. ^ ENVIROASIA 2006年6月29日
  35. ^ 国家級自然保護区リスト
  36. ^ Dalian National Spotted Seal Nature Reserve | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (2008年1月1日). 2023年4月8日閲覧。
  37. ^ (3187) Dalian = 1958 CB = 1977 TO3 = 1977 UT1 = 1982 AG = 1987 QR5”. MPC. 2021年9月11日閲覧。






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