スウェーデン漫画判決 スウェーデン漫画判決の概要

スウェーデン漫画判決

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/07 09:11 UTC 版)

最高裁判所前に立つシモン・ルンドストローム。2012年5月16日

2012年8月13日に、ニコニコ動画でシモン・ルンドストローム講演の生中継が行われ話題となった[3][4]。単に「漫画が児童ポルノに該当するかどうか」だけでなく、かねてより指摘されていた「児童ポルノ所持の禁止がもたらす冤罪の可能性」が現実になったものとして注目された[5]

発端

シモン・ルンドストロームは、翻訳家として日本の漫画・アニメ作品を数多くスウェーデンに紹介してきた。代表的な翻訳作品に、『鋼の錬金術師』『ワンピース』『NARUTO』『名探偵コナン』『らんま1/2』『新世紀エヴァンゲリオン』『魔法先生ネギま!』などがあり、スウェーデンに輸入した漫画の半分を翻訳していた[1][3][4][6]。彼は日本のマンガの熱狂的なファンであり、5,000冊以上のマンガ本のコレクションを持っていた[7]

2009年10月12日、シモン・ルンドストロームがウブサーラの自宅に帰宅すると、自宅は家宅捜索の真っ最中だった。彼の自宅に警察が踏み込んだ原因は、元妻からの通報だった。当時、彼は離婚した元妻と親権をめぐって争っており、元妻は裁判を有利に運ぶため、「彼はペドフィリア(小児性愛者)の性犯罪者である」と警察に通報した[4][5][7]

これは親権裁判の常套手段だったが、その場で逮捕・連行された。取り調べによって性的虐待では無罪となったが、調査のためパソコンが押収され、そこにエロ漫画などのダウンロード画像があったことで、児童ポルノ所持で起訴された。

約300枚の画像のうち、警察は描かれた女性キャラクターの胸の大きさに着目し、胸の小さな女性キャラクターを「児童」であると判断し、51枚を「児童ポルノ」とした[5]。ほとんどはアマチュアの作品だったが、中にはアニメ化もされ、スウェーデンでも販売されている人気シリーズ漫画『ラブひな(翻訳名:Love Hina)』の表紙画像も含まれていた[8][9]。そのうち、最終的に最高裁で焦点となった画像は39枚で、うち14枚は他パソコンから重複してコピーしたものだった[3][4][5]

スウェーデンで漫画の絵だけで逮捕されたのは、シモン・ルンドストロームが初めてと思われる(実写も含めてであれば過去に存在する)[3][4]。また、スウェーデン警察は、連行したシモン・ルンドストロームが実在児童への性的虐待を一切行っていないことが判明し、釈放さぜるを得なくなった途端、マイナス10度の屋外に一人で放り出したという。逮捕の際、彼には身支度の時間もなく、コートどころかジャケットさえ着ていなかった[10][11]

また、押収されたハードディスクの中身は、起訴内容とは関係のないものまですべて駄目になってしまった。シモン・ルンドストロームは「私は本当に多くのデータを失いました。古い家族写真や、これまでの仕事、コレクションしていたものなどすべてです。例えるなら、あなたの机の引き出しからピストルが見つかったので、あなたの家を跡形もなく燃やしておきました、と言っているのとほぼ同じ理屈です」と述べた[9]

なお、子どもに対し性的な夢想を抱く人間はペドフィリア(小児性愛者)、子どもに対して性的な虐待を行った加害者はチャイルド・マレスター(小児性犯罪者)といって区別される。子どもに性的虐待を行う者はペドファイルの傾向があると思われがちだが、実際はそのような性向のない者が性的虐待を行うことも多くある[12][13]。児童虐待の実態はあまり知られておらず、ペドフィリア(小児性愛者)チャイルド・マレスター(児童虐待者)はしばしば混同され、専門家は偏見差別の問題を指摘している[14][15][16][17][18][19]。特にアメリカでは、ペドフィリアは単なる性的な異常者として見られているだけでなく、実際に子供への性犯罪を犯したかどうかを問わず、その性的嗜好を持っているだけで「絶対的な悪」として見られ、極めて強い嫌悪感を向けられている[7]

スウェーデンの法律と規制

主な年表

1945年第二次世界大戦終結。

1949年:「出版の自由基本法」の母体が完成[1]

1953年:「欧州人権条約」発効。

1971年:「出版の自由基本法」の改正。スウェーデンでは同性愛小児性愛等まで含めたポルノが合法化され、児童ポルノの所持、頒布、陳列が合法となった[1]

1974年:「統治法典」の基本的な形が整えられ、統治機構に関する規定や基本的人権について定めた[1]

1979年:「刑法典」に児童ポルノの頒布禁止規定が設けられ、「出版の自由基本法」の改正も行われた。禁止されたのは児童ポルノの販売・配布のみ。非実在児童(架空の人物・キャラクター)が描写される図画も、児童ポルノの定義に含まれていた。 施行は1980年。児童ポルノは犯罪として規制されることとなり、以後、規制は次第に厳格化したが、児童ポルノ市場が地下に潜るという事態が新たに問題となった[1][7]

1990年:「子供の権利条約」発効。

1991年:「表現の自由基本法」が制定。メディアの技術革新にともない、テレビ、ラジオ、コンピュータ、CDなどの表現に対する保護と規制が問題視されるようになり、これらの権利をテレビ、ラジオ等の放送、映画や音楽等の録音媒体についても明確に定義するため[1]

1996年ベルギーマルク・デュトルー事件以降、世界的に児童ポルノ摘発が活発化。

1996年NGOエクパットの第1回「子どもの商業的性的搾取に反対する世界会議」が開かれ、スウェーデン政府がホストを務めた[9]

1999年:児童ポルノ単純所持違法化。児童ポルノの所持を犯罪化する刑典の改正が行われ、「出版の自由基本法」と「表現の自由基本法」は、児童ポルノに対しては適用されない旨の条文が新設され、1999年に施行された。写真や映像については単純所持が禁止され、手工芸的な方法で描かれる図画の場合は、頒布や移転を目的とする場合に限り、作成と所持が禁止された[1]

2005年:スウェーデンで児童ポルノブロッキング開始。強姦の定義を拡大[20]

2007年NGOエクパットの働きかけで、警察が「児童ポルノに関係する」と特定した組織へ、銀行が送金を止める施策を開始。スタートは小さな銀行で、幼い子どもがいる幹部が理解を示した。その後大手銀行も次々追従し、2011年に全ての銀行が決断した[21]

2010年:児童ポルノ犯罪に関する法律の改正。インターネット上の児童ポルノへのアクセスの犯罪化や児童ポルノの拡大等を内容とした「刑法典」の改正と、基本法の保護対象とされない児童ポルノの範囲を拡大する「出版の自由基本法」と「表現の自由基本法」改正が成立した[1]

2012年:スウェーデン警察児童ポルノ担当トップが「漫画では無い本物の児童ポルノを取り締まりたい」と発言[5][22]。最高裁で児童ポルノ漫画無罪判決。

宗教観

スウェーデンキリスト教の国と思われているが、熱心なキリスト教徒は1%で、日本と同程度である。キリスト教に基づいた考えは浸透しているが、基本的に無宗教である[4][23]

概要

スウェーデン憲法は4つの 「基本法」によって構成されている。中心的なものは「政体法」であり、その第2章第1条で表現の自由・情報の自由が保障されている。同法の第2章20~23条では、表現の自由権・情報の自由権を制限する場合の条件が設定されている。その条件とは、国家の安全保障・国民の生活保障・ 公共の場での秩序・個人の尊厳・犯罪防止・プライバシーに深く関わる場合である。他にも「特別に重要な事情がある場合」での表現規制は憲法上許されているが、その場合、政治・学問・文化などの分野での同様の特別な配慮が必要である[7]

その他にも、スウェーデンは欧州人権条約の加盟国であり、条約はスウェーデン法と同等の機能を持つ。この条約の第10条で同じく表現の自由が保障されているが、この権利は「特別の義務と責任を持って行使する必要がある」 と明記され、民主的社会における必要性・公共の安全利益・他人の名誉と権利を脅かす場合には、制約や処罰を受けることが明記されてい る[7]

また、最高裁は特別な違憲審査の権限を所持しているわけではない。地方裁判所・高等裁判所・ 行政裁判所が違憲判決を下してきたケースは多いが、最高裁は違憲審査を避ける傾向にある。ウプサラ大学国際法名誉教授であるゴーラン・リセン(Göran Lysén)によると、「政体法」で保障されている権限の置かれた立場は弱く、政治側や国民の間で高いレベルの同意が得られている法律の場合、明らかに違憲に見えていても、最高裁は極端に違憲判決を下すことを避けるため、結果的に多数派から理解されない少数派の権利保障はスウェーデンにおいて不十分であるとしている。最高裁元判事のベルチル・ベンツソン(Bertil Bengtsson)も、自分の現役の経験を語った文献で、「国民・国会の意思を蔑ろにすることに最高裁は根強い抵抗感を持っている」と述べている[7]

児童ポルノ規制の経緯

1980年代の水着のファッションがトップレスだったように、もともとスウェーデンでは性に開放的だった。このため日本のスウェーデン像は「フリーセックス・福祉が充実した国・自由」が多いが、これは過去の価値観である[4]

1971年にあらゆるポルノが合法化された際は、スヴェン・ロマーヌスが代表を務める調査委員会や、レミス制度により意見を求められた多くの機関も、性的児童虐待やその他の目に余るサディスティックな描写を含むものについては、違法のままでよいという意見だった。しかしレンナット・イェイイェル法務大臣(社会民主労働党)は「そのような規制は、私の解釈では、規律と道徳に反する行為の罰則を廃止しようという案の根底にある思想に反する。つまり、可能な限り多様なメディアの中から、個々人の意思で見たい描写を選択できるようにしようということだ」と述べた[9]

1977年には、ロマーヌス法務大臣が児童虐待を描写したポルノの規制を望んでいたため、表現の自由に関して基本法を見直すため諸問題を調査する「表現の自由調査委員会(YFU)」を設置し、YFUは「児童ポルノに関する罰則は、あらゆる種類の画像に対して有効にするべき」という調査報告書を提出した。「絵も含めるべき」とした理由は「絵であっても、生身のモデルを元に制作された可能性を無視できない」だった。しかし調査報告書には、現実の児童虐待に基づいて絵の児童ポルノを作った実例がひとつも載っておらず、委員の一人であるアンデシュ・ユンググレーン(中央党の青年団代表)は、「具体的な事件は知らない。具体的な例ではなく、単にそういった事態が起こり得るという予測に基づいたものだった」と述べた。ロマーヌス法務大臣は絵も規制対象に含めようというYFUの案を支持し、「この種の画像は概して児童に対する侮辱である。それはモデルに使われる児童への侮辱のみに留まらない」とした[9]

1980年1月1日から、児童ポルノの製造・頒布が違法となった。この新法は「出版の自由基本法」の例外項目に、名誉棄損、犯罪的行為扇動、基本法による保護を受けないその他の事項に並ぶ形で加わった。

1999年には児童ポルノの単純所持が禁止されたが、この規制の背景には、未成年がバイト等ができず、児童ポルノ撮影で儲けるものが続出し、「労働法」に違反することを理由に禁止するようになったことが挙げられる[4]。スウェーデンでは日本の学生アルバイトのような短時間のパートタイムが少なく、ほとんどがフルタイム勤務になり[24]、学生の普段のアルバイトが日本よりも一般的ではなく、アルバイトは夏休みにするという子が多い。スウェーデン統計局の2015~2016年の調査によると、13歳~15歳の子どもの11%と、16歳~18歳の子どもの52%が夏のアルバイトをするが、学校が始まるとアルバイトと兼業することはあまりない。年間を通してアルバイトをする13~15歳はおよそ9%で、16~18歳では29%となっている[25][26]

また、2010年のインターネット上の児童ポルノへのアクセスの犯罪化や児童ポルノの拡大等を法改正では、児童ポルノへの関与が多国間で組織的に行われていること、ITとインターネットの発達が児童ポルノの作成を安価なものにし、頒布の規模を飛躍的に拡大させていること等があるとした[1]

児童の定義

「刑法典」第16章第10a条は、児童ポルノ犯罪を規定している。スウェーデンにおける性交同意年齢は15歳だが、児童ポルノにおける「児童」の定義は、「思春期の成長が未完了である者」または「図画及びそれに関する状況から18歳未満であることが明らかである者」と規定される[1][2][4]

外見的に身体が性的な成熟過程にあり、変化の余地を残していると判断される場合は、描かれる者の実年齢は18歳以上であっても対象となる。また、図画に付けられたキャプションや宣伝文句において、未成年を取り扱っている図画であることが示されている場合も、「それに関する状況から18歳未満であることが明らかである」場合であるとされる[1]

児童ポルノの定義

「刑法典」において、児童ポルノとは「ポルノ的な図画において児童を描写したもの」と定義されている。児童が図画の中で、明らかに性的な意味を有する行為に従事しているものに限らず、児童が1人または複数の成人とともに、そのような図画の中に存在している場合であっても対象となる[1]

また、ポルノ的な図画とは「科学的または芸術的価値を有しない図画」であって、あからさまで挑発的な方法により性的な題材を描写したものをいい、刊行物中の画像、ビデオやフィルム等の動画、インターネット上の動画・画像、写実的でない線画、絵具による描画等を含む[1]

児童ポルノ犯罪の定義

「刑法典」第16章第10a条において、児童ポルノの所持、頒布、移転、使用許可、陳列、売買の仲介、取引を促進するために仲介等と類似の手段を取る行為は、処罰の対象となると規定される。具体的には以下のようなもの[1]

  • 所持:図画を物理的に所持することと同様、図画のデータを記録媒体に保存し、保持することも含まれる。2010年の法改正では、ダウンロードなしのネット上での閲覧サービスの提供という児童ポルノビジネスの台頭への対応を主目的として、所持の一形態に「利用可能な状態にされた児童ポルノ図画を閲覧すること」が追加して規定された。
  • 頒布:児童ポルノ的な図画が、仲介等の他者の使用を可能とさせる行為によって、多数の者が使用可能な状態とすることと定義される。 少数で、限定された者を対象としている場合は、 頒布にあたらない。ただし、この場合でも、児童ポルノの移転や使用許可、陳列等に該当し、処罰対象となる可能性もある。
  • 移転:児童ポルノ的な図画の販売や交換、贈与等をいう。
  • 使用許可:児童ポルノ的な図画の有償・無償での貸出を認めることをいう。
  • 陳列:他者に対する児童ポルノ的な図画 の開示や映像の上映をいう。
  • 取引促進のための仲介等と類似する手段:顧客リストや購入希望者のリストなどの移転・売買等の各種の方法をいう。頒布、移転、 使用許可、陳列等を伴う方法のほか、これらを伴わない方法も含まれる。

また、児童ポルノ犯罪においては、描写される者が実在する児童である必要や、特定の児童の実体的な侵害が存在する必要もないと解釈されている[1]

量刑と時効

児童ポルノ犯罪には、軽度(ringa)、標準(normalgrad)、重度の3つのレベルがあり、法定刑の上限等がそれぞれ異なっている[1]

軽度では「罰金又は6か月以下の拘禁刑、標準では2年以下の拘禁刑」。重度では「6か月以上6年以下 の拘禁刑」となる。重度となるのは故意の場合に限られ、営利目的かどうか、図画の量、図画における児童の取扱が著しく尊厳を欠いたものであるかどうか等の点に着目して判断される[1]

児童ポルノ犯罪の消滅時効(preskription)は、レベルにより異なる。軽度の児童ポルノ犯罪の時効期間は2年。標準は時効期間5年。重度では時効期間10年となる。児童ポルノ犯罪では行為形体にかかわらず、消滅時効は罪を犯した(begå)日から起算される。一般的に犯罪が既遂となった(vara fullbordat)日から起算されると解釈される[1]

判断の基準

「出版の自由基本法」と「表現の自由基本法」で保護される権利は、「統治法典」上の表現の自由及び情報の自由の一部をなしている。これらの基本法で保護対象となる媒体は、 検閲が認められず、公共の安全を維持するための特定の法律の規定に反しないかぎり処罰されない。また、処罰や処分、裁判などに関しては 特別の憲法的な手続によることが定められている[1]

1999年の1月1日から児童ポルノの単純所持が違法化され、児童本人がポルノ的な図画を作成することや、そのような図画をウェブサイトで閲覧可能とすること等、児童本人が携わったり被写体となったりするだけの「本人の関与画像」を作成・所持する場合でも、処罰対象とされた[27][1]。例えば16歳で性的な写真を撮った時点で犯罪者となる[4]

思春期が終了して刑事責任が問われる為には、「刑法」第16章第10a条第1段落第5項の文面に基づき、表現およびその周囲の状況から判断して、明らかに18歳未満の者である事が条件となる。状況を考慮した上で、その行為が正当であると判断された場合は、犯罪とはならない[2]

また、児童ポルノ的な内容が含まれる絵も犯罪の一種と見なされる。これは、間接的には第三者に公表する意図のない、自分で描いた絵は例外となる。アニメの絵やイラストも犯罪の一種と見なす理由は以下[2][7]

  1. イラストであっても、実在する児童がモデルとして使われていた可能性があるため。
  2. イラストであっても 「児童一般の尊厳を損なう」「ポルノ的な絵はいかなる理由があろうとも児童に対する侮辱である」ため。
  3. 児童ポルノの所持が違法になった事と関連付け、画像が児童を性的行為に誘う為に利用される可能性があるため。

インターネット検閲

スウェーデンインターネットでは児童ポルノ規制がなされている。スウェーデン警察は、スウェーデンのISPが自主的に使用する児童ポルノブロックリストを作成・運用している。しかし、事実に基づく明確で論理的な手続きの欠如など、実態は児童の保護ではなく表現規制になっているとも指摘されている[28][29][30][31][32][33]

フィンランドの記者が実際にブロックされているサイトをフィンランド経由で調べた結果、9割が児童ポルノと関係ないサイトだと判明した。ブロックされているものには著作権違反盆栽などがあり、シモン・ルンドストロームが何の基準で規制しているのか尋ねた際は教えられないと言われ、警察が何をやっているのかも調べられない状態となっており、この事態をブログに書いて公開した際はブロックされることとなった[4]

また、2007年6月には、Torrentファイルを検索する人気サイトに関連した「kopimi.com」がブロックリストに執拗に追加される問題が起き、刑事告訴の検討など警察との議論の末に、フィルタから取り除かれることになった。同年7月6日には、人気のTorrentサイトである「パイレート・ベイ(The Pirate Bay)」が、同じような事態となった[28][29][30][31][32][33]。なお、のちに同サイトは、2009年にスウェーデンで有罪判決を受けたが、児童ポルノではなく、アメリカ映画協会著作権侵害を幇助したとして告訴されたことが理由だった。

ヨーロッパで表現や言論の自由のためネット規制などに対抗している海賊党は、「一旦、誰かが他人のコミュニケーションを検閲する権限を得て、そうする義務を与えれば、その誰かが嫌うすべてのものを、仲介者(たとえばISP)はフィルタリングしなければならない。検閲は利益を生むため、著作権ロビーがこのような横暴を続ける理由は想像に難くない」「好ましからざる情報の検閲が、当然でありポジティブなものとみなされる政治環境がつくりだされることこそが問題」と、「子供を守るための児童ポルノを看板にした、権力者の言論統制」を指摘した[34]


注釈

  1. ^ 雑誌『フォークス』5月27日号
  2. ^ EUが資金提供する、犯罪と被害に関する大規模な国際調査プロジェクト。各国の犯罪率を比較する目的でつくられた。警察による犯罪統計のギャップを埋めるためと、代替の標準化された対策として、警察の統計から独立した犯罪指数を提供するために設定された。世界でも有数の標準化調査プログラムとなっている。1987年にプロジェクトがスタートし、2019年時点で、調査は1989年、1992年、1996年、2000年、2004年、2005年の6回行われている。78カ国以上で140以上の調査が行われ、32万人以上が調査の過程でインタビューを受けた。 データベースは325,454人の個々の回答者をカバーしている。小さな調整と修正は行われたが、 ICVSの縦断的側面のため、設問変更は最小限に抑えられている。

出典

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