京浜急行バス鎌倉営業所 京浜急行バス鎌倉営業所の概要

京浜急行バス鎌倉営業所

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/11/19 04:59 UTC 版)

第一車庫(正面入口)
第一車庫(別の入口)

一般路線バスでは、JR横須賀線鎌倉駅大船駅を主なターミナルとし、両駅から梶原・鎌倉山江ノ島方面、鎌倉駅から逗子方面及び朝比奈峠方面に向けて路線を展開している。また、大船駅発着の一部路線では京急バス唯一のデマンドバスを、鎌倉駅周辺では江ノ電バスと共同運行のパークアンドバスライドを実施している。

沿革

鎌倉駅で待機する京浜急行バス車両。右は鎌倉市制50周年記念塗装車(既に廃車)
鎌倉駅で待機する京浜急行バス車両(2008年の様子)

戦前から戦時統合まで

京浜電気鉄道は、1930年(昭和5年)の半島一周自動車商会発足以来、三浦半島で乗合自動車を営業する傍ら、周辺事業者の買収・系列化を進めていた。鎌倉周辺への進出は、1935年(昭和10年)8月鎌倉乗合自動車を傘下に収めた事により始まる。

鎌倉乗合自動車は1930年(昭和5年)の創業で、鎌倉駅 - 大船駅、鎌倉駅 - 坂ノ下、大町 - 材木座、大町 - 上河原に営業路線を有していた。京浜電鉄は、同社を傘下に収めた後、三浦半島周辺における系列乗合自動車会社の事業統一を図るため、1938年(昭和13年)1月1日付で同社と半島自動車(半島一周自動車商会が改組)、臨海自動車の3社を合併し、湘南半島自動車を設立した。

同じ昭和の初め頃、大船 - 江ノ島口間においては、日本自動車道自動車専用道路を築造し、同区間および鎌倉山 - 大仏前間に乗合自動車を運行していた。同社は1931年江ノ島鎌倉遊覧自動車を買収してその路線を継承、さらに鎌倉駅 - 大塔宮、鎌倉駅 - 海蔵寺線を新設するなど、鎌倉駅周辺にまで路線網を拡張した。京浜電鉄は、鎌倉乗合に引き続いて1938年に同社の株式も取得し、系列下に収めた。

その後、戦時中の1941年(昭和16年)に鎌倉周辺の交通機関の統制を図るべく、湘南半島自動車、日本自動車道、江ノ電、東海道乗合自動車(神奈川中央交通の前身)の4社合併が議論された。しかしこれは決着せず、結局京浜系列の2社合併のみが実施されることとなり、同年5月1日、日本自動車道は湘南半島自動車に合併した。

さらに、半年後の1941年11月には京浜電気鉄道が湘南電気鉄道と湘南半島自動車を合併し、鎌倉・三浦半島周辺のバス事業が直営化された。

京浜急行電鉄の鎌倉営業所として

京浜急行電鉄としての鎌倉営業所は、1948年(昭和23年)6月1日の会社設立と同時に始まる。

以後、1956年(昭和31年)に朝比奈峠を越えて横浜市金沢方面への運行を開始した他、1960年代以降、梶原、西鎌倉、鎌倉逗子ハイランドなどの新興住宅地への乗り入れを相次いで開始した。

平成に入ってからは、レトロバスりんどう号」を観光需要の多い路線に投入したり、専用小型車両によるデマンドバス京急ポニー号」を開設したりするなど、新たな形態のサービスにも積極的に取り組んでいる。さらには、鎌倉市のオムニバスタウン構想によって小型車を使用した路線の開設も行われている。

2008年8月2日からは、ICカードPASMO」が導入された。

分離子会社体制の終焉

2006年(平成18年)6月16日付で、小坪線や名越線などの一部路線が湘南京急バスに委託され、京浜急行バス鎌倉営業所内に湘南京急バス鎌倉営業所が設置された。その後、2007年(平成19年)2月16日より八景線、同年9月16日には空港リムジン線が順次委託され、2008年(平成20年)5月16日付けで全路線の委託化が完了した。

しかし、中間持株会社と分離子会社の両方に路線があることが非効率という京浜急行電鉄本社の判断により、2018年(平成30年)4月1日付で湘南京急バスは京浜急行バス本体に吸収合併され消滅会社となった。これに伴い、鎌倉営業所は10年ぶりに京浜急行バスに復帰。同時に全路線の管理委託が解除された。

京浜急行電鉄(京急)では、バス部門を分離独立させるにあたって、東武鉄道東武バス)が採ったような中間持株会社形式への移行も視野に入れていた。すなわち京浜急行バスには路線を置かず、分離子会社の羽田京急バス・横浜京急バス・湘南京急バスに全路線を移管して、京浜急行バスはこれらの管理統括会社(持株会社)とするものだった。

神奈川県内では、鎌倉の全路線と堀内の一部路線が湘南京急バスへの管理委託杉田能見台追浜が横浜京急バスへの委託となったが、堀内の一部路線と逗子・衣笠・久里浜・三崎の全路線が京浜急行バスに残り、加えて湘南京急バスに採用された乗務員が推薦を受けて京浜急行バス本体に転籍する乗務員登用制度も設けられるなどしたため、完全移管にはかなりの時間を要すると見られていた。

ところが、2020年東京オリンピックパラリンピック訪日外国人の急増によるバス需要の増加に伴う運転手不足や、複数の部門子会社が存在することによる管理部門の重複などの非効率が指摘されるようになり、京急本社は京浜急行バス本体に残った一般路線の完全分離は不可能との判断をせざるを得なくなった。2018年(平成30年)4月1日付で分離子会社3社は本体に吸収合併して解散、鎌倉営業所は10年ぶりに全体が本体組織へ戻された。同時に、12年間続いた管理委託はすべて解除された。

割引乗車券の通用範囲

鎌倉市役所が企画する鎌倉フリー環境手形A「頼朝きっぷ」は、大船線の鎌倉駅と大仏前の間、八景線鎌20系統の全線、鎌24系統の鎌倉駅と浄明寺の間、名越線の鎌倉駅と名越の間のみが発売当日に限り乗車できる。

京浜急行電鉄が発行する三浦半島1DAY・2DAYきっぷは、小坪線、名越線の全線および大船線の鎌倉駅と大仏前の間、八景線は鎌20・23・24系統の全線と鎌36系統の鎌倉駅 - 泉水橋間で使用できる。


  1. ^ 京急歴史館 バス車両の歴史 近代・現代 - 平成7年 京急ポニー号 京浜急行電鉄、2021年7月2日閲覧。
  2. ^ a b c 鎌倉市:コミュニティバスの運行 独立行政法人環境再生保全機構
  3. ^ a b c d e バスラマ・インターナショナル』No.32「日野の新小型バス、リエッセ誕生!」 p.21「リエッセ路線仕様、京浜急行で運行開始」ぽると出版、1995年10月25日。ISBN 4-938677-32-6
  4. ^ a b c d e 『バスラマ・インターナショナル スペシャル 臨時増刊1995 リエッセ&日野バスファミリー』p.55「リエッセユーザーを訪ねて リエッセだからできた新しい路線 京浜急行電鉄株式会社」ぽると出版、1995年11月15日。ISBN 4-938677-75-X
  5. ^ 京浜急行バス クロニクル 年譜”. 京浜急行バス. 2021年6月6日閲覧。
  6. ^ 土屋正忠 『ムーバス快走す 一通の手紙から生まれた武蔵野市のコミュニティバス』ぎょうせい、1996年。ISBN 4-324-05037-6 
  7. ^ 土屋正忠 『ムーバスの思想 武蔵野市の実践』東洋経済新報社、2004年。ISBN 4-492-22252-9 
  8. ^ ムーバス各路線の概要 武蔵野市公式サイト、2019年9月21日閲覧。


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