中華麺 製法

中華麺

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/11 03:41 UTC 版)

製法

中華麺の材料は、小麦粉(厳選・調合される場合が多い)、鹹水、水である。小麦粉に鹹水を溶かした水を混ぜた後、強い力でこねて玉にする。その玉をうち粉を使用しながら麺棒で伸ばし、製麺機など刃物で細く切る。途中で寝かせを入れることも多い。

通常の加水率(麺を作る際に小麦粉に混ぜる水の割合)は、一般的には35%程度である。加水率を高くすると水分の割合が多くなることから、伸びにくい、つるっとした表面で喉越しが良い、食感は柔らかく、麺のコシや粉の風味は弱くなる、日持ちがしない、太い麺に作られることが多い、などの特徴があげられる。逆に加水率を低くすると小麦粉の割合が多くなることで、香りやコシが強くなる、伸びやすくなる、表面がざらっとしてスープの絡みがよい、日持ちがよい、麺を細く作られることが多い、などの特徴がある。実際には、食感や香りを求めて加水率を変えるというよりは、作られる場所や地方の温度や湿度にあわせて最適な麺作りをする上で決められることが多く、例えば冬の東北地方では、温度が下がり乾燥するにつれて加水率が高くなる傾向がある。

形状

形状としては、生地を伸ばし、切り出したままの角麺、切り出した後に、成形して丸くした丸麺、厚みに対して幅広く切り出した平打ち麺(きしめんのような形)がある。また、打ち出した後に特別な加工をしないストレート麺と、手で揉みほぐしたり機械で圧力を掛けたりして、麺に波状の縮れを出した縮れ麺に分けられる。

中華麺の特徴である縮れは、製麺機に縮れを与える細工をしたり、手で揉んで縮れた麺を製造している。鹹水による化学反応で縮れが生じるという俗説は誤解である。

無鹹水麺

かん水は日本農林規格JAS)によりその成分が規定され、昭和62年以降は検査体制を整えており安全面での問題はないが、過去には日中の国交が回復せずに中国からの輸入が途絶えていた戦後しばらくの間、食品にふさわしくない苛性ソーダなどを含んだ粗悪な代用品が出回り、1957年(昭和32年)に厚生省が「かんすいは基準を満たす合成化学品に限る」と基準を規制したこともある[4]そのため、かん水の健康面への安全性に対して疑問を持つ声もある。また、かん水は人によっては拒否感を示す独特の匂いを持ち、かん水そのものの効能に対して疑問を唱える人もいる[要出典]。こうしたかん水に対して否定的な立場を取る人達のため、かん水の代わりに鶏卵などを用いた無鹹水麺が存在する。沖縄そばでは、古来かん水の代用として使用されてきた灰汁(木灰の上澄み液)を懐古的に用いる例も見られる。

中華麺を使った料理

ラーメン
中華麺を使用した代表的な料理はラーメンである。ラーメンという名称が一般的となる以前は中華そば、支那そばなどと呼ばれ、以後も中華そばや支那そばという呼称の店や地域[5]は少なくない。明治時代に開国された港に出現した中国人街(南京街)に中華料理店が開店し、大正時代頃から日本各地に広まっていった。様々な派生形を持つ。茹で上げた中華麺を熱いスープに入れて食べる料理。
つけ麺
茹で上げた麺を冷水で締め、ざるそばのように一口分ずつつけ汁につけながら食べる。締めた麺を湯通しし、熱盛りとすることもある。
油そば
茹で上げた麺に、油っこく濃いタレを絡ませて食べる。スープはない。
冷やし中華
茹であげた麺を冷やし、酸味を利かせたタレをかけるのが一般的。
焼きそば炒麺・炸麺)
茹でた麺を炒めたもの、あるいは麺を揚げたもの。
ちゃんぽん
長崎県の地域料理。唐あくを用いた専用の中華麺を使用する。
皿うどん
長崎県の地域料理。中華麺以外を使う場合もある。
沖縄そば
沖縄県の郷土料理。油処理された太めの中華麺を使う。
冷やしラーメン
冷やし中華とは異なり、茹でた後に冷した麺をたっぷりの冷たいスープに入れて食べる。
ざる中華
麺を茹であげて冷やしたものを、和風のめんつゆに1口分ずつつけて食べる。
焼きラーメン
茹でたての中華麺を鉄板で炒めて供する。福岡県福岡市屋台料理。
イタリアン
新潟県の地域料理。ソース焼きそばトマトソースをかけたもの。
黄そばキーシマ素ラーメン中日そばえきそば
中華麺をうどんのつゆに入れたもの。
バリそば
山口県の地域料理。
ローメン
長野県の地域料理。
担担麺汁なし担々麺
中国四川省発祥の麺料理。
ジャージャー麺
中国北部(北京市近辺)発祥の麺料理。なお、中華麺を用いるのは日本のみで、中国の炸醤麺では平たく太い無かん水麺が用いられる。
担仔麺
台湾の料理。肉味噌と香菜を上に載せる。
台湾ラーメン
愛知県の地域料理。原型となった担仔麺とは違って辛口仕立てとなっている。
バミー
タイ王国の麺料理。
ラクサ
マレーシアの麺料理。
サイミン
ハワイの麺料理。
その他
鍋料理として、うどんなど共に中華麺が用いられる事もある。

  1. ^ a b c 中華麺の歴史”. 東京都中華麺製造業協同組合. 2016年5月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年7月7日閲覧。
  2. ^ 食品表示法に基づきこれらの商品の名称表示の分類には「中華めん」と記載されている(「生めん類の表示に関する公正競争規約施行規則」昭和52年(1977年)1月25日制定)。
  3. ^ 新横浜ラーメン博物館
  4. ^ 木曽路物産:天然かんすい
  5. ^ 和歌山中華そば・ラーメン”. 一般社団法人和歌山市観光協会. 2018年5月23日閲覧。


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