キク 概要

キク

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/12 20:28 UTC 版)

概要

菊花紋章(十六弁八重表菊紋)

イエギク(家菊、学名 Chrysanthemum × morifolium syn. Chrysanthemum × grandiflorum Kitam.)は、キク科キク属の植物。

秋に咲く花であるが、短日性植物で、電照などを用いた作型の分化により、周年供給されている(電照菊を参照)。食用にする「もってのほか」などの品種もある(食用菊を参照)。観賞園芸的には和菊、生産園芸的には洋菊が中心に栽培されている。また、切花としては温室での電照栽培で周年出荷されている。バラカーネーションとともに生産高の多い花卉となっている。

日本においては、菊は元々は外来種であり、薬草や観賞用植物として中国から伝来した[3]平安時代に用いられ始めて、宮中では菊の節句とも呼ばれる重陽の節句(旧暦9月9日)が明治時代まで行われ、現在でも皇室園遊会(観菊御宴)として行われている。日本で菊の栽培が盛んになったのは、栽培のプロセスがをとり、に植え、に成長させ、秋に観賞するといった具合で、イネの栽培と類似していることが影響しているとの説もある。現在では各地に愛好会ができる一方で、秋には、それらが主催の品評会が開かれている。

物品への意匠として用いられることも多く、鎌倉時代後鳥羽上皇が身の回りのものに施したことにより天皇および皇室の紋となったといわれ[4]、鎌倉時代には蒔絵や衣装の文様として流行した。日本の南北朝時代以降には天皇より下賜されることにより公家武家の間で家紋として使用されるようになった(詳細は「菊花紋章」を参照のこと)江戸時代には品種改良が行われた。

世界的には、フランスポーランドクロアチア等の一部のヨーロッパ諸国において白菊が墓参に用いられ、中国、韓国でも葬儀の際に菊が用いられることが多い。日本でも古くから仏花や献花として菊が使用されてきた(なお、慣習として故人への供花とされ、病室へのお見舞いの花としては忌避される)。

キクの花弁が放射状に並んだ形状に由来する慣習的な呼び名があり、アンモナイト化石を「菊石」と呼ぶほか、また陶芸やそば打ちでの材料の練り方に「菊練り」がある。


  1. ^ 小林義雄 著、相賀徹夫 編『万有百科大事典 19 植物』1972年。 
  2. ^ 菊まつり・花の名所案内 2013年6月10日閲覧。
  3. ^ 「菊にまつわるお話」 同志社女子大学・教員によるコラム 2015年8月31日
  4. ^ 高澤等著『家紋の事典』東京堂出版 2008年
  5. ^ 塚本洋太郎「キクの文化史」(『週刊朝日百科植物の世界』8)、226頁。
  6. ^ a b 塚本洋太郎「キクの文化史」228頁。
  7. ^ 斎藤正二「菊と日本人」(『週刊朝日百科植物の世界』8)、254頁。
  8. ^ 横井政人「キクの園芸品種」(『週刊朝日百科植物の世界』8)、226頁。
  9. ^ 「心あてに折らばやをらむ初霜のおき惑わせる白菊の花」(凡河内躬恒 - 小倉百人一首 第29番)。
  10. ^ 菊の歴史 小田原市
  11. ^ (研究成果) 「青いキク」が誕生 | 農研機構”. www.naro.affrc.go.jp. 2020年4月17日閲覧。
  12. ^ Noda, Naonobu; Yoshioka, Satoshi; Kishimoto, Sanae; Nakayama, Masayoshi; Douzono, Mitsuru; Tanaka, Yoshikazu; Aida, Ryutaro (2017-07-01). “Generation of blue chrysanthemums by anthocyanin B-ring hydroxylation and glucosylation and its coloration mechanism” (英語). Science Advances 3 (7): e1602785. doi:10.1126/sciadv.1602785. ISSN 2375-2548. https://advances.sciencemag.org/content/3/7/e1602785. 
  13. ^ 塚本洋太郎「キクの文化史」228-229頁。
  14. ^ 宮尾 茂雄. “漬物塩嘉言と小田原屋主人”. 東京家政大学・食品加工学研究室. 2023年1月12日閲覧。
  15. ^ 瀧井康勝『366日誕生花の本』日本ヴォーグ社、1990年11月30日、278頁。 





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