カリフラワー 歴史

カリフラワー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/31 13:48 UTC 版)

歴史

キャベツの原種でもあるアブラナ科のブラッシカ・オレラセア(Brassica oleracea、和名:ヤセイカンラン)の変種で、原産地は地中海東部沿岸とされる[7][5]。2000年前の古代ローマでは「シマ」という名で記録されている[11]。キャベツの原種植物から様々な変異植物が生まれ、数千年前には栽培されていたケールから分化したものと言われている[5]。古代ローマ人は、原種植物から変異したブロッコリーに似た植物を利用していて、カリフラワーはそこから分化したものと考えられている[5][注 2]。カリフラワーの記録として確認されている最古のものは、1140年にムーア系スペイン人でヤフヤー・イブン・ムハンマド・イブン=アル=アワーン著の農業教本『農書 Kitāb al-Filāha』に書かれたもので、カリフラワーを「シリアのキャベツ」「モスル・キャベツ」「カルナビッツ」などさまざまな名称でよんでいる[12]。また、カリフラワーと思われる記録としては、1226年に編纂された『バグダード料理の書 kitāb Al-tārīkh』に「白キャベツ」として特集が組まれているものや、1583年にフランドルの植物学者レンベルト・ドドエンスが、ヨーロッパ人として初めて最新流行の植物を記録して「カリフラワー・ブラッシカ・キュプリア」(キプスからきたキャベツの意)と呼んでいるものなどが見られる[13]

15世紀にイタリアフランスで栽培され始め、17世紀初めには、ヨーロッパ各地に広まった[5]18世紀頃にはインド熱帯でも栽培できる品種が開発された。19世紀初頭にアメリカ、次いでアジアに伝わった[5]。しかし、改良されて現在のようなカリフラワーとなるのは19世紀初頭のことである[11]

日本には明治初年に導入された[5]。花梛菜(はなはぼたん)、英名カウリフラワーと紹介され試作されたものの、食用としても観賞用としても一般に普及しなかったが、日本の気候にあった品種も多数作出された[5]第二次世界大戦後に進駐軍向けに栽培が行われ、日本での洋食文化の広まりと、改良種の輸入、栽培技術の進歩により昭和30年頃から需要が高まり広く普及した[5]アスパラガスセロリと合わせ、「洋菜の三白(さんぱく)」と呼ばれて広く知られるようになり[3]、高級な西洋野菜のイメージから一般的な野菜へと日本人の意識も変わっていった[5]


注釈

  1. ^ 「花野菜」とも表記されるが、語源を考えると本来は誤りである。
  2. ^ 科学者は遺伝子構造の解析に基づいて、ブロッコリーのある遺伝子が突然変異した品種と結論づけている[12]
  3. ^ 耳の軟骨が硬い人に発生しやすい。
  4. ^ 柔道相撲レスリングラグビーボクシング等。

出典

  1. ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Brassica oleracea L. var. botrytis L.”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2021年11月5日閲覧。
  2. ^ a b 三省堂百科辞書編輯部編 「カリフラワー」『新修百科辞典』 三省堂、1934年、523頁。
  3. ^ a b c d e f g h 藤田智監修 NHK出版編 2019, p. 144.
  4. ^ a b Harper, Douglas. “cauliflower”. Online Etymology Dictionary. 2021年8月12日閲覧。
  5. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z 講談社編 2013, p. 137.
  6. ^ 跡見群芳譜(農産譜 キャベツ)”. 2021年8月12日閲覧。
  7. ^ a b c d e f g h i j k l m n o 猪股慶子監修 成美堂出版編集部編 2012, p. 17.
  8. ^ 跡見群芳譜(農産譜 ブロッコリー)”. 2021年8月12日閲覧。
  9. ^ 蔬菜の栽培』 - 国立国会図書館デジタルコレクション
  10. ^ 野菜自給十坪菜園』 - 国立国会図書館デジタルコレクション
  11. ^ a b c d 武 鈴子『からだに効く 和の薬膳便利帳』家の光協会、2012年、134頁。 
  12. ^ a b マッケンハウプト 2019, p. 32.
  13. ^ マッケンハウプト 2019, p. 34.
  14. ^ a b c d e f g h i j k l 主婦の友社編 2011, p. 158.
  15. ^ 世界の食用植物文化図鑑・173ページ
  16. ^ a b c d e f 藤田智監修 NHK出版編 2019, p. 145.
  17. ^ 【家庭菜園のプロ監修】3月に種まき・苗を植える野菜とは?おすすめ品目10選 | AGRI PICK”. 農業・ガーデニング・園芸・家庭菜園マガジン[AGRI PICK]. 2021年3月25日閲覧。
  18. ^ a b c d e f g h i j k 金子美登 2012, p. 97.
  19. ^ a b c d e f 主婦の友社編 2011, p. 159.
  20. ^ a b 作物統計調査>作況調査(野菜)>確報>平成24年産野菜生産出荷統計>年次>2012年”. e-Stat. 総務省統計局. 2014年11月6日閲覧。
  21. ^ JA徳島市 カリフラワー”. 徳島市農業協同組合. 2014年11月6日閲覧。
  22. ^ 第3問 正解”. 中国四国農政局. 2014年11月6日閲覧。
  23. ^ a b FAOSTAT>DOWNLOAD DATA” (英語). FAOSTAT. FAO. 2014年11月6日閲覧。
  24. ^ 世界の食用植物文化図鑑・170ページ
  25. ^ 「ご飯の代わりにカリフラワー/低糖質・低カロリー 健康志向の定番へ/オイシックス:カット済み通販 ローソン:キーマカレー改良」『日経MJ』2018年9月3日(コンビニ・フード面)。
  26. ^ 耳介血腫 - 日本耳鼻咽喉科学会愛媛県地方部会、愛媛県耳鼻咽喉科医会HP






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