ワンセグ
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歴史
開始当初
本放送開始前の2006年2月に都営地下鉄で地下鉄構内での再送信による受信の実験が行われた。2006年4月1日に、同日までに地上デジタル放送が始まっている地域の放送区域で本放送が開始された[3]。2006年4月1日の11時(日本時間)から東京都など、29都府県で開始し、同年12月1日にはハイビジョン放送と同時に全43県の県庁所在地および近接する一部の市・町・村でも受信できるようになった。
もともとアナログ方式であったテレビ放送をデジタル方式に切り替える過程でデジタル放送を、当時需要の高かったモバイル端末やカーナビゲーションシステムでも受信できるようにすることを主な目的に開発されたシステムであり、受信機器が小さく設計できる利点があった。
サービス開始当初、受信可能な機器はP901iTV、W33SA、W41Hの携帯電話3機種のみだったが徐々に増加。2007年頃からは売れ筋となる携帯電話のほぼ全てにワンセグが搭載されるようになり、次第に録画やフルセグなどの付加機能が発展してきた。ワンセグ普及当時はまだインターネットでの動画コンテンツ配信がそれほど普及しておらず、あっても携帯端末での視聴は回線速度などの性能上困難を伴ったため、スポーツ観戦や、通勤中のテレビ視聴、各家庭での若年層へのテレビ視聴環境に大きな影響を与えていた。
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日本のワンセグ搭載携帯電話類 (2008年時点の展示)
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出先でサッカー試合の放送を視聴する人。(2006年)
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飲食店で同僚などとアルコールを飲みつつ放送も一緒に見て盛り上がる人々(2006年)
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ニンテンドーDS用の『ワンセグ受信アダプタ DSテレビ』(2007年)
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SONYのPlayStation Portableに外付けユニットを増設してワンセグを視聴することもそれなりに流行した。
拡大期
2008年3月末まで一つの放送局から同一番組を流すサイマル放送が義務付けられており、ワンセグで見られる番組は12のセグメントを使用する地上デジタル放送の主番組と同じだったが、2008年4月1日改正放送法の施行によってサイマル放送の義務化が解かれ部分的なワンセグ放送独自の番組の放送が始まった[4]。
2008年12月1日には各都道府県のNHK・民放全局で地上デジタルテレビジョン放送が開始されたことに伴い、ワンセグ放送を行う放送局も全国に拡大した。ただし、放送大学は2018年10月30日の地上波廃局[5]までワンセグ放送を実施しなかった。
東日本大震災が発生した2011年はワンセグ搭載端末が最も普及していた時期であったため、携帯電話の通信に頼らないワンセグ放送によって災害情報を得ることができていた。
遊園地・博物館・大学などで狭小な地域を対象とするエリア放送も行われた。羽田空港などで実験が数例行われた後、2011年4月に総務省が「ホワイトスペース特区」を認定[6]して一部地域にてエリア限定型ワンセグ放送の研究開発や実証実験を行った。
これらの結果を受け2012年4月には、エリア放送が制度化[7]され、地上一般放送局として免許されることとなった。
なお、エリア放送は12セグメント放送でも免許され、六本木ヒルズや南相馬チャンネルではサイマル放送を行っている。
衰退
スマートフォン時代になると状況は大きく変わり、世界的なISDBは南米地方を中心に普及した規格であるため、国内スマホメーカーの衰退とともに搭載機種は減少する。さらに、LTE(4G)や、光回線(FTTH)による高速通信回線の全国的な整備とスマートフォンの4G高速通信回線への対応でインターネット上の動画視聴が容易になり、YouTubeなどの動画配信サービスも充実したのに加え、TVer・NHKプラスなどを通したテレビ番組自体の見逃し・リアルタイムネット配信も登場したこともあり、人々はネット動画のほうを視聴すればよいと判断するようになった[8]。アナログ放送末期にあたる2010年代初頭頃からminiB-CASカードの普及によってフルセグ端末そのものも小型化し、テレビ自体も低価格化した。
2018年秋ごろから対応する携帯電話が大幅に減少[9]、そして2020年夏モデルの楽天モバイル向けシャープ製『AQUOS R5G』、ソニーモバイルコミュニケーションズ製『Xperia 1 II』を最後に、2021年12月現在ワンセグ・フルセグ対応のスマホ機種はリリースされていない[10]。
生産中の商品としてはテレビ付きポータブルDVDプレーヤーや、ワンセグ音声専用ラジオも辛うじて残されれいるが、ワンセグの主な用途としてはカーナビゲーションやディスプレイオーディオにおけるフルセグの相互補完視聴[注 2]が手段として残されているものの、こちらについても先述のNHK受信料回避を理由として、ワンセグ機能を省いたカーナビやディスプレイオーディオがラインナップに加わるケースが増加しつつある[11][12]。
注釈
- ^ 成熟期ともいえる2010年代前半には、携帯電話の現在地情報から自動的に放送地域を変更する機器もあった。
- ^ フルセグの電波強度が一定の弱さに達するとワンセグに自動的に切り替わる機能を搭載していることが多い。
- ^ いずれも通常の地上デジタル放送とは別の設定により同時にワンセグ録画をしたものを転送する。ほとんどは本来のワンセグ放送そのものの録画ではない。
出典
- ^ ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典【ワンセグ】
- ^ a b [1]
- ^ 携帯で楽しめる地デジ放送「ワンセグ」、2006年4月1日開始
- ^ 5時間独立スペシャル (PDF) 、テレビ朝日
ワンセグ専用番組放送(ワンセグ独立放送)、山陽放送 - ^ “大学からのお知らせ”. 放送大学. 2018年11月9日閲覧。
- ^ 「ホワイトスペース特区」の決定 総務省報道資料 2011年4月8日
- ^ 平成24年総務省令第23号による放送法施行規則改正
- ^ [2]
- ^ 消えるワンセグ、ハイエンドで搭載は1機種のみ - Engadget 日本版
- ^ スマホから消えた「ワンセグ」、2021年は搭載機種ゼロに その背景を探る - ITmedia
- ^ ワンセグが映らないカーナビが増えている裏事情
- ^ NHK対策でカーナビにテレビなしモデルが増加中
- ^ 局名告知もワンセグでは、仙台局のものを放送していた。
- ^ NHKオンライン 平成22年度国内放送番組編成計画について (PDF)
- ^ “ワンセグでマルチch編成の実証実験に成功”. 文化通信.COM
- ^ “MXテレビがワンセグマルチ放送実験成功”. 日刊スポーツ. (2007年11月16日)
- ^ “2008年6月23日、ワンセグにもう一つチャンネルが増えます”. TOKYO MX. (2008年6月20日). オリジナルの2013年5月1日時点におけるアーカイブ。
- ^ “TOKYO MX週間番組表”. TOKYO MX
- ^ “東京MX、ワンセグで2チャンネル放送・周波数2分割”. 日本経済新聞. (2008年5月21日)
- ^ “最後のワンセグ未実施局・奈良テレビ、マルチch編成で12月開始”. 文化通信. (2009年10月5日)
- ^ “ISDB-T Official Web Site”. DiBEG. (2009年10月5日)
- ^ a b c d e “ワンセグ、NHK受信料は義務”. 共同通信. 2019年3月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年3月14日閲覧。
- ^ “「ワンセグでも受信料」が確定 原告「携帯の選択制限」「未払いの自治体ある」”. 弁護士ドットコム. (2019年3月) 2023年3月12日閲覧。
- ^ “ワンセグは「NHK契約の義務なし」 NHKは「解釈を誤ったもの」と判決を批判”. J-cast. (2016年8月) 2021年12月5日閲覧。
- ^ “総務省がワンセグ携帯のみを利用している者に対する放送受信料値下げをNHKに要請したとする報道に関する質問主意書”. 衆議院. (2019年1月30日) 2021年12月5日閲覧。
- ^ a b “ドコモWebサイトに「NHKの受信料はNHKに問い合わせ」、いつから記載したのか聞いてみた”. ケータイWATCH. (2019年6月19日) 2021年12月5日閲覧。
- ^ “これだけ知っていればワンセグ博士!”. atmarkit. (2006年9月26日) 2021年12月5日閲覧。
- ^ “NHK受信料、消費生活センターへの相談10年間で「5万5千件」…裁判記録から判明”. 弁護士ドットコム. (2017年6月29日) 2021年12月5日閲覧。
- ^ “第198回国会 総務委員会 第10号(平成31年3月19日(火曜日))”. 衆議院 (2019年3月19日). 2021年12月5日閲覧。 “例えば、東京都にお住まいの七十代の女性は、ことし一月に、委託法人の契約社員と名乗る男性が自宅に訪れ、契約書を広げて受信料の支払いを迫ったと。地デジ移行以後、テレビは置いていないということで説明をしますと、テレビがなくても、携帯を持っていれば月々受信料を払わないといけない、携帯を見せてくれないかと要求をされ、携帯は見せられないと拒否すると、昨年十二月の最高裁の判決が出ている、ワンセグの機能があれば払わないといけないとしつこく言われたそうです。その七十代の女性の方は、ワンセグ機能のことも知らないし、使ったこともないという方でございます。また、千葉県の女性からは、昨年秋ごろ、ひとり暮らしをしている大学生の娘のアパートに、夜遅い時間に、NHKの男性職員、これはNHKの職員なのかほかの委託事業者なのかがわかりませんけれども、が受信料を支払うように訪ねてきたと。テレビは持っていないと言うと、家の中を確認させてほしい、携帯電話を見せてほしい、裁判所で払わないといけないという判決が出ていると言われたそうです。娘さんは夜遅いという時間もございまして恐怖を感じたとお話をいただいております。”
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- ^ a b “ワンセグ携帯、受信料が発生するなら買い替える? 携帯市場が調査”. ITmedia. (2019年3月27日) 2021年12月5日閲覧。
- ^ a b “神奈川県広報号外第67号”. 神奈川県広報号外第67号. (2018年12月7日) 2021年12月6日閲覧。
- ^ ““オワコン”のワンセグ、ネット配信に移行して再び輝けるか”. ITmedia ビジネスオンライン. (2022年4月29日) 2022年5月2日閲覧。
- ^ “業務用の車両に設置するカーナビについて、テレビ受信機能の必要性を十分検討して経済的な購入を行うこととするとともに、購入済みのカーナビに係る日本放送協会との受信契約を業務上の必要性に応じて適切に見直すよう改善させたもの”. 会計検査院. (2010年) 2021年12月5日閲覧。
- ^ NHKの概要、受信料体系の現状について、16ページ (PDF)
- ^ a b “ワンセグ携帯所有者はNHK受信料不要、さいたま地裁判決”. 弁護士ドットコム. (2016年8月26日) 2016年11月18日閲覧。
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- ^ “ワンセグ携帯「受信契約は義務」=NHK側が逆転勝訴-東京高裁”. 時事通信. (2018年3月26日) 2018年5月9日閲覧。
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- ^ [https://www.softbank.jp/corp/group/sbm/news/press/2016/20160621_01/ “SoftBank、カメラとワンセグが非搭載の 法人向け「DIGNO® ケータイ for Biz」を6月22日に発売”]. softbankpressrelease. (2016年6月21日) 2021年12月6日閲覧。
- ^ “Xperia 1 IIIは弱点が少なく満足感が高いが価格がネック”. ascii.jp. (2021年7月29日) 2021年12月6日閲覧。
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- ^ “カーナビでワンセグ受信、NHKと契約義務 初の判決”. 朝日新聞. (2019年5月15日) 2020年6月26日閲覧。
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- ^ “NHK受信料「カーナビも徴収」 話題の判決、タクシー業界にどう影響?”. 弁護士ドットコム. (2019年5月18日) 2021年12月6日閲覧。
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- ^ “【SH-M03】テレビ(ワンセグ)が映らないのですが…”. sharpよくあるご質問 2021年12月6日閲覧。
- ^ “第201回国会(常会)質問主意書”. 参議院. (2020年1月30日) 2021年12月6日閲覧。
- ^ “ワンセグ受信料問題、総務省が「徴収免除」と調査を要請。しかしNHK会長はこれを拒否。”. すまほん. (2016年9月10日) 2021年12月6日閲覧。
- ^ “第181号 携帯電話とカーナビのワンセグ機能はNHK受信契約を導くか”. westlawjapan. (2019年9月21日) 2021年12月6日閲覧。
- ^ ただし、「ワンセグ」は録画対応が可能な機種がある。
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