トヨタ・センチュリー 2代目 GZG5#型 (1997年 - 2017年)

トヨタ・センチュリー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/15 04:30 UTC 版)

2代目 GZG5#型 (1997年 - 2017年)

トヨタ・センチュリー(2代目)
GZG5#型
2005年改良型 フロント
2005年改良型 リア
2005年改良型 車内
概要
製造国 日本
販売期間 1997年4月 - 2017年2月
設計統括 清水勉[5]:1
ボディ
乗車定員 5名
ボディタイプ 4ドア セダン
エンジン位置 フロント
駆動方式 後輪駆動
パワートレイン
エンジン 1GZ-FE型 4,996 cc V型12気筒DOHC VVT-i
最高出力
最大トルク
  • 481 N·m (49.0 kgf·m) / 4,000 rpm (1997年 - 2005年)
  • 460 N·m (46.9 kgf·m) / 4,000 rpm (2005年 -)
  • 405 N·m (41.3 kgf·m) / 4,000 rpm(CNG仕様)
変速機
  • 4速コラムAT(-05年1月)
  • 6速コラムAT(05年1月- )
サスペンション
ダブルウィッシュボーン[23]:55
ダブルウィッシュボーン[23]:55
車両寸法
ホイールベース 3,025 mm[22]
全長 5,270 mm[22]
全幅 1,890 mm[22]
全高 1,475 mm[22]
車両重量 1,990 kg - 2,070 kg
その他
2015年8月までの累計販売台数 8730台[24]
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1997年(平成9年)、異例の長期生産が続いた初代から30年ぶりにフルモデルチェンジが行われ、2代目のGZG50型に移行した。当時最新の技術で製造された自動車でありながら、1967年(昭和42年)以来続いた初代モデルのデザインテイストをほとんど踏襲し、遠目には初代モデルの後期型(VG40型)と区別が付きにくい外観となった。下位モデルであるセルシオ(現・レクサスLS)との棲み分けのために先代モデルから価格帯を大幅に引き上げている。

日本製市販乗用車としては史上初のV型12気筒エンジンを搭載[22]、4カムOHC(片バンクあたりDOHC機構)の5,000 cc・280 PSで、基本構造はトヨタで長い実績のある既存の直列6気筒エンジン(JZ型)をベースにしている。エンジンの型式名は1GZ-FE型であり、片バンクの6気筒にトラブルが生じても、残りの6気筒が機能して走行できるようになっている[23]:32ブレーキをはじめ、その他の走行機器の多くにバックアップのための2重系統化が施されている。

内装の本木目パネルや本革シートは職人が手作業で制作したものが使われるなど、高級な素材と高度な技術が使われている。ボディーカラー名には「神威」(かむい、エターナルブラック)、「摩周」(ましゅう、シリーンブルーマイカ)、「瑞雲」(ずいうん、デミュアーブルーマイカメタリックモリブデン)、「鸞鳳」(らんぽう、グロリアスグレーメタリックモリブデン)、「醍醐」(だいご、ウェルシーグリーンマイカP.I.O.[注 3][注 4])、「精華」(せいか、レイディエントシルバーメタリック)[注 5]、標準装備のウールファブリックシートには「瑞響」(ずいきょう)と、初代同様漢字を用いた和名が使用されている[23]:51。助手席は随行員用であるため、バックレストを貫通させるオットマンや前に倒れるヘッドレスト、下部の収納スペースなどの機能があり、座席の位置は後部からも動かすことが出来る[27]。Bピラーには靴べら入れがある[27]

車の性格上、オーナードライバーが自ら運転するケースは多くないものの、ショーファードリブン時とオーナードリブン時とで走行性能を切り替える機能もある。フロアシフト仕様が一般的であるがコラムシフト仕様も選択可能であり、また初代モデルは末期まで全車フェンダーミラーが装備でドアミラーを選択することはできなかったが、この代からフロアシフト車に限りドアミラーがオプション装備[23]:53となっている。先代にあったフロントベンチシートやリムジンは廃止された[注 6]

カーステレオは短波放送の受信が可能で、音場の設定も優先を前後席で切り替える機能を搭載している[27]

  • 1997年(平成9年)4月 - フルモデルチェンジ。
  • 2000年(平成12年)1月 - 一部改良。形式がTA-GZG50に変更。エレクトロマルチビジョンの大型化など。
  • 2001年(平成13年)5月 - 一部改良。マイナスイオン発生装置を標準装備。
  • 2003年(平成15年)1月 - 官公庁での使用を見込んで圧縮天然ガス(CNG)仕様車を追加[28]。エンジンは1GZ-FNE型で、出力258 ps/5,200 rpm、トルク41.3 kgm/4,000 rpmとガソリンエンジンに比べて数値がやや下がっている。しかし、四国のように都市ガスの天然ガス化が遅れている地域が少なくない上、ベースモデルよりも約300万円高いため導入拡大にまでは至らず、2005年(平成17年)の一部改良時に廃止された。また、識別のためスカットルに「CNG」のバッジが着く。
  • 2005年(平成17年)1月 - 一部改良。尾灯(テール/ブレーキランプ)にLEDを採用。ATが6速化され(フロアシフトはシーケンシャルシフトマチックとなる)、平成17年排出ガス75%低減でSU-LEVの認定と平成22年燃費基準を達成。デュアルエレクトロマルチビジョンを標準装備。後席VHSデッキに代わりDVDプレーヤーを装備。カーテンエアバッグ装着により前席ヘッドレストの形状も変化。後席はエアシートを装備。
  • 2006年(平成18年)1月 - 一部改良。本木目+本革巻きステアリングホイール・シフトノブが全車メーカーオプション設定。
  • 2007年(平成19年)10月 - 第40回東京モーターショーにセンチュリーの製造元である関東自動車工業が専用フロントグリル、内装にウールを使用するなど、より高級化を図った「プレミアムセンチュリー」を出品[29][30]
  • 2008年(平成20年)1月 - 一部改良。ディスチャージ式(ロービームのみ)マルチリフレクターヘッドランプを装備。それに伴いフォグランプがバンパーに移動(法規対応)し、コーナリングランプが廃止。また、地上デジタルテレビチューナーも装備。
  • 2010年(平成22年)8月 - 一部改良。新たにバックガイドモニター(音声ガイダンス機能付)とETCを標準装備。また、鳳凰のエンブレムの背景色を黒に変更し、より際立たせた。リアセンターアームレストの一部に本木目を採用し、左後席にフットレストを新設定。また、フロントウィンドシールドガラスはUVカット機能に加え、高遮音機能、赤外線カット機能を追加した合わせガラスとなり、車内の温度上昇を抑えることでエアコンの負荷を軽減するなど静粛性・快適性を向上。
  • 2013年(平成25年)5月 - 一部改良。地上デジタルテレビチューナーを4チューナーに増強して受信性能を向上したほか、リモコン受光部を前席にも設定したことで操作性を向上。また、ドアウィンドウガラス(クォーターウィンドウガラスを除く)にスーパーUVカットガラスを採用したほか、フェンダーミラーの鏡面屈折を変更したことで視認性を向上。
  • 2017年(平成29年)
    • 1月 - 2代目の生産を完了。
    • 2月4日 - 2代目の販売を終了。公式サイトでの掲載も一旦終了した。

注釈

  1. ^ 2005年に、後任の曽蔭権が公用車をメルセデス・ベンツ・Sクラスに更新した[要出典]
  2. ^ 2020年5月1日以降東京都内の全販売店を除く全ての地域の全車種併売化が開始されたが、同一都道府県でも販売地域によっては対象外となる店舗も存在する。[独自研究?]ひだかトヨタ自動車販売・東かがわトヨタ自動車販売はいずれのタイプも取り扱わない。
  3. ^ Plate Iron Oxide(板状酸化鉄)の略。
  4. ^ 2004年4月発売モデルまで。[25]
  5. ^ 2005年1月発売モデル以降。[26]
  6. ^ ただし、一般向けとしての生産・販売は廃止されたフロントベンチシート車だが、主に宮内庁向け特別注文扱いでごくわずかながら生産された実績あり[要出典]。その際は6名乗車を踏まえてダッシュパネル形状が大幅に変更され、EMVをはじめ一部装備が非装着となっていた[要出典]
  7. ^ 同車種の4代目ハイブリッドのプラットフォームやパワートレイン等は3代目のベースにもなった(前述[要出典]

出典

  1. ^ a b c d e “トヨタ 中嶋副社長、世界初公開したセンチュリーは「新しいタイプのセンチュリー」「我々は一言もSUVとは言っていない」”. Car Watch (インプレス). (2023年9月6日). https://car.watch.impress.co.jp/docs/news/1529410.html 2023年9月8日閲覧。 
  2. ^ センチュリーの車名の由来は何ですか? | トヨタ お問い合わせ・よくあるご質問”. faq.toyota.jp. 2024年4月30日閲覧。
  3. ^ a b 山本 知弘 (2018年6月23日). “トヨタ、新型センチュリーを発売 内外に光る「匠の技」”. 朝日新聞社. 2018年7月2日閲覧。
  4. ^ トヨタ、新型センチュリー発売”. 共同通信社 (2018年6月22日). 2018年7月2日閲覧。
  5. ^ a b c d トヨタ自動車 製品企画本部 センチュリー 開発主査 清水 勉 インタビュー”. MOTA. 2022年6月8日閲覧。
  6. ^ “圖說曆任特首及香港高官的座駕(組圖)”. 大公網. (2013年8月23日) 
  7. ^ a b c d e f g h i j k 1960万円は果たして“妥当”? トヨタの最高級車「センチュリー」の製造工場に潜入 - オートックワン
  8. ^ トヨタ自動車東日本の東富士工場、31日閉鎖”. 日本経済新聞 (2020年12月28日). 2020年12月31日閲覧。
  9. ^ a b トヨタ 新型センチュリー試乗|我が国を代表するショーファーカーの走りの実力はいかに!? - オートックワン
  10. ^ a b c d トヨタ センチュリー新旧比較|日本を代表する最高級セダンの進化を探る - オートックワン
  11. ^ a b c d トヨタ センチュリー|「普通の人は購入できない」は本当なのか? - オートックワン
  12. ^ a b 知事記者会見(令和2年10月27日) - 広島県公式、掲載日2020年10月30日。 県議会議長の公用車として1,830万円でセンチュリーを買ったことに対して「センチュリーでなくても良い」「地元企業のマツダに乗るべき」などという批判もある中で、この質疑に対し経費節減であるとしセンチュリーからマツダ・MPV、後に同・CX-8に乗り換えた湯崎英彦県知事は「(マツダが地元企業であることを踏まえて)CX-8に乗っている」「(CX-8が自身の公務上満足しているかという問いに対し)もちろん。はい。」と発言していた。くわえて2022年10月12日中国新聞記事によると、同氏の公用車としてCX-60をリース契約したとされる。
  13. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x センチュリー(初代) カタログ”. トヨタ自動車75年史. 2022年6月8日閲覧。
  14. ^ a b c d e f トヨタ センチュリー(初代)”. トヨタ自動車75年史. 2022年6月8日閲覧。
  15. ^ デアゴスティーニジャパン週刊日本の名車第76号3ページ。
  16. ^ “防弾車センチュリー公開 佐藤栄作元首相が発注”. 中日新聞 (中日新聞社). (2020年6月8日). https://www.chunichi.co.jp/article/69450 2020年6月8日閲覧。 
  17. ^ トヨタスポーツ800 ガスタービンハイブリッドカー”. トヨタ自動車株式会社 (2017年8月4日). 2023年7月9日閲覧。
  18. ^ TOYOTAのガスタービン・ハイブリッドカー、「センチュリー」と「トヨタスポーツ800」”. ハースト婦人画報社 (2018年10月17日). 2023年7月9日閲覧。
  19. ^ 幻のガスタービン・エンジン搭載車とは?”. Condé Nast (2021年10月6日). 2023年7月9日閲覧。
  20. ^ カーグラフィック二玄社、1976年1月、28頁。 
  21. ^ センチュリー(トヨタ)1982年10月~1997年3月生産モデルのカタログ”. リクルート株式会社 (2020年1月13日). 2020年1月13日閲覧。
  22. ^ a b c d e f g センチュリー(2代目)”. トヨタ自動車75年史. 2022年6月8日閲覧。
  23. ^ a b c d e センチュリー(2代目) カタログ”. トヨタ自動車75年史. 2022年6月8日閲覧。
  24. ^ デアゴスティーニジャパン 週刊日本の名車第96号7ページ。
  25. ^ トヨタ センチュリー 標準仕様車 デュアルEMVパッケージ装着車”. トヨタ自動車株式会社 (2023年7月9日). 2023年7月9日閲覧。
  26. ^ トヨタ センチュリー フロアシフト”. トヨタ自動車株式会社 (2023年7月9日). 2023年7月9日閲覧。
  27. ^ a b c トヨタ 先代センチュリーを自動車ジャーナリストが購入!内外装を徹底解説 - オートックワン
  28. ^ 【エコカーワールド2002】『センチュリーCNG』を見た役人の感想に怒る!! - Response.(2002年6月3日(月)12時00版/2017年1月28日閲覧)
  29. ^ 関東自動車工業:プレミアムセンチュリー - 東京モーターショーアーカイブス(更新日不明/2017年1月28日閲覧)
  30. ^ Kanto Auto Works: Premium Century - Archive.Tokyo-Motorshow.com(更新日不明/2017年1月28日閲覧)
  31. ^ 国産各社のプラットフォームを解説(1):MFi164「日本車総点検」|MotorFanTECH[モーターファンテック]”. motor-fan.jp. 2020年8月23日閲覧。
  32. ^ センチュリー 環境仕様” (PDF). トヨタ自動車株式会社. 2021年5月27日閲覧。
  33. ^ トヨタ センチュリーは“ジャパンメイド”の歴史だ。50年受け継がれる“伝統”と“技”をどこよりも早く徹底解説【東京モーターショー2017】オートックワン 2017年10月26日(2018年6月25日閲覧)
  34. ^ 豊田章男社長の愛車は「トヨタ・センチュリーGRMN」!特注のチューニングモデルで東京モーターフェス2018に登場か? cliccar 2018年9月20日
  35. ^ 【箱根駅伝】2019年大会本部車はセンチュリーGRMN登場!!! ランナー支えた平成の伴走車”. 自動車情報誌「ベストカー」 (2018年12月29日). 2019年1月2日閲覧。
  36. ^ 世界に1台だけ!! “黒い”センチュリー GRMNが突如出没!! 【東京オートサロン】”. 自動車情報誌「ベストカー」 (2019年1月12日). 2019年1月13日閲覧。
  37. ^ 【トヨタセンチュリーの御料車も登場】 11月10日(日)は祝賀御列(おんれつ)の儀 - ベストカーWeb
  38. ^ パレード専用オープンカー初お披露目 宮内庁特注 - 日刊スポーツ
  39. ^ 即位祝賀パレードで厳重警戒方針 - NHK
  40. ^ “安倍首相の車が新型センチュリーに変更!総理大臣専用車の謎に迫る”. FNNプライムオンライン (フジテレビジョン). (2020年4月24日). https://www.fnn.jp/articles/-/35965 2020年4月24日閲覧。 
  41. ^ TOYOTA、新型センチュリーを初公開』(プレスリリース)トヨタ自動車株式会社、2017年10月5日https://newsroom.toyota.co.jp/jp/toyota/21827114.html 
  42. ^ TOYOTA、センチュリーを21年ぶりにフルモデルチェンジ』(プレスリリース)トヨタ自動車株式会社、2018年6月22日https://newsroom.toyota.co.jp/jp/toyota/22884194.html 
  43. ^ センチュリーがひっそりと一部改良。何が変わった? 価格はついに2000万円超え!”. ドライバーWeb (2021年5月18日). 2021年5月19日閲覧。
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  45. ^ a b c d e f トヨタが新型「センチュリーSUV」世界初公開! なぜ「セダンと異なるモデル」誕生? 生みの親こと豊田章男会長にズバリ聞いてみた!”. くるまのニュース (2023年9月6日). 2023年9月6日閲覧。
  46. ^ “センチュリー新型生産祝う トヨタが式典”. 読売新聞. (2023年12月7日). https://www.yomiuri.co.jp/local/chubu/feature/CO049151/20231206-OYTAT50042/ 2024年3月13日閲覧。 
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  49. ^ 議長公用車に1830万円センチュリー 広島県が購入”. 中国新聞 (2020年10月23日). 2020年10月24日閲覧。
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  51. ^ 公用車センチュリー解約、清算金は700万円超 兵庫知事「長期的にはプラス」”. 神戸新聞NEXT (2021年9月3日). 2021年9月3日閲覧。
  52. ^ 批判受けた知事公用車「センチュリー」→「アルファード」に”. MBS (2021年12月8日). 2021年12月8日閲覧。
  53. ^ 山口県の貴賓車「センチュリー」購入は「違法」…知事に2090万円全額支払い命じる判決,読売新聞,2022年11月2日






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