タカナ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/07 16:30 UTC 版)
タカナ | ||||||||||||||||||||||||
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タカナ(2005年2月)
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分類 | ||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||
Brassica juncea (L.) Czern. var. integrifolia (West.) Sinsk. (1928)[1] | ||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||
タカナ(高菜) | ||||||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||||||
Leaf chinese mustard[2] |
品種や栽培方法によって変化するが、葉や茎は柔らかく辛味がある。辛みの成分はマスタードなどと同じイソチオシアン酸アリル。主に漬け物の高菜漬けとして食用される。野沢菜、広島菜と共に日本三大漬け菜に数えられる[5][3]。
栽培
晩夏にポットで育苗、または畑に直まきで栽培する[6]。いずれも、初秋に播種し、晩秋から冬の間に収穫する[6]。連作障害を受けやすく、輪作年限は1年とされる[6]。
あらかじめ堆肥など元肥をすき込んだ畑に平畝を作り、畝の中央に約2 cm間隔で種を筋まきする[6]。まだ暖かい時期に種まきをするため、アブラムシなどがつかないように種まき後は寒冷紗をかけるとよいといわれる[6]。本葉が2、3枚出たころ最初の間引きを行って、株間10 cmにする[6]。その後、本葉5 - 6枚でさらに間引きを行って、株間を35 cmにする[6]。約2週間が経過して本葉が7 - 8枚になるころ、株間にぼかし肥や鶏糞などの追肥を行う[6]。収穫期は12月ごろからで、株元から切り取って収穫する[6]。年を越して大きくなった株は、大きな葉を掻き取って収穫してもよい[6]。収穫をはじめる時期にトンネル掛けをすると防寒になり、春まで収穫できる。春に薹(とう)立ちした部分も、ナバナとして食べられる[6]。
食用
葉を食用にし、食材としての旬は冬場の12月 - 3月ごろである[2]。葉が肉厚でツヤと張りがあり、茎が太くしっかりしているものが市場価値の高い良品とされる[2]。生産地では、下茹でして炒め物などに日常的に使われている[2]。中でもよく知られているのは、漬物にして発酵させた高菜漬けで、九州の阿蘇地方の名産となっている[2]。高菜漬けには伝統的な古漬けがあるほか、塩分を控えて調味液につけた新高菜もある[2]。和歌山県では、高菜漬けの葉で握り飯を包んだ「めはりずし」も名物として知られる[2]。
タカナの葉は、カラシナと同様な辛味が少しあり、食欲増進効果がある[2]。栄養的にβ-カロテン、カルシウム、葉酸が多く含まれる[2]。
保存するときは、湿らせたキッチンペーパーなどに包んで、ポリ袋にいれて冷蔵保存する[2]。
高菜漬
タカナの美しい緑色を保つために袋詰めして冷凍加工している新高菜漬と、熟成中に乳酸発酵するべっ甲色で特有の香りのある古高菜漬に分けられる[3]。新高菜漬はアリル辛子油を主体にしているのに対し、古高菜漬はフェノール類を主体にしており特有の香りがある[3]。古高菜漬には製品化に際して流水による脱塩時間が長く低塩(4%程度)で古漬臭も低いものと、流水による脱塩時間が短く高塩(7%程度)で古漬臭の強いものがある[3]。
細かく刻んだ状態の刻み高菜で売られていることも多く、昆布と混ぜた高菜昆布や胡麻と混ぜたゴマ高菜などがある[3]。高菜漬を利用した料理には次のようなものがある。
和歌山県新宮市などでは高菜漬を刻まずに葉を広げておにぎりを包んだめはりずしも知られ、新高菜漬が使われるようになっている[3]。めはりずしは新宮駅の名物駅弁であった(2013年終売[7])。
福岡県瀬高町は三池高菜の産地で主に古高菜漬が作られている[3]。
高菜漬を鶏の水炊きに刻み入れ、煮込んだ鍋もある。高菜漬の酸味が強く出るため、ポン酢などにつけなくとも美味しく食べられる。唐辛子を加えて同様に漬け込んだ辛子高菜も福岡県や熊本県の名産品として人気がある。また明太子を加えて漬け込んだ明太高菜は、博多(福岡市)の名産品として知られる。
福岡県、熊本県で豚骨ラーメンを提供する店は、お好みでラーメンにトッピングできる唐辛子を利かせた油いための高菜漬を用意している店も多い。
山形県では高菜の一種である青菜(セイサイ、山形青菜)を漬けた青菜漬(せいさいづけ)が代表的な漬物となっている[8]。
なお、久住高菜や阿蘇高菜などを利用した漬物はカラシナの一族として「カラシ菜漬」に分類されることがある[3]。
漬物以外の食べ方
高菜漬ではない食べ方もある。和歌山県太地町ではイルカのすき焼きに、高菜をそのまま煮ることもある。高菜で鯨類の臭みを抑えるためとされる[9]。炒め物、汁物などにも利用できる[6]。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Brassica juncea (L.) Czern. var. integrifolia (West.) Sinsk. タカナ 標準”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2022年12月1日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u 猪股慶子監修 成美堂出版編集部編 2012, p. 26.
- ^ a b c d e f g h i “漬物の製造法”. 全日本漬物協同組合連合会. 2022年4月8日閲覧。
- ^ “日本三大菜漬とは”. 広島県漬物製造業協同組合. 2023年4月3日閲覧。
- ^ a b c d e 豊田(2006):96ページ
- ^ a b c d e f g h i j k l 金子美登 2012, p. 123.
- ^ 【終売】めはり寿司ウェブサイト駅弁資料館「新宮駅の駅弁」2020年2月2日閲覧
- ^ a b “青菜漬(せいさいづけ)”. 農林水産省. 2023年4月3日閲覧。
- ^ 日下生和子, 吉田 穣(和歌山信愛女子短期大学教授)、湯崎真梨子(和歌山大学産学連携・研究支援センター教授)(編)、2014年3月28日、『地域食材活用スキル講座 Kumano☆食と農の学校 レシピ集』(PDF)、高等教育機関コンソーシアム和歌山 p. p.29 ,p.52
- ^ a b “山形青菜(せいさい)”. おいしい山形推進機構事務局. 2024年1月13日閲覧。
- ^ “山形青菜|やまがた伝統野菜”. おいしい山形推進機構事務局. 2024年1月13日閲覧。
- ^ “山形青菜(やまがたせいさい)”. 山形県村山総合支庁産業経済部農業技術普及課. 2024年1月13日閲覧。
- ^ “青菜漬 山形県”. 農林水産省. 2024年1月13日閲覧。
- ^ “おみ漬 山形県”. 農林水産省. 2024年1月13日閲覧。
- ^ a b c d 豊田(2006):123ページ
- ^ a b c d 金子美登・野口勲監修 成美堂出版編集部編 2011, p. 127.
- ^ a b “地域食品ブランド表示基準”. 食品産業センター. 2013年7月12日閲覧。
- ^ 豊田(2006):135ページ
- ^ a b “阿蘇たかな漬けとは?”. 阿蘇たかな漬協同組合. 2013年7月12日閲覧。
- ^ a b 豊田(2006):54ページ
- ^ a b c d e 講談社編 2013, p. 121.
- ^ a b c 金子美登・野口勲監修 成美堂出版編集部編 2011, p. 129.
- ^ “第17回 岩手県 岩手県の南部で受け継がれてきた「芭蕉菜漬け」”. 東海漬物. 2024年1月14日閲覧。
- ^ “食品監視センターだより(第240号)”. 仙台市食品監視センター. 2024年1月14日閲覧。
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