ボスキャラクター 概要

ボスキャラクター

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/03 02:17 UTC 版)

概要

主にコンピュータゲームにおいて、プレイヤーの難関となるよう設計された登場キャラクターである。

コンピュータゲームの常として、プレイヤーの行動を阻む敵キャラクターは、プログラムコンピュータにより、自動的に操作されている。その中でゲームにおけるステージやストーリーの節目あるいは、最後にプレイヤーが倒さなければならないキャラクターのことをボスキャラクターという。

これらは、節目を作ることにより、メリハリを持たせる役割以外にもRPGなどの自由度が大きく設定されているゲームにおいては、一定段階に達しないプレイヤーを阻む門のような役割を果たす(#ボスの位置付けを参照)。

「ボス」という呼称自体は便宜上つけられたものであり、それらのキャラクターが必ずしもストーリーやステージ上でリーダーに相当する地位にあることを指す用語ではない。

ボスとの戦闘はボス戦と呼称する。

呼称

コンピュータゲームにおける「ボス」の呼称の初期例として1980年11月に登場した『スペース・パニック』で強い敵に対して使われているが、同作には「ドン」と呼ぶさらに強い敵もいた[1]。同年登場の『サスケvsコマンダー』の海外市場向けの英語チラシで強敵の忍者の親分が「boss」と表現されている[1]。1981年の『ギャラガ』では「ボスギャラガ」は他の敵と違って弾を2回当てないと倒せなかったり自機のデュアルファイターをパワーアップさせるためにボスギャラガに自機を捕まえさせてからそれを連れたところを倒す必要があり、ボスギャラガの印象を強くさせたがこの名称は業者向けの説明書に記載されていたもので一般プレイヤーにはあまり知ることはできず、1983年の『パック&パル』でチラシや筐体に記載された説明に「ギャルボス」とあるのがみえる[1]

いくつかの要所に構えた強敵を「ボス」と公式に呼ぶようになったのは1984年12月登場の『スパルタンX』がさきがけとされ、チラシに「各階毎に現れるボス」と書かれている[2]。同作を取り上げた『マイコンBASICマガジン』1985年2月号で「最強の敵。これが大ボスの〔X〕だ!!」とあり、コンピュータゲームにおけるボスのランク付けの初期例と思われる[2]。1986年8月の『メトロイド』では説明書などで「小ボス」とあり、公式でのランク付けのかなり早い例とされる[2]。「大ボス」「小ボス」は1950年以降の新聞や雑誌でゲーム以外の言葉として使われているが「小ボス」は「中ボス」にとって代わられて行き「中ボス」は他と違い、ゲーム用語以外での使用が少ない[2]。1980年代後半のゲーム雑誌では「最終ボス」などがよく使われていたが、『ビデオ・ゲーム・ミュージック』に端を発してコンピュータゲームのサウンドトラックが発売されるようになり、1988年の『イースII』のアルバムに「本ボス・ダーム」、1989年9月の『レジェンド・オブ・ヒーロー・トンマ』のアルバムに「ラストボスステージ」と収録曲に名付けられているのが公式でラストボス関係の使用の早い例とされる[2]。1990年3月発売の『悪魔城ドラキュラ』シリーズのアルバム『悪魔城ドラキュラ ファミコン・ベスト』にも「Last Boss」とあり、開発者やプレイヤーで「ラストボス」の語がある程度広まっていた[2]。そこから「ラスボス」と略されるようになったのは一例として『ゲーメスト』(新声社)1991年12月の読者からの投稿で見受けられことから1980年代末か1990年頃との見方があるが、1993年出版の『ゲームプレイヤーの知恵ぶくろ ゲーム用語事典』(アスキー)には「小ボス」「大ボス」「ラスボス」が掲載されている中で「ラスボス」はスラングとして扱われている[3]。1995年の『リグロードサーガ』のサントラに「ラスボス・バトル」とあるのが開発側が公式に使用した比較的早い例とされる[3]

メカに対しての呼称としては1983年1月の『ゼビウス』には敵に母艦や要塞があり、背景から独立して動くことで強い印象を残したが「マザーシップ」「機動要塞」と紹介されており、使用にはまだ違和感があったとみられる[4]。1985年の『ツインビー』の巨大メカを複数の雑誌記事が「ボス」と書き、BGMのタイトルにも「ボス」とあるため公式でも使われていたとみられ、同作のコミカルさからかメカでもボスと言われた可能性がある[4]。1985年の『グラディウス』を取り上げた『Beep』1985年7月号に「第2シーンのボス」とあり、公式な呼称ではないがシリアスなシューティングゲームでも巨大メカに使われた比較的早い事例とされる[4]。1986年1月のファミコン版『ツインビー』の説明書や1987年2月の同作のBGMを収録した『セガ・ゲーム・ミュージックVOL.2』の曲で「ボス」の言葉が使われ、『沙羅曼蛇』の複数の雑誌記事での使用例により公式資料でも使われていたとみられることや同時期に登場した『ガルディア』でゲーム中に「BOSS」と表示、1987年5月に『グラディウス』のBGMを収録した『オリジナル・サウンド・オブ・グラディウス アーケード版』や同年6月の『ダライアス』のBGMを収録した『ダライアス タイトー・ゲーム・ミュージック VOL.2』の曲名に「ボス」が使われ巨大メカでも公式にそう呼ぶことが定まっていった[4]

各ジャンルボスキャラクター

シューティングゲーム

初期のシューティングゲームには「だんだん敵キャラクターの動きが早くなる」、「攻撃頻度が上がる」というパターンが多かった。中にはスペースインベーダーにおけるUFOのように、倒すと高得点が得られるキャラクターや、しつこい攻撃をしてくるキャラクターも見られたが、プレイヤーには特定の敵が「ボス」として認識される傾向はあまり見られず、単に難易度が上がったと認識される程度だった。

世界で一番早く登場したシューティングゲームのボスキャラクターが登場したゲームは、1980年の『フェニックス』(開発 アムスターエレクトロニクス(アメリカ)、日本での販売はタイトー)である。宇宙戦艦ヤマトの白色彗星都市帝国に似せた姿で、第5面に登場する。中心部にいる首領を倒せば全面(一周)クリアとなり、より難しい第1面から再プレイとなった。

1983年の『ゼビウス』(ナムコ)はシューティングゲームながらストーリーが予め執筆され、度々登場する巨大空母アンドアジェネシス(アドーアギレネス)は「ガンプ」という存在が駆るとされている。この巨大空母は画面の6分の1を占めるもので、攻撃も通常のキャラクターに比べ執拗で難度があった上、高得点を狙うなら弱点である中心部より先に4つの周辺砲台を破壊しなければならなかった。

ボスキャラクターのバリエーションが多彩となるに至ったゲームは明確ではない。しかし1985年の時点において、『グラディウス』(コナミ)発売前後に転機が訪れた。グラディウスを例に取ると「ビッグコア」と呼ばれる大型のキャラクターが登場する直前に、各々のステージごとに多彩な攻撃があり、それに続いてビッグコアが登場した。ステージによっては、ビッグコア以外の敵が待ち受けていた。続編『沙羅曼蛇』で各ステージ毎に個性的なボスキャラクターを据える傾向が定着することとなる。その後はより大型化し、『R-TYPE』の「巨大戦艦」のようにステージそのもののボスキャラクターが登場するようになる。

近年になると、弾幕STGのパイオニアである『怒首領蜂』に登場する「火蜂」を筆頭に、最終ボスは自機と同程度の小型サイズであるが、画面を覆い尽くす大量の弾幕を張ってくるというスタイルのものも定着している。これは本来、基板の表示能力に限界がある中で、極限まで敵弾を増やすためにボス本体を小さくする必要があったのだが[要出典]、以降はCAVE自身を含む多くのメーカーがこれを踏襲し、ハード性能に余裕があっても、最終ボスをあえて小さな姿で表現する場合が多い。

アクションゲーム

アクションゲームでは、1980年ユニバーサルの『スペース・パニック』では通常の『モンスター』は1段階下に落として倒せばよいのだが、『ボス』は2段階下に落とさなければならなかった。さらに、『ドン』は3段階下に落とさなければならなかった。

同じく、1981年の時点において『ドンキーコング』の画面上の『ゴリラドンキーコング)』が確認できる。しかしながらストーリー上のボスキャラクターには違いないが、プレイヤーが直接攻撃できる敵ではなかったため画面上の演出に過ぎず、ボスキャラクターとして認識されていたかどうかについては疑問の余地がある。

前述の『ボス』『ドン』が16x16の雑魚同様のドット画に対し、ドンキーコングの『ゴリラ』は32x32のドット画の大きさがあるため、一般的には『ゴリラ』の方が威厳があるために、最初のボスキャラクターとして認知されているようだ。

『スパルタンX』が登場するまでは各ステージ毎のボスに個性や能力はなく『スーパーマリオブラザーズ』の「クッパ」のように、ステージ最後の関門としての役割であった。1986年にナムコから発売された『源平討魔伝』で、敵キャラやプレイヤーがともに巨大であるステージにて登場するボス「弁慶」は画面の大部分を占める巨大なボスキャラクターであり、大型ボスキャラクターのパイオニアとして知られる。同年カプコンから発売された『ロックマン』ではプレイヤーと同サイズながら、プレイヤーと同等の能力有するボスが登場し、以降のシリーズでも踏襲することになる。以降のアクションゲームのボスキャラクターは、巨大キャラクターかプレイヤーに相当するキャラクターに二分化される事になる。前者は『魂斗羅』シリーズの様に巨大ボスキャラクターとの連戦を売りとしたSTG色の強いゲームに多数登場し、後者もベルトアクションから対戦型格闘ゲームへと繋がっていくことになる。共に近年ではより派手な演出を伴う傾向が強い。

RPG

テーブルトークRPG(TRPG)から発展してきたこのジャンルは、元からストーリー性を持っていたために、明確な形での「最終目標」である倒すべき親玉=ボスキャラクターが存在していた。このあたりは、1974年に発売されたTRPG『ダンジョンズ&ドラゴンズ』の中でも各シナリオに各々目標や倒すべき最終ボスもいたため、コンピュータRPGにも初期の頃からボスキャラクターがいたと確認できる。

初期のコンピュータRPGのボスキャラクターは、1979年に発売された『ウルティマ』の原型となる"Akalabeth"の「バルログ」や、1981年に発売された『ウィザードリィ』の「ワードナ」が挙げられ、こちらの方がシューティングゲーム等より古くから存在していたことが確認できる。







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