レミーマルタン レミーマルタンの概要

レミーマルタン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/10 15:19 UTC 版)

レミーマルタン
業種 酒の製造・販売
設立 1724年 (298年前) (1724)
創業者 E. レミー・マルタン
本社
製品 コニャック
親会社 レミーコアントロー英語版
ウェブサイト www.remymartin.com

歴史

ポール・エミール・レミー・マルタン

「レミーマルタン」のブランド名は、1695年ルイヤック英語版近郊(現シャラント県)で生誕した創業者の名前に由来する。ブドウ栽培業・ワイン醸造業の傍ら、1724年にコニャックの取引所を開業したのが始まりである。1773年の彼の死後、彼の同名の孫にあたるレミーがその事業を引き継いだ[1]1841年にはポール・エミール・レミー・マルタンが事業の管理をしていたと見られ、ブランドは大きく成長することとなる。彼はボトルやケースに、ギリシア神話に登場する怪物であるケンタウロスのブランド・ロゴを入れた。これはマルタン自身が射手座の生まれであったことに由来している。レミーマルタンは中国では「人头马」と呼ばれ、これは文字通り「人の頭部を持つ馬」という意味である[2]戦間期は、1910年からレミーマルタン商会のパートナーであった弁護士商人のアンドレ・ルノーが事業を主導し[1]1927年に最初のVSOPとして「フィーヌ・シャンパーニュ」を発売した。これ以降、レミーマルタンは世界的に販売されるようになった。第二次世界大戦後もレミーマルタンはアンドレ・ルノーの娘婿であるアンドレ・エリアール・デュブレイユ主導のもとで引き続き興隆した。1965年のアンドレ・ルノーの死後はアンドレ・エリアール・デュブレイユが代表の座に就いた[3]。アンドレ・エリアール・デュブレイユの息子たちも次第に事業に加わるようになった。中でも娘のドミニク・エリアール・デュブレイユは1988年ゼネラル・マネージャーとなり、その2年後には代表に就任した。1991年レミーコアントロー英語版をファミリー・グループに編入した。

醸造

レミーマルタンの建物

レミーマルタンのコニャックは全て「フィーヌ・シャンパーニュ・コニャック」の呼称を持つ。フィーヌ・シャンパーニュ・コニャックとは、グランド・シャンパーニュ英語版プティット・シャンパーニュ英語版の2つのクリュ(栽培地域)からつくられたオー・ド・ヴィー(原酒)のブレンドで、かつグランド・シャンパーニュの比率が50%以上のもののみをいう。グランド・シャンパーニュのオー・ド・ヴィーは石炭質の土壌により極上の熟成ポテンシャルと特有の芳醇さを併せ持つ。1984年以降、レミーマルタンはアンドレ・ルノーの主導のもとでこの配合に特化した。1960年代にはレミーマルタン・ハウスのアンドレ・エリアール・デュブレイユがプティット・シャンパーニュとグランド・シャンパーニュの何千というワイン生産者と蒸留業者を呼び集め、同盟(アリアンス・フィーヌ・シャンパーニュ)を設立。レミーマルタン・ハウスの約90%のオー・ド・ヴィーを供給する協力関係を築いた[4]。フィーヌ・シャンパーニュのコニャックの80%はレミーマルタン・ハウスから市場に出ている。

レミーマルタンはブドウの蒸留過程で発生するおり(酵母残留物)を保持するために、小型の銅製[[[スチル]]を用いた伝統的な蒸留手法を採用している。熟成にはリムーザンオーク材のを使用。熟成過程でアルコール蒸発天使の取り分)し、セラーの内壁を黒ずませながら、途中の休息期間と樽の交換を経てゆっくりと時間をかけて進化を遂げる。木材、酸素、オー・ド・ヴィーの間の交換は一定であり、どのスタイルが求められるかによって、側板の目が粗い新しい樽か目が細かい古い樽で熟成するのかが選定される。そして最後に異なる樽とブレンドすることでコニャックがつくられる。レミーマルタン・ハウスの現在のセラー・マスターであるバティスト・ロワゾー[5]は34歳でその役職に就任し[6]、アンドレ・ルノー、アンドレ・ジロー、ジョルジュ・クロ、ピエレット・トリシェらの跡を継いだ。

ボトル・ラインナップ

レミーマルタン VSOP

1972年につくりあげられたレミーマルタン VSOPは、世界全体で最も販売数の多いVSOPである。1972年から現在のすりガラスボトルを採用している。

レミーマルタン VSOP マチャー・カスク・フィニッシュ

レミーマルタン VSOP マチャー・カスク・フィニッシュ

2011年につくり上げられたVSOP マチャー・カスク・フィニッシュはヨーロッパのみでの販売。グランド・シャンパーニュとプティット・シャンパーニュと同じテロワール、同じ蒸留法でつくられるが、20年ものの樽でさらに1年の熟成期間を設ける。

レミーマルタン 1738 アコード・ロイヤル

1997年発売。名称はフランス王ルイ15世がそのクラフトマンシップを讃え、レミーマルタンにアコード・ロイヤルの称号を授与する1738年制定の勅令に由来する。

レミーマルタン クラブ

1986年につくり上げられた八角系のボトルが特徴的なレミーマルタン クラブは中国のみでの販売。2015年に発売したレミーマルタン クラブ・コネクテッド・ボトルは、ボトル栓としては世界で初めてとなるNFCを搭載し、高いセキュリティ・レベルで偽造対策が施されている[7]

レミーマルタン XO

レミーマルタン XO エクセレンス

セラー・マスターのアンドレ・ジローによって1981年につくり上げられたXOは、400種以上の異なるオー・ド・ヴィーがブレンドされている。

レミーマルタン カルト・ブランシュ

セラー・マスターが選定した単一の樽によるブレンド方法を採用。オー・ド・ヴィーの熟成年数は最低でも20年以上のものを配合している。

レミーマルタン セントー・ド・ディアマン

セントー・ド・ディアマンはレミーマルタンの中でも最も上等な10%のオー・ド・ヴィーのみを使用し、販売価格も高く設定されている。

レミーマルタン セラー・マスター・セレクション

免税店限定販売。熟成セラーのセラー・マスターが選定した、ユニークな特徴をもったセラー N°16(プライム・セラー・コレクション)とセラー N°28(リザーヴ・セラー・セレクション)。

レミーマルタン ルイ13世

レミーマルタン V

2010年アメリカ限定で発売された、レミーマルタン初のスピリッツ「レミーマルタン V」。オーク材の樽での熟成プロセスを経ず、14 °F (−10 °C) のフィルターを通すことによって、透明でナシや新鮮なミントがほのかに香る後味がある。コニャックではなく「オー・ド・ヴィー・ド・ヴァン」に分類される。


  1. ^ a b Dictionnaire biographique des Charentais, (Charentais biographical dictionary), Editions Le Croît Vif, (The Living Growth), 2005, p. 1107–1110.
  2. ^ 人头马VSOP图片”. 2018年2月8日閲覧。
  3. ^ Les Hériard Dubreuil.”. Les Echos. 2018年2月8日閲覧。
  4. ^ Charente : les quatre révolutions d’Alliance Fine Champagne.”. Sud Ouest. 2018年2月8日閲覧。
  5. ^ “A Day In The Life With The Alchemist Baptiste Loiseau” (英語). Haute Living. (2015年10月15日). http://hauteliving.com/2015/10/a-day-in-the-life-with-the-alchemist-baptiste-loiseau/589666/ 2017年3月29日閲覧。 
  6. ^ “Rémy Martin : un jeune visage pour de vieux cognacs” (フランス語). Terre de Vins. (2014年4月13日). http://www.terredevins.com/actualites/remy-martin-jeune-visage-pour-de-vieux-cognacs/ 2017年1月17日閲覧。 
  7. ^ Rémy Martin & Selinko Launch First Ever Connected Bottle with High Security NFC Technology to Spirits Market”. Business Wire. 2018年2月8日閲覧。
  8. ^ Here's how many times someone says "1738" on Fetty Wap's new album”. Fusion. Fusion Media Network. 2016年7月24日閲覧。


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