トヨタ・センチュリー センチュリーロイヤル

トヨタ・センチュリー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/15 04:30 UTC 版)

センチュリーロイヤル

2代目センチュリーをベースとするセンチュリーロイヤルは、宮内庁へ納入するために開発された御料車専用車種である。

自治体公用車

センチュリーは都道府県知事車、議会議長車として用いられることがある。しかしその一方、2代目モデル終盤頃より、先述の通り環境性能や費用抑制の観点から、また他社の企業城下町である場合はトヨタ車を採用する事自体が「地場産業を支援する姿勢がない」と見做されかねないことから「脱・センチュリー」の動きが見られる。
また2代目から3代目へモデルチェンジするにあたり、ハイブリッド化で他車種からの回帰の動きがある一方で、納入価格やリース料も大幅に引き上げられたこともあり、公用車としての妥当性が報道等を通じて問われる例も見られている。

2018年のフルモデルチェンジでハイブリッドモデルが登場するまでは、同じ高級車でハイブリッドモデルのあるレクサス・LS[注 7]や財政の悪化により支出を抑制する観点から本車種より安価なミニバンであるアルファードヴェルファイアが公用車の代替として導入が進んでいた[47][48]

広島県議会の議長車として納入された例では、2代目が1000万円台であったのに対し、3代目は1800万円と高騰したことが話題となった。議会事務局側は「安全性が高く、故障しにくい。20年ほど乗るつもりなので、長い目で見れば車種や費用は妥当だ」としている[49]が、これに対し「センチュリーでなくても良い」「地元企業のマツダ車に乗るべき」という批判もあるという。一方で湯崎英彦知事は経費節減と地元支援の見地から、センチュリーからマツダ車(MPVCX-8CX-60)に乗り換えている[12]

兵庫県知事車と同県議長車のリース契約の例では、2代目から3代目へ契約変更するにあたり、7年間の料金が約1400万円から約2100万円に増加した。県知事はセンチュリーを使用する根拠として「広大な県土を走行できる馬力があり、高い安全性能を備えた車種。一方的議論が横行しているのは遺憾」とする答弁が行われた[50]。しかしながら2021年8月に就任した斎藤元彦知事は、選挙戦でセンチュリーのリース契約を解除することを公約としており、当初は職員用公用車のトヨタ・ヴェルファイア[51]、同年12月からは新たにリース契約を結んでトヨタ・アルファードを使用した[52]

2021年2月には、山口県が2020年に貴賓車用としてセンチュリーを購入したことについて、「知事の裁量権の逸脱で、県民の常識的な感覚からかけ離れた違法な公金の支出」として、元県職員の男性が村岡嗣政知事に対し購入費2090万円の全額返金を求めた住民訴訟を山口地方裁判所に起こし、2022年11月2日に「知事が購入を阻止しなかったのは指揮監督上の義務に違反しており、裁量権を逸脱または乱用した財務会計上の違法行為があった」と認定、村岡に全額の支払いを命じる判決が言い渡されている[53]

脚注


注釈

  1. ^ 2005年に、後任の曽蔭権が公用車をメルセデス・ベンツ・Sクラスに更新した[要出典]
  2. ^ 2020年5月1日以降東京都内の全販売店を除く全ての地域の全車種併売化が開始されたが、同一都道府県でも販売地域によっては対象外となる店舗も存在する。[独自研究?]ひだかトヨタ自動車販売・東かがわトヨタ自動車販売はいずれのタイプも取り扱わない。
  3. ^ Plate Iron Oxide(板状酸化鉄)の略。
  4. ^ 2004年4月発売モデルまで。[25]
  5. ^ 2005年1月発売モデル以降。[26]
  6. ^ ただし、一般向けとしての生産・販売は廃止されたフロントベンチシート車だが、主に宮内庁向け特別注文扱いでごくわずかながら生産された実績あり[要出典]。その際は6名乗車を踏まえてダッシュパネル形状が大幅に変更され、EMVをはじめ一部装備が非装着となっていた[要出典]
  7. ^ 同車種の4代目ハイブリッドのプラットフォームやパワートレイン等は3代目のベースにもなった(前述[要出典]

出典

  1. ^ a b c d e “トヨタ 中嶋副社長、世界初公開したセンチュリーは「新しいタイプのセンチュリー」「我々は一言もSUVとは言っていない」”. Car Watch (インプレス). (2023年9月6日). https://car.watch.impress.co.jp/docs/news/1529410.html 2023年9月8日閲覧。 
  2. ^ センチュリーの車名の由来は何ですか? | トヨタ お問い合わせ・よくあるご質問”. faq.toyota.jp. 2024年4月30日閲覧。
  3. ^ a b 山本 知弘 (2018年6月23日). “トヨタ、新型センチュリーを発売 内外に光る「匠の技」”. 朝日新聞社. 2018年7月2日閲覧。
  4. ^ トヨタ、新型センチュリー発売”. 共同通信社 (2018年6月22日). 2018年7月2日閲覧。
  5. ^ a b c d トヨタ自動車 製品企画本部 センチュリー 開発主査 清水 勉 インタビュー”. MOTA. 2022年6月8日閲覧。
  6. ^ “圖說曆任特首及香港高官的座駕(組圖)”. 大公網. (2013年8月23日) 
  7. ^ a b c d e f g h i j k 1960万円は果たして“妥当”? トヨタの最高級車「センチュリー」の製造工場に潜入 - オートックワン
  8. ^ トヨタ自動車東日本の東富士工場、31日閉鎖”. 日本経済新聞 (2020年12月28日). 2020年12月31日閲覧。
  9. ^ a b トヨタ 新型センチュリー試乗|我が国を代表するショーファーカーの走りの実力はいかに!? - オートックワン
  10. ^ a b c d トヨタ センチュリー新旧比較|日本を代表する最高級セダンの進化を探る - オートックワン
  11. ^ a b c d トヨタ センチュリー|「普通の人は購入できない」は本当なのか? - オートックワン
  12. ^ a b 知事記者会見(令和2年10月27日) - 広島県公式、掲載日2020年10月30日。 県議会議長の公用車として1,830万円でセンチュリーを買ったことに対して「センチュリーでなくても良い」「地元企業のマツダに乗るべき」などという批判もある中で、この質疑に対し経費節減であるとしセンチュリーからマツダ・MPV、後に同・CX-8に乗り換えた湯崎英彦県知事は「(マツダが地元企業であることを踏まえて)CX-8に乗っている」「(CX-8が自身の公務上満足しているかという問いに対し)もちろん。はい。」と発言していた。くわえて2022年10月12日中国新聞記事によると、同氏の公用車としてCX-60をリース契約したとされる。
  13. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x センチュリー(初代) カタログ”. トヨタ自動車75年史. 2022年6月8日閲覧。
  14. ^ a b c d e f トヨタ センチュリー(初代)”. トヨタ自動車75年史. 2022年6月8日閲覧。
  15. ^ デアゴスティーニジャパン週刊日本の名車第76号3ページ。
  16. ^ “防弾車センチュリー公開 佐藤栄作元首相が発注”. 中日新聞 (中日新聞社). (2020年6月8日). https://www.chunichi.co.jp/article/69450 2020年6月8日閲覧。 
  17. ^ トヨタスポーツ800 ガスタービンハイブリッドカー”. トヨタ自動車株式会社 (2017年8月4日). 2023年7月9日閲覧。
  18. ^ TOYOTAのガスタービン・ハイブリッドカー、「センチュリー」と「トヨタスポーツ800」”. ハースト婦人画報社 (2018年10月17日). 2023年7月9日閲覧。
  19. ^ 幻のガスタービン・エンジン搭載車とは?”. Condé Nast (2021年10月6日). 2023年7月9日閲覧。
  20. ^ カーグラフィック二玄社、1976年1月、28頁。 
  21. ^ センチュリー(トヨタ)1982年10月~1997年3月生産モデルのカタログ”. リクルート株式会社 (2020年1月13日). 2020年1月13日閲覧。
  22. ^ a b c d e f g センチュリー(2代目)”. トヨタ自動車75年史. 2022年6月8日閲覧。
  23. ^ a b c d e センチュリー(2代目) カタログ”. トヨタ自動車75年史. 2022年6月8日閲覧。
  24. ^ デアゴスティーニジャパン 週刊日本の名車第96号7ページ。
  25. ^ トヨタ センチュリー 標準仕様車 デュアルEMVパッケージ装着車”. トヨタ自動車株式会社 (2023年7月9日). 2023年7月9日閲覧。
  26. ^ トヨタ センチュリー フロアシフト”. トヨタ自動車株式会社 (2023年7月9日). 2023年7月9日閲覧。
  27. ^ a b c トヨタ 先代センチュリーを自動車ジャーナリストが購入!内外装を徹底解説 - オートックワン
  28. ^ 【エコカーワールド2002】『センチュリーCNG』を見た役人の感想に怒る!! - Response.(2002年6月3日(月)12時00版/2017年1月28日閲覧)
  29. ^ 関東自動車工業:プレミアムセンチュリー - 東京モーターショーアーカイブス(更新日不明/2017年1月28日閲覧)
  30. ^ Kanto Auto Works: Premium Century - Archive.Tokyo-Motorshow.com(更新日不明/2017年1月28日閲覧)
  31. ^ 国産各社のプラットフォームを解説(1):MFi164「日本車総点検」|MotorFanTECH[モーターファンテック]”. motor-fan.jp. 2020年8月23日閲覧。
  32. ^ センチュリー 環境仕様” (PDF). トヨタ自動車株式会社. 2021年5月27日閲覧。
  33. ^ トヨタ センチュリーは“ジャパンメイド”の歴史だ。50年受け継がれる“伝統”と“技”をどこよりも早く徹底解説【東京モーターショー2017】オートックワン 2017年10月26日(2018年6月25日閲覧)
  34. ^ 豊田章男社長の愛車は「トヨタ・センチュリーGRMN」!特注のチューニングモデルで東京モーターフェス2018に登場か? cliccar 2018年9月20日
  35. ^ 【箱根駅伝】2019年大会本部車はセンチュリーGRMN登場!!! ランナー支えた平成の伴走車”. 自動車情報誌「ベストカー」 (2018年12月29日). 2019年1月2日閲覧。
  36. ^ 世界に1台だけ!! “黒い”センチュリー GRMNが突如出没!! 【東京オートサロン】”. 自動車情報誌「ベストカー」 (2019年1月12日). 2019年1月13日閲覧。
  37. ^ 【トヨタセンチュリーの御料車も登場】 11月10日(日)は祝賀御列(おんれつ)の儀 - ベストカーWeb
  38. ^ パレード専用オープンカー初お披露目 宮内庁特注 - 日刊スポーツ
  39. ^ 即位祝賀パレードで厳重警戒方針 - NHK
  40. ^ “安倍首相の車が新型センチュリーに変更!総理大臣専用車の謎に迫る”. FNNプライムオンライン (フジテレビジョン). (2020年4月24日). https://www.fnn.jp/articles/-/35965 2020年4月24日閲覧。 
  41. ^ TOYOTA、新型センチュリーを初公開』(プレスリリース)トヨタ自動車株式会社、2017年10月5日https://newsroom.toyota.co.jp/jp/toyota/21827114.html 
  42. ^ TOYOTA、センチュリーを21年ぶりにフルモデルチェンジ』(プレスリリース)トヨタ自動車株式会社、2018年6月22日https://newsroom.toyota.co.jp/jp/toyota/22884194.html 
  43. ^ センチュリーがひっそりと一部改良。何が変わった? 価格はついに2000万円超え!”. ドライバーWeb (2021年5月18日). 2021年5月19日閲覧。
  44. ^ a b c d e トヨタ、「センチュリー」新型発表 SUVタイプで2500万円から”. 朝日新聞デジタル (2023年9月6日). 2023年9月6日閲覧。
  45. ^ a b c d e f トヨタが新型「センチュリーSUV」世界初公開! なぜ「セダンと異なるモデル」誕生? 生みの親こと豊田章男会長にズバリ聞いてみた!”. くるまのニュース (2023年9月6日). 2023年9月6日閲覧。
  46. ^ “センチュリー新型生産祝う トヨタが式典”. 読売新聞. (2023年12月7日). https://www.yomiuri.co.jp/local/chubu/feature/CO049151/20231206-OYTAT50042/ 2024年3月13日閲覧。 
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  48. ^ 公用車 ワンボックス主流、秘書官らと1台に”. 日本経済新聞社 (2013年7月7日). 2018年7月2日閲覧。
  49. ^ 議長公用車に1830万円センチュリー 広島県が購入”. 中国新聞 (2020年10月23日). 2020年10月24日閲覧。
  50. ^ 県民「税金の無駄遣い」、知事は「一方的議論が横行」…高級公用車巡り”. 読売新聞 (20020-10-24). 2020年10月24日閲覧。
  51. ^ 公用車センチュリー解約、清算金は700万円超 兵庫知事「長期的にはプラス」”. 神戸新聞NEXT (2021年9月3日). 2021年9月3日閲覧。
  52. ^ 批判受けた知事公用車「センチュリー」→「アルファード」に”. MBS (2021年12月8日). 2021年12月8日閲覧。
  53. ^ 山口県の貴賓車「センチュリー」購入は「違法」…知事に2090万円全額支払い命じる判決,読売新聞,2022年11月2日






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